★カナダ:ギグ契約労働者の組合承認めぐり労働関係委員会で審理
1月29日、オンタリオ州労働関係委員会はカナダ郵便労働組合(CUPW)とフードラ社(食品配送会社)の間の係争の最終審理を行った。この係争は同州におけるギグ契約労働者の権利に関して先例となる。
CUPWは同日付のプレスリリースで次のように述べている。
「CUPWの支部を結成しようとしているフードラ社の配送労働者は、ギグ契約労働者を従業員または依存関係にある請負業者ではなく独立自営業者とみなすこと
に異議を唱えてきた。
CUPWのヤン・シンプソン全国委員長は、この係争がオンタリオ州だけでなく全国および全世界のギグ契約労働者にとって歴史的な瞬間であると述べている。
労働委員会にとっては、正しい決定を行い、フードラ社の不当な独立自営業者規定を否認し、労働者が組合に加盟して自分たちの権利のために闘うことを承認する機会である」
フードラ社の配送労働者たちは19年5月にCUPWの支部を結成する計画を発表し、同7月にCUPWは労働委員会に組合承認を申請した。
8月に組合加盟の従業員投票が行われたが、労働委員会で労働者性などの争点が審理中であるため、投票結果はまだ封印されている。
その後、他の会社のギグ契約労働者もこの闘争に合流した。
トロント空港を拠点にしているウーバーブラック社の運転手たちは最近、全米食品・商業労働組合(UFCWU)の支部を結成することを従業員投票で決定し、労働委員会の公聴会ではフードラの労働者と共闘してきた。
フードラの配送労働者で組合のオルガナイザーであるイヴァン・オストスさんは「私たちのキャンペーンはまだ始まったばかりです。私たちはすでにトロントのウーバーの運転手をはじめとする労働者たちに自分たちの権利のために立ち上がることを促してきました。私たちはすべてのギグ契約の労働者や不安定雇用の労働者が、当然の権利と保護を獲得するまで闘い続けます」と述べている。
配送労働者たちは「フードラの配送労働者に公正を」(通称「フードスターズ」)というキャンペーンを開始し、5月に最初の集会を開いた。
1月29日にも審理が行われている労働委員会の前で地域の労働者による連帯集会が開かれた。
フードラのような企業は配送労働者にフレキシビリティー(柔軟な働き方)を約束し、「あなたがたは独立した請負業者であり、自分たちのボスです」と言う。そうすることで標準的な労働権や労働者の保護を回避し、雇用保険のような最も基本的な給付金の支出さえ拒否している。
配送労働者たちは、会社が仕事の多くの部分を管理しており、他の雇用主と同様に就業規律を管理しているのだから、自分たちは従属的な請負業者であると主張している。
オンタリオ労働者連盟のジャニス・フォークドーソン執行副委員長は次のように述べている。
「労働運動は、すべての人にまともな仕事を保証するという要求において団結している。オンタリオ州のフォード政権(進歩保守党)は前政権の下で制定された法律147号(「公正な職場と雇用条件改善のための法」)の進歩的条項を廃止することによって、不当な独立自営業者扱いからの保護を奪った。
臨時労働者、契約労働者、ギグ契約労働者を含むすべての不安定雇用労働者を保護するための州法が必要である」
★英国:「国際アプリ配車運輸労働者連合」結成に27力国から結集
英国のEU離脱は英国があらゆる国際的なことから離脱したことを示したが、英国の組合活動家たちはその反対の方向に進み、グローバルな連帯を築くために全世界から仲間を結集させた。
オックスフォードで開催された個人ハイヤー運転手組合の国際会議に27力国から60人余の活動家が集まった。チリ、インドネシア、オーストラリアのような遠方からの参加者もいた。
会議の最後に、新しいグローバル・ネットワーク「国際アプリ配車運輸労働者連合」(IAATW)の結成が発表された。
この会議ではウーバー、リフト、グラブなどのアプリ配車の有力企業はグローバル企業であることが強調され、これらの企業は長年にわたって自分たちのビジネスモデルの障害になるとみなす国内法や政策を掘り崩そうとしてきたことが指摘された。
運転手たちは「ライド・シェアリング」などの呼び名を拒否し、自分たちは運輸労働者であると主張した。
英国ではUPHDの労働者が長期にわたるドラマチックな法廷闘争の結果、被雇用者としての法的地位を獲得した。
米国・カリフォルニアでも昨年、州法第5号によってギグ契約による雇用関係の偽装が禁止された。
ウーバーをはじめとする企業は、このような勝利を押し返すためにあらゆる政治的兵器を動員している。
彼らはフランスで全国的な行動を起こした運転手たちを告訴し、英国では裁判所の判決に対して最高裁に上告している。カリフォルニアでは1億ドルの資金をつぎ込んで州法第5号撤回の州住民投票のためのキャンペーンを進めている。
(「リサーチ&コメンタリー」2月10日付より)
★中国:武漢で新型ウイルス治療・予防に奮闘する労働者
チェン・ジンさん(32歳)や他の献身的なケイタリング・配送労働者のグループは1週間以上前から、武漢の医療スタッフに無料の食事を提供するために24時間体制で働いている。
このグループは漢口駅をベースとして、毎日千食以上の食事を調理し、5つの市立病院で過労の中で診療にあたっている医療スタッフに届けている。
彼ら彼女らは自分たちも感染するというリスクを十分に理解している。
チェンは旧正月の休暇で陳西省に帰省するつもりだったが、他の何百万人もの人たちと同様、1月23日に市が隔離されたため、閉じ込められた。
当初、彼女は何をすべきかわからなかったが、すぐに食品配達会社メイトゥアンと協力して、効率的で衛生的な配達体制を編成し、医療従事者に必要な食事を提供することができた。
チェンたちの活動が示すように、新型コロナウイルスの発生は武漢市の最前線に立っている医療スタッフだけでなく、配送労働者、タクシー運転手、公衆衛生やコミュニティー関連の労働者にも極限的な要求を課した。
周知のように、わずか数日で新しい病院を建設するために数千人の建設労働者が集められた。しかし、これらの労働者は、多くの物資が最前線の医療スタッフに優先的に分配されるため、ほとんど無防備な状態に置かれている。
武漢の衛生労働者は膨大な仕事量と限られた物資に苦闘しながら、通りの衛生状態を維持しようとしている。
平時でも衛生労働者は最短の時間で最大量の作業を完了することを求められているが、現在では作業量が途方もなく増えている。通常の清掃作業のほかに、リサイクル用マスクの専用ゴミ箱を空にし、1日3回車両を殺菌し、道路に消毒剤を散布しなければならない。
作業負荷とリスクの明らかな増加にもかかわらず、大部分の衛生労働者は休む余裕はない。
さらに、公共交通機関が利用できないので多くの労働者は職場に行くのも一苦労である。
衛生労働者のウーさんは仕事の現場へ行くのに徒歩で1時間以上かかると言う。彼女は民間企業に雇用されているが、マスクは地区の当局から7枚支給されただけである。
交通機関の停止はまた、コミュニティー関連の労働者にも大きな負担になっている。
市内の多くの高齢者が病院に行けないので、地域で世話をしなければならない。そのため、自治体職員が地域の住民の健康状態を把握し、外出できない人たちが必要な食料、医薬品、その他の必需品を入手できるように手配しなければならない。
武漢市の職員であるシュ・キンさんや同僚たちは毎日100人以上の住民からの電話に対応し、仕事は深夜まで続く。
それにもかかわらず大部分の自治体職員は危機に対処するための資材を支給されていない。
ウイルスの性質に関する正確な情報は提供されておらず、最も基本的な保護具しかない。
ある職員は使い捨てのマスクをアルコール消毒して再使用するしかないと言う。そのマスクさえ、もうすぐ尽きてしまう。
1月23日から市の地下鉄、バス、フェリーの運行が停止されたため、タクシーや、配車アプリの運転手、配送労働者が今、市での生活を維持する上で不可欠の役割を果たしている。
数千人のタクシー運転手がコロナウイルスの疑いがある患者だけでなく、妊婦、透析患者などの病院への行き来を助けている。彼ら・彼女らはまた、外出できない人たちのために食料や医薬品を配送している。
自治体だけでなく民間企業も、武漢の労働者を支援するためにもっと多くのことができる。
労働組合も、雇用者に対して従業員を適切に保護するよう圧力をかけることを通じて、もっと大きな役割を果たすことができる。
(香港「チャイナレーバーブレティン」4月2日付より)