★チュニジア:UGTTが賃上げ要求でゼネストへ
チュニジア労働総同盟(UGTT)のリーダーたちは1月17日のゼネストへの支持を訴えるために全国を回っている。
ベジ・カイド・エセブシ大統領は41年前に同様のストライキが国内の平和を崩壊させ、政府の崩壊を加速したと警告している。
UGTTのヌレディン・タブビ書記長は1月3日、ガベス県での集会で「ゼネストはチュニジアの歴史の転換点となり、この国の分岐点となるだろう」と述べた。
政府は購買力の低下に関するUGTTの不満は理解できるが、政府の支出を削減し、財政の均衡を実現するためのIMFへの誓約のため、賃上げには同意できないと主張している。
IMFはチュニジアに対して、深刻な債務問題を回避するために公共部門の賃金を抑制するよう警告している。
IMFは昨年9月にチュニジアに対して、28億ドルの融資計画の下で2億4500万ドルの債券発行を承認した。
同書記長は「政府が賃上げについて提案するのはあまりにも遅く、提案もわれわれの要求とかけ離れている。ストライキを中止できるような合意に達するいかなる兆候もない」と語る。
UGTTは月270ディナール(ーディナールは約40円)の賃上げを要求し、政府の回答(最高80ディナール)を拒否している。
11月にUGTTは国営企業の労働者の賃上げを勝ち取り、ストライキを中止した。
UGTTは今年11月に予定されている選挙で賃金の問題を前面に押し出すことを計画している。
同書記長は「われわれはこの巨大な大衆的支持によって、この国の針路をリセットするだろう」と述べ、UGTTが反イスラム主義勢力と連携する可能性を示唆した。
チュニジア国内ではUGTTの政治的役割について評価が分かれている。
多くの経済的・政治的エリートは、UGTTが特定の政治勢力との同盟を避けて「安定要因」としての役割を維持することを望んでいる。
一方、UGTTはチュニジアをこれまでにない社会・経済的危機に陥らせ、投資の誘致と輸出の促進の機会を失わせた責任を、これらのエリートたちと共有していると考えている人たちもいる。
(「ミドルイースト・オンライン」1月5日付)
★インド:労働法改悪反対で1億5千万人がストライキ
1月8~9日、インド全国労働組合会議(INTUC)、インド労働組合センター(CITU)など10の全国労働組合組織の呼びかけでモディ政権による労働法改悪に反対する全国ゼネストが行われ、1億5千万人が参加した。
労働省は「不必要な法律を廃止する」という名目で現在施行されている44の労働関係の法律を整理して、賃金法、社会保障法、労使関係法、職業Lの安全・健康・労働条件に関する法の4つの法律にまとめるという方針を決定した。
労働組合はこのような「改革」が企業に有利なものであり、インドの4億5千万人の労働者の牛活に影響をもたらすと考えている。
モディ首相は15年7月の演説の中で、労働法の改定は労働組合の同意を得たのちにのみ行うと言っていたが、AITUCの声明によると「労働組合との協議は形式だけであり、4つの法案のうち3つはすでに議会に提出されている」。
これらの法案には、政府が独断で最低賃金を決定する権限を持つ、州政府は社会保障の運営を民間企業に委託できるなど多くの問題がある。
CITUは全労働者を対象とする社会保険制度、月1万5千ルピー以上の最低賃金(1ルピーは約1・5円)、国営・州営企業への投資の縮小の中止など12項目の要求を掲げている。
インドではモディ政権の下での労働者の生活や権利への攻撃に反対して16年9月にも1億5千万人がストライキに入り、全国規模のストライキは18回目である。
CITUのタパン・セン書記長によると、新しい労働法は「インドの労働者の奴隷化をもたらす」。
これは強制収容所のような工場ではすでに現実となっている。チェンナイ・コインバトール回廊地域やデリー近郊のマーネサル地区の工業地帯を歩いてみれば、そのような工場の雰囲気がわかる。それらはまるで要塞か刑務所である。労働者たちは遠くから連れて来られ、この地域にほとんど基盤はない。労働者が定住しないことと組合活動家が嫌がらせを受けることで過酷な労働環境が助長される。これがネオファシスト政治の温床となっている。
ケララ州では左派政権がモディ政権の政策に抵抗しており、労働者や農漁民の間の連帯も生き続けている。ストライキ中、州都ティルヴァナンタ。フラムを出発する鉄道は完全に停止した。スト参加者は線路に座り込んで線路を封鎖した。
オリッサ州のブバネシュワルを通る国道16号線は駐車場と化し、自動車もバイクも動けなかった。学校や大学は物音もしない。
組合はデリー郊外やチェンナイ郊外の工業地域をパトロールした。ムンバイの公共バスは駐車場に留まった。
モディ首相の政府は沈黙している。モディは大衆の行動を無視することを習慣にしている。
新しい労働法が施行されるとインドは実質的に職場の民主主義へのいかなる関心も放棄することになるだろう。労働者はこれに抵抗している。彼ら・彼女らは路上に出ている。自分たちの未来について別の計画を持っている。
(ウェブ誌「コモン・ドリーム」1月8日付、「フエミニズム・イン・インディア」1月10日付より)
★米 国:イスラエル・ボイコット不参加誓約書の提出拒否を理由に解雇
テキサス州の小学校教員のバヒヤ・アマウィさんはイスラエルBDS(ボイコット・投資引き上げ・制裁)運動に参加しないという誓約書への署名を拒否したことを理由に解雇された。
アマウィさんはパレスチナ系米国人で、9年前から同州オースチンのフラッガービル独立学校区で自閉症と発達障害の生徒の教育に従事してきた。
以下は人権派弁護士で、「平和を支持する退役兵」の顧問であるマルジョリー・コーンさんのレポートの抄訳である。
19年秋にアマウィさんは初めてこの誓約書への署名を求められた。アマウィさんは「イスラエルを支援する製品をボイコットすることの意味は、イスラエル政府に対してパレスチナ人に対する非人道的な扱いをやめるよう圧力をかけることです。パレスチナ人として育ってきた私はパレスチナ人が毎日直面している抑圧と闘争を身近に知っています」と語っている。
アマウィさんの解雇によってかつてのマッカーシズムの悪夢が甦った。アマウィさんは同12月に彼女を解雇した学校区を提訴した。
イスラエルに対するBDS運動は18年末に大きな議論を引き起こす問題となった。上院では超党派の議員グループがイスラエル・ボイコット禁止法を、連邦政府機関の閉鎖を回避するための歳出法案と抱き合わせにすることを画策した。
ソフトウェア企業のドナーボックスは親イスラエル・グループの要求に応じて、BDS運動のカンパ集めのためのアカウントを閉鎖した。
同12日に米国・イスラム関係評議会はアマウィさんの代理人として、フラツガービル独立学校区を相手取って、この宣誓を求めるテキサス州法が合衆国憲法修正第1条に違反すると主張する訴訟を連邦地裁に提起した。
アマウィさんの解雇について「ニューヨーク・タイムズ」は論説で次のように書いている。
「BDS運動に好感を持っているのはイスラエルに反対している人たちだけではない。イスラエルの支持者の中でも、多くの米国のユダヤ人がそうであるように、西岸地区の占領に反対し、占領地内の入植地の製品を買うことを拒否している。彼ら・彼女らがこのような方法で抗議する権利は断固として擁護されなければならない」。
BDS運動の最初の呼びかけ人の1人であるウマル・バルグースィーさんは同紙への電子メールで次のように述べている。
「イスラエルは草の根レベルで人々の心をつかむための多くの闘いに敗北したため、14年以来新しい戦略を採用してきた。イスラエルを責任追及から守るために、上からBDS運動への支持を犯罪扱いするという戦略である」。
バルグースィーさんによると、BDS運動のアカウントを閉鎖したドナーボックスの背後にいるシュラット・ハディン・グループは「イスラエルの極右政権とつながっている反動的団体であり、イスラエルのアパルトヘイト体制と抑圧に対するの非難を弱めようとする絶望的な試みの中でマッカーシー時代的な戦術を採用している」。
米国では現在、26州がBDSを禁止する法律を制定しており、さらに13州が同様の法律を審議中である。1月からの新しい議会でBDS禁止法が再提案される予定であり、上院ではミッチ・マッコネル(共和党)とチャック・シュメル(民主党)の両院内総務がこの法案を支持している。
民主党のバーニー・サンダース議員とダイアン・フェインスタイン議員はこの法案に反対している。
(「Zネット」12月30日付)