★米国
シカゴ教組、4月1日「不当労働行為反対行動デー」
協約交渉中のシカゴ教員組合(CTU、2万7千人)は4月1日に「不当労働行為に反対する行動デー」を計画している(なお米国では労働者への権利侵害を不当労働行為と呼ぶ)。
教員や労働組合員をはじめ広範な市民にも呼びかけ、エマニュエル市長やラウナー州知事と、その背後にいるケン・グリフィン(ヘッジファンドの経営者)をはじめとする大富豪が市や州を破滅させようとしていることへの市民の関心と怒りを集中させることを目的としている。
シカゴのラジオ局「DNAインフォ」は3月9日に、次のように報じている。
「CTUは今日、4月1日の行動デーの計画を発表し、実質的なゼネストを呼びかけた。職場放棄、授業ボイコット、お金を使わない、マグニフィセント・マイル(ショッピングセンター)のボイコット、市長・知事や大富豪の自宅へのデモなどの行動が計画されている。
CTUの広報担当のステファニー・ガドリンさんによると、CTUの組合員は午前6時半から宣伝のためのピケット行動を行う。この行動デーは、均衡のとれた財政政策、教育委員会の公選要求のほかに、州のさまざまな問題を取り上げる。
彼女は『エマニュエル市長はシカゴ市の人々に起こっていることに耳を閉ざし、目を塞いでいる。4月1日の行動には予算削減、レイオフ、社会サービスの削減、大学の閉鎖に直面しているさまざまな階層の人々や、低所得層、移住者、労働者階級に対する医療給付の削減に反対している人々が参加するだろう。
私たちはこの日、市をシャットダウンする(機能停止させる)つもりだ。そのための組織化を進めている』と語っている。
CTUのカレン・ルイス委員長は先週、記者会見で『これはショーダウン(決戦)だ』と宣言した。
サービス従業員組合(SEIU)傘下のヘルスケア・イリノイのグレッグ・ケリー副委員長は『私たちの組合が代表している数万人の介護施設労働者、訪問介護労働者、保育労働者も、教員たちと同様に、ラウナー知事や、私たちの尊厳を考えない施設経営者の攻撃に直面している。すべての産業、職業の労働者は今こそ、イリノイ州の平和な労働環境回復のために共に起ち上がる必要がある』と述べている」
シカゴの「サンタイムズ」紙3月9日付によると、シカゴ公立学校(CPS)の最高経営責任者(CEO)のフォレスト・クレイプールは同4日に、財政難を理由に3月〜6月にCPSの全校で3日間の休校日を設ける計画を発表。これは労働者にとっては無休休暇で、実質的な賃金カットである。
CPSはその前には、年金基金への拠出(7%)の停止を提案した(のちに「段階的削減」に修正)。このような一連の不当労働行為に対して組合員の怒りは高まっている。
CPSは州に財政援助を求めているが、ラウナー知事は財政援助の条件として一連の「改革」を求めている。
CTUのカレン・ルイス委員長はペアレント・メンター(低所得層地区の学校で親たちが教室での学習を補助する制度)の集会で、「州の予算をめぐるバトルで、親と生徒と教員が人質にされている。私たちはみんな、私たちのために働こうとしない知事の人質にされている」と指摘した。
ペアレント・メンター・プログラムは昨年、約70校で実施され、約1万5千人の生徒の学習を支援した。州教育委員会はこのプログラムの予算の増額を求めているが、知事はこのプログラムへの予算を廃止しようとしている。
CTUが4月1日にストライキに入るかどうかは未定だが(協約交渉中のストライキは禁止されているため)、ストライキに入らない場合でも種々の形態の行動とデモは実施される。法律上は5月16日以降はストライキが可能になる。ただし、不当労働行為を理由とするストライキは協約交渉中でも適法である。
CTUは前回の協約交渉(12年)の際に8日間のストライキを貫徹し、その後も学校閉鎖や学力テスト反対の運動を地域ぐるみで展開してきた(本誌12年9月15日号、同10月1日号を参照)。
★フランス
「雇用改革」に反対して50万人がデモ
3月9日、オランド政権が進めようとしている「雇用改革」に反対して全国で数十万人の学生・労働者がデモに参加した。
社会党系のCFDTを含む4大労組がストライキを呼びかけており、これは13年6月以降初めてである。
3月19日付の「AFP」によると、若者たちがこの政策に最も強く反対している。政府は若者の雇用を支援することが目的であると説明しているが、若者たちはこの政策が自分たちの将来を不安定にすることを懸念している。
パリのデモでは、十代の若者や学生たちが卵や爆竹を投げて、法案を起草したエルコムリ労働相への怒りを表現した。
この日、鉄道労働者は労働条件の改善を要求してストライキを行った。
全国で50万人がデモに参加し(警察発表は22万4千人)、CGTによるとパリのデモには10万人が参加した。
「雇用改革」によって夜間労働や解雇の規制が撤廃され、受注減や営業損失を理由とする解雇も可能になる。また、1990年代に社会党政権の下で鳴り物入りで導入された週35時間労働制が解体される。つまり、35時間を超える労働への割増賃金が削減され、業種によっては若年の新規採用労働者の労働時間が40時間に延長される。
「雇用改革」に反対するインターネット署名はすでに100万人を突破しており、世論調査でも70%以上が「雇用改革」に反対している。
「ユーロニューズ」紙3月9日付によると、政府が計画している雇用改革は130ページに及ぶ法案からなっており、フランスの厳格な労働規制をすべて廃止し、労使交渉に委ねるものである。
オランド大統領は失業を減らすために、労働規制を諸外国並みに緩和し、労働者の解雇を容易にすることによって経営者が労働者を雇用しやすくすると説明している。
法案は同日に内閣に提出される予定だったが、「再検討」のため提出は24日に延期された。与党内でも批判が強いため、憲法の例外的な規定を使って議会の承認なしで実施する強権的手法も検討されている。
7つの組合が、9日の行動に続いて3月31日にもストライキやデモを計画している。
★インド
ホンダの労働者を警察が弾圧
以下はインダストリオールのウェブに掲載されたレポート(3月4日付)の抄訳である。
ラジャスタン州タプカラのホンダ・モーターサイクル&スクーター社の労働者が、組合の権利と非正規労働者の正規雇用化を要求する闘いの中で、激しい弾圧に直面している。
2月16日に1人の契約労働者が残業を拒否したことで、上司から暴行を受けた。この労働者は残業が続いて体調がよくなかったので残業を拒否したのだが、会社側はメディアへの発表の中でそのことにふれていない。
同僚への暴行に抗議し、労働者たちはその日の午後、工場敷地内で座り込みを始める。経営者との交渉に呼ばれた組合役員が戻って来ず、連絡も取れなくなった。そのころ、BシフトとCシフトの労働者たちが工場の門前に集まり始めた。
警察官たちが経営側に呼ばれ、工場に入った。労働者たちは仲間を返すよう求めたが警察は労働者を強制的に退去させ、その際、数人を負傷させ、数百人の労働者を逮捕した。
一部は釈放されたが、組合委員長のナレシュ・クマール・メフタさんを含む44人がそのまま拘留。地裁は保釈請求を却下したが、ラジャスタン高裁はすべての労働者の保釈を認めた。組合員を含む多くの労働者が告訴された。経営者は約100人の労働者に対し、怠業を理由に停職を通告した。
発端となったのは労働組合結成の動きだった。この会社は3千人を雇用しているが、そのうち正規雇用は466人であり、それ以外は非正規雇用である。
労働者たちによると、会社は非正規労働者の正規雇用化に関して確立されている手続きを守っておらず、複雑なテストや面接が要求される。正規雇用化は多くの場合、経営側の恣意的な判断に委ねられている。労働強化と休暇も重要な問題である。
15年8月に労働者たちは全インド労働組合会議(AITUC)の支援によってホンダ・モーターサイクル&スクーター・2f・カムガール労働組合(タプカラ)を結成し、組合登録を申請した。非正規労働者の正規雇用化が主要な要求の一つである。
しかし組合登録の差し止めを求める訴訟が提起されたため、組合はまだ登録申請を受理されていない。その後、4人の正規雇用労働者と約800人の契約労働者が解雇された。
ガルガオン・マネサール地区の約50の労働組合による連帯行動として、2月19日にホンダの労働者がガルガオンのホンダ本社前で抗議行動を組織した。マルチ・スズキ、RICOやホンダのマネサール工場の労働者もこの行動に参加した。現在ではそのような行動も警察によって禁止されている。
最近のデモにおける労働者の主な要求は、1.拘留中のすべての労働者の釈放、2.労働者に対するすべてのでっち上げの容疑の撤回、3.停職・解雇の撤回と復職、4.2月16日の警察による暴力に関する公正な調査と暴力をふるった警察官の処罰、5.組合活動を理由とする脅迫をやめることである。