★グローバル:ウーバー運転手が世界一斉スト
5月8日、世界の多くの都市でウーバーの運転手たちが同社の雇用形態と賃金体系に抗議して一斉にストライキに入った。
英国ではウーバーの運転手たちが他の労働組合の組合員たちと共に、全国のウーバーの営業所で抗議行動を行った。
イーストロンドンにある同社の英国本部の前では約20人の参加者がドラムを叩き、発煙筒に点火し、「ボスには数十億ドル、運転手には貧困賃金!」と書かれたバナーを掲げた。
サンフランシスコでは数百人の労働者たちがウーバー本社の前の通りを塞ぎ、ブラスバンドの演奏が響いた。労働者たちは3月に新規公開株(IPO)を売り出したウーバー社とライバル企業のリフト社が「運転手の裏でIPOを売り出した」と非難するプラカードを掲げた。
ニューヨーク本社前には約50人の運転手と支援者たちが集まった。参加者たちは「運転手の力、労働組合の力!」と唱和した。
2年前からウーバーで働いているジョージ・コロワさんは「私たちはこの会社に出資している」と言う。車を借りるか買うための費用や維持費・燃料費を出しているからだ。それがすべてこの会社の利益になっている。だから「私たちは多少の敬意に値するし、もっとましな賃金をもらってもいいはずだ」と叫んだ。
(「ニューヨーク・タイムズ」5月8日付)
★南アフリカ:COSATUとSAFTUの2つのメーデー
5月1日、南アフリカの最大労組COSATU(南ア労働組合会議、160万人)は全国でメーデーのデモ行進を行った。ダーバンでのメイン集会ではANC(アフリカ民族会議)のシリル・ラマポーザ議長(現大統領)も参加した。
COSATUの広報担当のシズウェ・パムラ氏はインタビューに答えて、現在この国では失業の危機が深刻であり、また国営電力会社ESKOMが重大な危機に陥っているが、COSATUは引き続き現政権を支持すると述べた。
現在南アの失業率は公式統計によると27%以上となっており、政権内部での腐敗も大きな問題になっている。
COSATUの最大組合だったNUMSA(南アフリカ全国金属労働組合、約35万人)がCOSATUから除名された後(本誌14年12月1日号参照)、17年に元書記長のズウェリンジマ・ヴァヴィをリーダーとしてSAFTU(南ア労働組合連盟)を結成した。
パムラ氏は「ヴァヴィの離脱とSAFTUの結成はCOSATUを弱めたが、今のCOSATUは09年のCOSATUではない。私たちは過去の罪を償おうとしている」と語った。
(「アフリカ・レポート」5月1日付)
SAFTUのメイン集会はブルームフォンテーン(フリーステート州)で開催された。
ヴァヴィは前日にテレビ番組で「最賃20ランド(ーランドは約8円)を支持する人たちがCOSATUの集会に集まるだろう。COSATUは死にかけている。」と語った。
SAFTUは前週に最賃20ランドに反対し、労働法の改正を求めるデモを全国で組織し、ヨハネスブルグでは数千人が参加した。
(AFN通信、5月1日付)
★インドネシア:メーデー集会に4万人が参加
5月1日、全国で多くの労働者がメーデーの行動に参加した。ジャカルタでは4万人が参加し、低賃金や社会保険の不備などへの不満を表した。
独立系ジャーナリスト連盟(AJI)はメディア企業が労働に関わる法律を遵守し、常に規則に従うことを要求した。
全インドネシア労働組合連盟(KSPI)のサイード・イクバル委員長は、「メーデーは労働運動活動家にとって、自分たちの大義のために闘い続ける決意を新たにする日だ。契約労働者を含む労働者の福祉は改善されなければならない。健康保険や失業保険もだ。電気料金を引き下げなければならないし、アウトソーシング(外注化)を中止しなければならない」と述べた。
KSPIが5月1日にジャカルタの屋内テニスコートで開催したメーデー集会では野党の大統領候補、プラヴォボ・スビアント氏(退役将校)も招待され、「労働者は国家経済の背骨だ、労働者は農民、漁民とともに国家と人民のための製品を生産している。労働者とその家族の将来を確かなものにするための闘いが具体的な成果を上げることを期待する」と発言した。
また、政府は4月26日にボゴールで行われた大統領と労働組合リーダーたちとの会談での3つの合意を早期に実現することを約束した。
つまり、1.2015年の賃金に関する規則の再検討と改定、2.すべての企業および工業団地での育児室の設置についての検討、3.全国の警察署に労働者の苦情に対応するためのヘルプデスクを設置するである(現在16の警察署にヘルプデスクが設置されている。
(「テンポ」紙5月5日付)
★シンガポール:野党系のメーデー集会、組合のあり方を批判
5月1日、ホンリム公園で行われたメーデー集会に400人以上が参加した。ユーチューブに職場での嫌がらせについての映像を投稿したことで、警察に拘留中のアモス・イーさん(16歳)への支持を訴えるメッセージを添えたバナナが参加者に配られた。
開会の挨拶で実業家のフランキー・ロー氏(国民連帯党の党員)は、シンガポールがいまだに先進国で所得格差が最も大きい国の一つであることを指摘し、政治の変革のために野党がもっとがんばるべきだと述べた。
退職教員のメアリー・ゴーさんは、「多くの年長者は賃金が安くて十分な貯蓄ができなかったので、退職後も働き続けなければならない。シンガポールの成長に貢献した人たちがなぜこんな人生を送らなければならないのか」と訴えた。
タクシーの運転手でシンガポール民主連盟の代表であるウィリアム・リさんは全国労働組合会議(NTUC)と政府の関係における利益相反を強調し、「組合と政府の利益が対立した場合にリーダーたちはどちらの側を代表するのか?」という問題を提起した。
ファティマ・アクターさんはNTUCの組合員として組合に相談した時に、自分で行動せず、管理職に言うか弁護士に相談するよう指示されたという経験を語った。彼女はまた、労働力省や「公平で進歩的な雇用慣行のための三者委員会」が労働者からの苦情に対処する際に、経営者の面接調査に依存することが多いと指摘し、独立した調査機関が必要であると述べた。
(「オンライン・シチズン」5月1日付)
★中国:人民法院が労働争議で負担過剰、組合と経営者に改善を勧告
上海市の虹口区人民法院が発表した統計によると、同区における労働争議は圧倒的に国内民間企業に集中している。18年に同法院で争われた従業員の解雇に関連する148件の訴訟のうち87%が民間企業に関わるもので、外資系企業は8%、国有企業は5%だった。
虹口区人民法院によると、外資系および国有企業はより適切に管理されているために労働争議が少ないが、民間企業、特に中小企業は景気後退などの外的要因の影響を受けやすく、また不正常な雇用慣行が多い。
同人民法院は同市の労働部、労働組合および業界団体が協力して、求人中の経営者と求職中の労働者の両方が利用できる労使関係改善のための信用システムを確立するよう勧告している。
人民法院がこのような勧告を出すのは虹口区が初めてではない。
昨年3月に北京第1中級人民法院の副院長は、雇用主は中国の労働法を遵守し、労使紛争を労働者および労働組合との平等なパートナーとしての交渉を通じて解決する必要があると述べた。
この副所長は08年の労働契約法の施行以降に人民法院で扱った労働争議についての記者会見で、従業員の権利と利益を保護する適切な雇用契約が労使関係の基礎となるべきであり、雇用主は「労働者が自分たちの要求や不満を表明するために声を上げる経路を開いておくべきだ」と述べた。
労働争議を民事法廷に提訴できるにはその前に地区労働紛争調停委員会で審理される必要がある。
「中国労働統計年鑑」によると全国で17年に地区の調停委員会で審理された紛争の総数は78万5323件であり、そのうち16万9456件が雇用契約打ち切りに関するものだった。
(「チャイナ・レイバー・ブレティン」4月29日付)