●台湾
「日航のリストラ・不当解雇に抗議10・31台北松山・羽田線就航を「祝う」行動」
今日(10月22日)、日本航空台湾分公司労働組合、台北市産業総工会などの組合員約80人が不当解雇に抗議する行動を行い、行政院(内閣)と関連機関が日本航空の計画を規制するよう要求した。
日航は今年に入って職員の半数をリストラする計画を発表し、すでに70人の客室乗務員を解雇してきた。組合は解雇を回避するために「一ヵ月勤務、一ヵ月休暇、賃金は半分に」と提案したが、会社側の強硬な態度は変わらなかった。
会社側は6月に、142人いた客室乗務員に対して「優遇退職案」を提示し、70人をリストアップした。「優遇退職を受け入れないと解雇する」、「70人の解雇ができないなら台湾からの撤退も厭わない」と恫喝してきた。52人が耐え切れずに優遇退職を選び、それを受け入れなかった18名は解雇された。
日航は業務縮小を理由に台湾人の客室乗務員を解雇する一方で、同じ業務のために日本人客室乗務員を雇用している。
労働組合の横断幕には「労工委員会(労働省)の不作為で労働者は上空に帰ることができない」と書かれていた。組合のリーダーの呉さんは、労工委員会の王如玄主任委員がしっかりと違法解雇を取り締まるべきだと指摘し、「彼女はかつてはNGOのために発言もしてくれたのに」と語っている。
法的には政府は会社側に対して2〜20万台湾ドル(1台湾ドルは約2・6円)の罰金を課すことしかできず、ほとんど規制にならない。そのため組合側は、労工委員会が行政院に対して特別報告を提出して、政府の関係機関が連携して日航を規制する必要があると主張する。
【続報】
「苦労網」楼乃潔記者のレポート(10月25日付)によると、22日の行動に続き、同25日にも組合側は民航局と交通部に赴き、民航局が日本航空の通航権を一時停止すること、交通部が行政院に対してこの事案についての専門報告を行うことを要求した。
解雇された客室乗務員の多くは勤続20年近い組合役員である。組合の李幸珍執行委員は「会社は退職金を節約するため、そして組合に打撃を与えるためにこのような方法をとった」と批判している。彼女によると、会社は労基法十一条の「業務縮小、損失」を理由にして職員を削減したが、日航の2010年4月〜9月期の利益は380億台湾ドルにのぼり、まもなく就航する松山・羽田線によって業務縮小どころか業務は拡大している。「台湾では大量にリストラ、一方で日本では900人の新人を採用するなんておかしいです」と彼女は言う。また、勤続20年以上の中高年の台湾籍社員を狙ってリストラしたのは退職金の支給を回避するためだ。さらに、労働組合法35条に具体的な罰則が規程されていない隙を突いて、堂々と組合の委員長ほか役員を解雇するという悪辣な手法でもある。
会社側は客室乗務員の次は地上勤務を上海に業務委託する予定で、次の対象は予約カウンターになるだろう。彼女は「台湾人のお金で潤い、仕事は中国に回すなんておかしい」と憤る。
*10・31に台北・羽田一番機に抗議
10月31日付の「苦労網」によると、同日、台北松山空港・日本羽田空港便が就航。日本からも多数の国会議員が就航記念式典に参加した。日航の客室乗務員解雇に抗議する日航台湾支社労働組合、空港関連労働組合連合会、桃園県産業総工会、台北市産業総工会などの労働団体が台北松山空港のターミナルの外で抗議行動をおこなった。何人かの労組幹部が警備ラインを越えて就航記念式典が行われているステージで抗議をおこなった。すぐに警察が抗議者を隔離したが、その際に一人が逮捕された。(翻訳・稲垣豊)
●中国
「深センのリコー子会社でストライキ」
以下は10月21日付の「南方網」のレポートの抄訳である。
深センにはリコーの子会社が3社ある。深セン市宝安区福永富裕工業区にあるリコー工業パーク(理光工業園)にある2つの子会社(理光越嶺美、理光データ)の合併をめぐり、労働争議が発生し、ストライキが一週間続いている。
記者が理光工業パークに到着した時には、敷地内に警察車両が停車し、入口には十数名の警備員がいたが、状況は平穏だった。午前11時ごろ、工場の壁を登っていた労働者が説得されて降りた。13日から操業が停止し、7日目になる。
ある労働者によると、この二つの子会社は10月初めに突然、合併することが公表され、理光越嶺美の労働者の間に不安が走った。労働者たちはリストラがあるのか、また、適切な補償があるのかを心配している。
「ほかにも小さな不満があり、一斉に爆発したということです。千名あまりの労働者が業務拒否しています。しかし暴力的な事態には発展しておらず、みんな仕事をせずに現場にいるだけの行動をとっている」。
記者はあるルートを通じて労働者の要求書と会社側の回答を入手した。30ほどの要求項目に対して、理光越嶺美の代表取締の高橋秀志の名前で回答している。回答のほとんどは「その予定はない」「今後検討する」というものだ。
職業危険保障、50%の基本給引き上げ、賃金調整補償などの要求は拒否、夏季飲料手当、業績奨励賞、休憩場所設置などについては、合併以降に検討するなどの回答、春節帰郷交通費などごく一部の要求だけが受け入れられていた。
このような回答に対する不満からストライキに発展した。
以下は中国のインターネットで公開されている情報の抜粋である。
10月21日
……全従業員は10名の労働者代表と9名の傍聴者を選出して会社と交渉を行った。ほぼ交渉がまとまろうとしていた。……会社側はそれまでの交渉をすべて白紙に戻し、10月16日昼に19名の代表を交渉を理由に呼び出して恫喝を行った。18日に操業を再開するという協定書にサインしなければ19名全員を解雇するという脅しである。このような不当な恫喝に屈することなく19名の代表は署名を拒否した。こうしてこう着状態に陥った。……
同23日
理光越嶺美と同じ工業団地にある理光データ系統設備有限公司(RCA)もストライキに突入したが、会社が雇った50人余のチンピラが昨晩労働者宿舎に押し寄せて労働者を恫喝した。もうすこしで寮から飛び降りそうになった労働者もいた。RCAの各部門の課長級以上の中国人管理者もすべて日本人に買収され、操業再開するように労働者に迫っている。RCAと理光越嶺美の現場労働者は、自らの権利を守るために困難な闘争をたたかっている。心ある中国人は団結してわが同胞に支援を!
同24日
友人たちよ、これは決して理光だけの問題ではなく、一人一人の中国人のことなのだ。日本が中国船の船長を拘留した時には中国政府が前面に出てやっと動きがあった。だが理光の中国同胞はすでに7日間もストライキを継続しているというのに、なんら具体的な回答もない。……
日本人はいったいどれだけ税逃れをしようとしているのか。これまでのところ全く払っていないじゃないか!ストライキが始まってからこれまでの交渉のなかで毎日2回も恫喝やペテンにさらされてきた。どうして日本人は中国でこんなに傍若無人なことができるのか。いったい何がその支えになっているのか。口をそろえて法令順守とか言っているが、なぜ取材に来た記者を工場に一歩もいれようとしないのか。……
同25日
今回の事件は、今日の午後に徐々に収拾し、生産を再開した。会社は一貫して労働者との正式な交渉を拒否し、高圧的な態度で操業再開を要求した。交渉を始めたと思ったら、労働者代表を解雇した。労働者らの要求は実現されていない。シンボリックに基本給を100元引き上げただけだ。……事件の収束は、武装警察、警察、労働監察隊、司法部門など政府の関連部門の強力な介入によるところが大きい。……介入理由を警察に聞くと、すでに単純な労働争議ではなく、サボタージュの扇動、操業再開の妨害などの形跡が見られ、社会の安定に影響を及ぼしたからだという。
●ポルトガル
「賃下げ・増税に反対し11・24ゼネストへ」
ポルトガルの最大労組、CGTP(75万人)は10月1日、社会党政権による緊縮財政政策と公務員の賃金引き下げに反対して11月24日にゼネストに入ると宣言した。この規模のストライキは07年以来である。
政府は9月に、公務員賃金5%引き下げ、年金の凍結、付加価値税の引き上げ(21%から23%へ)などの財政再建計画を発表した。
CGTPのリーダーのマニュエル・カルバド・ダ・シルバさんは「われわれは不当な犠牲を強いられており、この政策はわれわれの未来を破滅させる。一連の政策は不当であり、人々からの強奪である」と述べている。
ポルトガルでは世界金融危機の発生以来、労働組合の行動は低調だったが、政府の政策が最も労働組合が強いセクターである公務員への攻撃に最も大きな影響を及ぼすことから、ゼネストには多くの労働者の参加が予想されている。
与党(社会党)系のUGTは、ゼネストに参加するかどうかをまだ決めていない。
ポルトガルでは11月19〜20日にリスボンでNATO首脳会議が開催される予定であり、新自由主義的グローバリゼーションに反対するグループによるデモが計画されている。