★スペイン
カタロニアで全州ゼネスト
カタロニァ州で10月1日に実施された同州の独立をめぐる住民投票へのスペイン警察の暴力的な介入・弾圧に抗議して同日、スペイン労働総同盟(UGT、左派系)、スペイン労働者委員会(CCOO、社会労働党系)、カタロニア国民議会(ANC、独立派の団体)など40余の労働組合・市民団体が同3日に全州ゼネストに入ることを呼びかけた。
1日夜に発表された呼びかけは、「われわれは社会のすべての人々、経営団体、事業主、労働組合、労働者、自営の労働者、カタロニアのすべての市民に対して、10月3日にこの『国』を止めることを呼びかける」と述べている(独立派はこの地域を「国」と呼んでいる)。
CCOOのカタロニア地方組織のハビエル・パチェコ書記長は「近年では前例のない民主主義への攻撃は統一した反撃を呼び起こしている」と語った。
しかしCGTとCCOOの全国組織のリーダーは3日のゼネストに反対している。
州政府は10月1日の警察の投票所突入の際に840人以上の市民が負傷して治療を受けたと発表している。
カタロニアはスペインの経済成長の重要な推進力のーつであり、GDPの19%を占めており、全州ゼネストの影響は全国に及ぶ。
同3日、全州の学校や大学は休業し、大部分の小規模企業も休業した。バルセロナの地下鉄も多くの便が運休したため、駅は閑散としており、ボケリア市場も人通りはほとんどなかった。大企業や空港はあまり影響を受けなかった。
警察によると、バルセロナで約1万5千人のデモ隊が道路を占拠して交通を遮断した。
「みんな怒っている。本当に怒っている」と近くの町からバルセロナにやってきたホセブ・ジャビナさん(自営業、53歳)は言う。「彼らは暴力を連れてきた。彼らは両手を挙げている人々を殴りつけた。怒るのが当たり前だ」。
バルセロナ現代アート美術館やサグラダファミリア教会などの観光名所や、サッカーのFCバルセロナもストライキに参加することを決めた。スペイン警察による弾圧に抗議して、いく
つかの地域では市民が広場に集まり、防衛委員会が組織されている。各地から派遣された警察官が宿泊しているホテルにもデモが押し寄せ、いくつかのホテルは警察官の宿泊を解約した。
バルセロナ中心部のデモでは、消防士たちが先頭に立ち、警察官の暴力からデモ参加者を守った。さまざまなグループが人間の鎖や、タイヤを積んだバリケードや、村から運んできたトラクターで道路を封鎖した。
バルセロナとタラゴナの港湾は完全に機能を停止した。バルセロナ大学は9月22日から学生たちによって占拠されている。
ゼネストを最初に呼びかけたCNT(全国労働者連合、アナーキスト系)はその声明の中で、「スペインの統一は常に極右派の旗印だった。だからどの地域からの自決権の叫びも、カタロニアの場合と同様に、恐ろしい反応を引き起こす。われわれはすでにスペインの全地域の多くの町でファシスト・グループの拡大を目にしている。スペイン国家と保守政権はますます強権的な姿勢を強めている」と述べている。
さらに、次のことを強調している。「間違ってはならない。われわれはますます強権化する国家による弾圧と、それにつながるファシストたちに強く反対するが、いかなる意味でも民族主義者たちの主張を支持するものではない。われわれは民族主義者たちにも不利な状況を作り出そうとしている。経済・社会的問題を前面に出すことによって、カタロニア政府がわずか数年前には社会的支出の削減を行ったということを人々に思い出させようとする。
これは国家間の闘争ではなく階級間の闘争である」
EUは依然として沈黙を保ち、警察の暴力を非難していない。これはカタロニア以外にもスコットランド、フランドル(ベルギー)、ヴェネト(イタリア)、バスク(スペイン)などの独立運動を抱えるEU内における緊張の高まりを反映している。
★ミャンマー(ビルマ)
ロヒンギヤへの暴力と差別に抗議
ミャンマー農業労働者・農民連盟(AFFM)の声明
国際食品労連(IUF)加盟のミヤンマー農業労働者・農民連盟(AFFM)は、ラカイン州で多くの人々が死亡し、家を失った暴力の終結を求めている。AFFMはラカイン州に組合員を擁しており、治安勢力による弾圧と残忍な暴力が労働者の恐怖と不安を拡大し、不安定な民主化を危機にさらしていることに懸念を表明する。
われわれは独立的な労働組合連合として、あらゆる差別に反対しており、政府、リーダーたち、国際機関に対してラカイン州における人権の保証とあらゆる暴力行為の集結のために力を合わせることを要求する。
AFFMは経済的、社会的公正を支持する独立的な民主主義的労働組合として、組合員を代表して、ラカイン州における平和の回復のための作業に参加する用意がある(9月26日付)。
全パキスタン労働者連盟(APWC)がロヒンギャ迫害抗議のデモ
9月19日、全パキスタン労働者連盟(APWC)の組合員がミャンマーでのロヒンギャのジェノサイド(集団殺りく)に抗議してデモを行い、鉄道、電力、輸送、衣料、建設、金融、化学
等の産業の労働者が参加した。
APWCのルビナ・ジャミル委員長、組合リーダーのクルシド・アフメド氏などが発言し、労働者たちはミャンマーでの何の罪もないムスリムの少数者への残虐な殺害を非難し、国連や公正を掲げる諸国に、ロヒンギャへの迫害を止めるために介入することを訴えた。
採択された決議は、すべての労働者階級に搾取から解放された平等な社会を実現するための団結と闘争を呼びかけている。
(パキスタン「ザ・ネーション」紙同20日付)
国際労働組合総連合(lTUC)の声明(9月15日付)
国際労働組合総連合(ITUC)はミャンマーの治安部隊と武装勢力の間の激しい衝突の中でバングラデシュへ逃れた30万人以上の無国籍の「ロヒンギヤ」の人々の状態について深刻な懸念を表明してきた。ゼイド・ラァド・アル・フセイン国連人権高等弁務官は「民族浄化の典型例」と述べている。
ITUCのシャラン・バロー書記長は次のように述べている。
「国際社会は数十年にわたってミャンマーで軍事独裁体制に反対するミャンマーの人々を支援してきた。軍による絶対的な権力の支配が緩和され、政治改革が確実に議題に上っている今、ミャンマーは国際法を尊重する意志を明確にしなければならない。ロヒンギヤの状況は新しいことではない。この問題についての前進が見られないだけでなく、何十万人もの人々が最も恐ろしい状況の中で、住み慣れた国を追われていることに重大な懸念がある。これらの人々は緊急の人道援助を必要としている。
いかなる形の過激主義も非難されなければならないが、同時にミャンマー当局は人権に関わる国際的義務を尊重する意志を示す必要がある。現在、すべての関係者が暴力の使用を放棄し、これ以上の犠牲者が出ないことを保証し、関係する人々の人権が完全に尊重
される形でこの状況を解決するための対話を可能にする必要がある」
★タ イ
移住労働者の待遇改善要求に経営者が名誉殿損罪告訴
昨年10月にタマカセット社(養鶏業)は同社による重大な人権侵害に抗議した14人のミャンマー人労働者を名誉殿損罪で告訴した。この問題で9月17日に、87の市民団体、労働者団体、企業、欧州議会議員グループがタイのプラヤ・チャン・チャチャ首相に書簡を送り、このような告訴が国連憲章の下の人権尊重に関する国際的義務に違反していることを批判した。
移住者を支援してきた人権活動家のアンディー・ホール氏も告訴に直面している。
14人の労働者は昨年7月に、1.賃金が最低賃金以下、2.残業代を支払われていない、3.移動の自由が制限されている、4.パスポートを取り上げられている(16年8月の労働保護法に違反している)として国家人権委員会(NHRCT)に救済申し立てを行った。
会社側はこれが会社の評判を傷つけたと主張している。
タイ最高裁判所は先週、同社が1998年の労働保護法に違反していることを認め、170万バーツの賠償金を支払うよう命じた下級裁判所の判決を支持した(ーバーツは約3円)。
名誉殿損罪が認められると14人の労働者は最大1年半の懲役または3万バーツの罰金を課される。
アンディー・ホール氏は最大7年の懲役と30万バーツの罰金である。
国際労働権フオーラム(ILRF)のアビー・マギル氏は「タイの破廉恥な雇用者は移住労働者を無力にし、搾取し続けるために名誉殿損罪を悪用している。……タイはそのような法制度を一掃する世界的な流れに逆らっている数少ない国のーつである。それどころか人権活動家に対する告発が増えており、それは労働者が声を上げられないようにする危険な効果がある」と述べている。
(国際労働権フォーラムのホームページ、9月17日付より要約)