★アルゼンチン
緊縮政策に抗議 全国でスト
4月6日、CGT(労働者総連合)、CTA(アルゼンチン労働者センター)などの労働組合と大衆組織がマクリ政権の経済政策に反対して全国ストに入り、ブエノスアイレスなどの主要都市の公共交通が止まり、学校・大学が休校となった。
CGTの3人の総書記の1人、カルロス・アクナ・ペナ氏はテレビの会見で、「このストライキには多くの理由がある。政府が最も困窮している人々のことを気にかけ、耳を傾けることを期待している」と述べた。
労働組合はピケットや街頭での行動を呼びかけなかったが、社会主義労働者運動(MST)、労働者社会主義党(PTS)、労働党などの左派グループは高速道路の封鎖を試みた。
バトリシア・ブルリッチ治安相は国家警備隊を動員し、国家警備隊は放水と催涙ガスでデモ隊を排除した。
この日、ブエノスアイレスでは世界経済フォーラム・ラテンアメリカサミットが開催され、海外の企業経営者や政治家たち千数百人が集まった。マウリシオ・マクリ大統領は主催者挨拶の中で「私たちが今日ここに集まり、仕事をしているというのは素晴らしいことだ」と、ストライキ参加者への嫌味を込めて語った。
これに対してCGTのヘクトル・ダエル総書記は「今日仕事をしているのは幸せなことだと言っていた人がいるが、私たちは数百万人の仲間が仕事がなくて苦しんでいるのに、幸せな気分になどなれない」と応じた。
サンタフェ州ロサリオではバスが止まり、学校が休校したほか、組合や左派グループによる道路封鎖によって市内各所で交通が麻痺した。コルドバ州では公共交通のほか、省庁や銀行の労働者がストライキに入った。
マクリ大統領は15年、経済自由化や投資家重視を掲げて就任して以降、多くの分野で緊縮政策を導入してきた。ガス・電気料金が高騰し、雇用は減り、公共機関では人員削減が進められ、一方で民間企業には減税が実施された。
これに対する抗議運動が広がっている。2月以降、全国で毎週、ガス・電気料金の値上げに抗議するデモが行われており、鍋やヤカン、笛で音を立てながらフアン・ホセ・アラングレン・エネルギー相の辞任とマクリの汚職疑惑の捜査を要求している。
また、3月以降、ブエノスアイレスの数千人の教員が教育予算削減に抗議する闘いを続けている。教育労働組合とブエノスアイレス教員組合は賃金引き下げと学校閉鎖に抗議する全国的なストライキの先頭に立ってきた。
ペナ総書記は、6日のストライキが「マクリが代表するすべてのものへの不満の表現である。われわれが直面している問題は、彼らが現実の問題を認識しようとしないことである。人々は購買力を失われ、怒っている」と述べた。
(「テレスール」4月5日付「ブエノスアイレス・ヘラルド」紙同7日付より)
★仏領ギアナ
フランス政府の無策に怒りのゼネスト
南米のフランス領ギアナ(人口約25万人)で3月27日に、フランス政府に対して治安や経済状態の改善を要求するゼネストが行われ、37の労働組合が参加した。
3月下旬から各地で道路にバリケードが築かれ、多くの商店が閉店し、ごみが山積みにされている。
フランス政府はゼネスト回避のために交渉団を派遣したが、22のコミューン(市)の市長全員が会見を拒否し、政府代表との直接交渉を要求した。
同28日に県都カイエンヌとサン・ローラン・デュ・マロー二で行われたデモには2万人余が参加した。
フランス領ギァナはアリアン・ロケット(欧州宇宙機関が開発した人工衛星打ち上げ用ロケット)の打ち上げ基地で知られている。デモ参加者たちは「フランス領ギアナが離陸するまで、アリアンは離陸できない」というスローガンを唱和した。
抗議運動を呼びかけた「ギァナを離陸させよう」運動はフランス政府に対して一連の要求を突き付けてきた。
デモ参加者たちによると、ギアナ人たちの怒りはフランス政府が医療、教育、経済、環境のさまざまな問題への対応を怠ってきた結果である。また、暴力や犯罪の多発と治安の悪化にも怒りが募っている。
16年には42件の殺人事件が発生している。新たに結成された「犯罪に反対する500人の兄弟」の代表のミカエル・マンセさんは「もう殺人と暴力にうんざりしています。女性や子供たちは怯えています。何とかしなければなりません」と語る。
医療の劣悪な状況も人々の怒りの原因となっている。昨年8月にカイエンの病院で高齢者が寝室で発生した火災で死亡し、同じ病院で6月から8月の間に4人の未熟児がブドウ球菌の感染で死亡したことが明らかになった。
この病院は以前から労働組合や利用者から安全管理の問題や人員・資材の不足、巨額の赤字について批判されてきた。
県都以外の地域では病院に行くのに数日かかることもあり、南東部のカモピ(先住民居住地域)では女性が出産のために丸木舟で最寄りの道路まで行き、そこからカイエンまで行かなければならない。
教育も厳しい状況にある。ギアナ労働組合(UTG)傘下の教育労働者組合(STEG)のヴィンセント・タタレアメーム書記長は「状況は壊滅的です。緊急の計画が必要です」と述べている。
また、人々はギアナの子供たちの必要に対応した教育内容を要求している。ギアナの子供たちはフランス共和国の教育の中で疎外されている。ヨーロッパの歴史が教えられ、土着の言語の使用は認められていない。これは深刻なアイデンティティの危機の原因になっている。
28日の首都でのデモに参加したリディアさん(31歳)は「ギァナはフランス本土より30年遅れています。これを何とかしなければなりません。ギアナの人たちが数十年間警告し続けてきたことが、今起こっているのです。もう限界です」と言う。
ギアナでは08年にもガソリン代値上げに反対する11日間のゼネストが行われている。
(「AFP」3月28日付、「イコールタイムズ」4月6日付より)
★インド
マルチ・スズキ組合員13人に無期懲役判決
3月18日、ハリヤーナー州のグルガオン地方裁判所は、12年7月にマルチ・スズキ社(日本のスズキの子会社)の工場で起こった労働者と経営者、警備員の問の暴力的な衝突に関連して、同社のゼネラル・マネージャーの殺害等の容疑で起訴されていた組合員など13人に無期懲役を宣告した。
この事件は管理者によるダリット(カースト制度の下で「不可触賎民」として差別されてきた人たち)出身の労働者への差別暴言をきっかけとする自然発生的なものだったが、会社側はこの事件を利用し、警察と連携して組合つぶしを図ってきた。詳しい経過と背景については本誌12年8月15日・9月1日合併号、13年8月15日・9月1日合併号を参照されたい。
以下はマルチ・スズキ労働組合・臨時執行委員会の3月19日付の声明の抜粋である。
3月18日、グルガオンの裁判所はわれわれの13人の兄弟たち(この内12人はわれわれの組合の役員)に、無実の「殺人罪」で無期懲役を宣告した。このほか4人の労働者には5年、14人には3年の刑(すでに4年以上拘留されているため、判決後釈放)が宣告された。
無罪となった117人は4年以上拘留されたが、その補償については決まっていない。ほかに148人が現在も拘留中で、保釈が認められていない。解雇された2500人は現在でも国家の弾圧の下に置かれている。
われわれはこれが客観的な判決だという嘘を許さない。労働者たちはアバニシュ・クマル・デヴ氏の不幸な死に全く関与していない。彼は労働者に好意的な経営者であり、組合の登録にも協力してくれた。
組合は12年3月1日に正式に登録され、同4月に要求書を提出した。この要求書は契約労働の廃止を要求している。だから彼らは同年7月18日の事件を企て、拡大させたのである。
……マルチ・スズキの最高経営責任者のR・C・バルガヴァは「これは階級戦争だ」と言った。政府は労使紛争を「法と秩序の問題」として扱い、組合結成の権利のための闘いを犯罪視している。われわれはこのような労働運動の犯罪視を非難する。
3月18日、判決の直後にマルチ・スズキの5つの工場の3万人の労働者が1時間の連帯ストライキを行った。会社側の賃金カットの脅しにもかかわらずである。
20の都市で連帯のデモが行われ、21ヵ国で連帯の行動が行われた。