アジア@世界
喜多幡 佳秀 訳(APWSL日本)
941+2号

★トルコ
  独裁強化で公務員5万人以上解雇

 7月15〜16日のクーデター失敗の後、エルドアン政権は独裁支配を強化している。
 失敗に終わったクーデターの後、5万人以上の人々がトルコ政府によって追放、解雇あるいは停職にされた。


 エルドアン大統領に忠実でないと見なされる人々のパージは同19日には、教員、大学の学部長、メディア関係者に拡大された。
 政府はこれらの人々が在米の聖職者のフェトフッラー・ギュレンの支持者だとしているが、ギュレン氏はクーデターを指示したという嫌疑を否定している。
 トルコのメディアの発表によると、同日、1万5200人の教員および学校職員が解雇され、1577人の大学学部長が辞職を命じられた。また、内務省、財務省および首相官邸の労働者がそれぞれ8777人、1500人および257人が解雇された。


 トルコのメディア規制機関は、ギュレンとつながりがあるとされる24のラジオ局とテレビ・チャンネルの免許を取り消した。
 すでにクーデター関連で6千人余の軍人が逮捕され、約9千人の警察官が解雇され、約3千人の裁判官が資格停止にされている。


 ドイツ・バイエルン州のヨアヒム・ヘルマン内務相によると「トルコには深い亀裂が広がっており、ドイツ国内のトルコ人コミュニティーの中で不安が広がる恐れがある。エルドアン支持派と反対派の間の暴力的衝突の危険が高まっている」と述べている。
 EU諸国においては、トルコでの死刑制度の復活の動きへの懸念が広がっている。

 

(「BBCニュース」7月20日付より)

 

★ブラジル
  五輪建設で労災多発犠牲者追悼

 BWI(国際建設・林業労組)は7月28日にリオデジャネイロ市のマンギーニョスで、2016リオ・オリンピックの建設現場で労災によって死亡した労働者を追悼するセレモニーを開催した。


 オリンピック関連の工事現場で3年間に11人の労働者が労災で死亡した。
 BWIのアムベット・ユソン書記長は「1人の死亡でも大きな失敗なのに、11人も死亡したというのは何かが大きく間違っていると言わざるを得ない。このままでは開会に間に合わないからという理由で、労働者が死んでもよいわけがない」と語っている。
 同書記長によると「BWIは昨年以来、オリンピック準備の最終段階における危険な労働条件について警告しつづけてきた。工事の完成期日が近づくにつれて労災事故の件数が増えている。


 BWIの南米カリブ海地域代表のニルトン・フレイタスさんは次のように述べている。
 「労働者の命に対して誰も責任を取っていない。追悼セレモニーの目的はIOCにオリンピックの準備に携わる労働者の安全な労働条件を保証する措置を確約させることである」
 28日の追悼セレモニーでは、犠牲者の遺族が、会社や当局の冷淡さへの怒りを表した。

 

(BWIのブログ、7月26日付および8月1日付より)

 

 

アジア@世界 バックナンバー
協同センター・労働情報 〒112-0005 東京都文京区水道2-11-7三浦ビル2階 Tel:03-6912-0544 Fax:03-6912-0744