★米 国
移住労働者のストに数万人が参加
2月16日、移住労働者のスト(「移民者がいない日」)の呼びかけに応えて、全米で数万人の移住者が欠勤した。これはトランプ大統領の移民規制に抗議し、米国経済が移住労働者に大きく依存していることに注目を集めるために、主にソーシャル・メディアを通じで呼びかけられた。以下は「レイバーノーツ」誌2月23日付のレポートからの抜粋である。
アーカンサスの食肉処理労働者、ブルックリンの倉庫労働者や家事労働者、ツインシテイー(ミネソタ州)の屋根職人が、グランドラピッズ(ミシガン州)やシャルロッテ(ノースカロライナ州)などの数万人の学生と共に、全国で行われた2月16日の「移民者がいない日」に職場や学校を休んで、デモに参加した。
ミネソタ州セントポールのルーファーズ(屋根・防水・合同労働組合)第96支部の組合員のホセ・フレメートさんは、「彼らはわれわれを犯罪者だとかレイプ犯だとか言う。そうではない。われわれはよりよい生活を求めてアメリカへ来て、勤勉に働いてアメリカを建設してきた」と言う。
ブルックリンの「労働者のための公正」プロジェクトの活動家、リジア・グアルパさんは、「われわれが建設や料理や掃除をしなければこの町は機能しないことを人々にわかってほしい」と言う。
ほとんどの地区でストライキは組織によって主導されたものではない。ベテランの活動家ですら驚いている。
ツインシティーの「労働者の団結と闘争センター」(CTUL)の活動家、スーザン・キクチさんは、「運動が組織化よりも先を行っている」と言う。
シカゴ地区の労働者センター、ARISEの活動家のホルへ・ムヒカさんは、「『私たち120人はもう雇い主に木曜日(16日)は休むからと伝えちゃったよ』という電話を受けるというのは信じられないことだ」と言う。同じような電話が何件もあり、「16日はどこへ集まればよいか」と尋ねられたので、ARISEは急遽集会の開催を決定し、宣伝期間が2日足らずだったが、当日は会場のユニオン・パークに3千人が集まった。……
オレゴン州のポートランドでは地元のラテンアメリカ系住民向けのラジオ局がストライキについて伝え、リスナーに参加を呼びかけた。組織からの呼びかけはなかったが数カ所で集会が開かれ、多くの企業や店が休業した。地域では移民局や警察の強制捜索に対応するためのホットラインと緊急救援チームが組織ざれている。
活動家たちは経営者による報復を許さないために、フェイスブック等を使って労働者の権利についての知識や、報復に対抗する方法等について情報を拡散した。
この日のストに対する報復として、全国で100人以上の労働者が解雇されている。しかし、多くの地区では労働者センターや移住者の組織からの強力な圧力によって、雇用者は移住労働者に対する報復を思いとどまったようである。
たとえばシカゴのピートズ・マーケット(食品チェーン)では、15日に全従業員に「明日出勤しなかった者は1週間の停職とする」という手紙を手渡したが、1人の従業員がこの手紙をフェイスブックに投稿し、それに応えてARISEが経営者に対して「労働者の行動は労働法で守られた権利である」と申し入れた。
フェイスブック上ではこのチェーンのボイコットの呼びかけが拡散され始めた。数時間後にこのチェーンは当日は6つの店を休業すると発表し、労働者たちは報復を恐れることなくストに参加することができた。
ツインシティーのCTULには、8つの職場から報復処分についての連絡があった。CTULによると、多くの雇用主はストライキに対処した経験がなく、労働法で守られた権利であることを説明すると処分を撤回した。撤回しない場合は、当該労働者のストライキ後の最初の出勤時に支援の仲間が同行した。こうして8つのケースのうち5つはすでに解決し、処分は撤回された。
時間が経つにつれて、全国でますます多くの職場が休業となり、多くの学校で欠席が半数に達した。ベッツィー・デボス教育長官の地元のグランドラピッズでは、あまりに多くの学生が欠席したため、この日、学校は休日扱いとなった。
「労働者のための公正」プロジェクトの活動家、イザベル・カスティージョさんはこの日は息子を休校させた。翌日息子を学校へ送っていった時、「人々は非常に感動していた。自分たちが人間であることを感じていた。1日分の仕事を失ったが、大きな一歩を踏み出した」と彼女は言う。
いくつかの組織が5月1日に再び移住労働者のストを呼びかけている。RISEのムヒカさんは。「巨人が再び目を覚ました。06年のストライキの時と同じような気持ちだ。地域のコミユニティーは何かをする用意ができている。行動する準備ができている」と語った。
★バングラデシュ
世界抗議で組合活動家全員保釈へ
以下はインダストリオールの2月23日付の声明である。
バングラデシュで昨年12月以降に逮捕された35人の組合員と衣料労働者の大部分が釈放され、残った人たちも間もなく釈放される。
これはバングラデシュ政府による労働運動弾圧に対するインダストリオールとUNIを先頭とする国際キャンペーンの成果である(本誌2月1日号および3月1日号を参照)。
これは2月23日にインダストリオール・バングラデシュ評議会(IBC)、労働省、バングラデシュ衣料製造輸出協会(BGMEA)の三者会合で合意された。合意によると、逮捕者の全員が釈放され、容疑が取り下げられる。
昨年末以来の弾圧に抗議して、20力国以上の労働組合がハシナ首相宛てに要請文を送った。「レイバー・スタート」が呼びかけたネット署名には1万人以上が賛同した。2月15、16日にはベルリン、ジュネーブ、ロンドン、ブリユツセル、ハーグ、ニューヨーク、オタワ、ソウルなど16の都市でバングラデシュ大使館へのデモが行われた。
インダストリオールのワルター・サンチェス書記長は次のように述べている。
「われわれは信じられないようなグローバルな連帯の広がりを目にしてきた。それはこの国の産業に労働組合との建設的な対話を促す強力なメッセージを送った。…昨年末に組合弾圧の発端となった問題はまだ解決していない。われわれは引き続き賃金引き上げのための闘いを支援し、すべての容疑が撤回されるまで監視し続ける」。
三者会合は、IBCが交渉における正式の代表として認められる先例となった。IBCおよび全国衣料労働者連合(NGWF)のアミルル・バク・アミン委員長は「われわれはバングラデシュ衣料労働者の正当な代表としての基盤を持っている。われわれは引き続き組合員のために闘う」と語っている。
★タ イ
拘留中ソムヨットさんに禁固6年
2月23日、バンコクの刑事裁判所で、11年4月に不敬罪容疑で逮捕され、拘留中の労働運動リーダー(「タクシンの声」誌編集者)ソムヨット・プルクサカセムスクさんに対する最高裁判決が読み上げられた。最高裁はソムヨットさんに不敬罪で6年、別件(軍高官に対する名誉棄損)で1年の禁固刑を宣告した(本誌11年6月1日号等に関連記事)。
一審判決(13年)は不敬罪と名誉棄損を合わせて禁固11年、控訴審(14年)は一審判決支持であり、最高裁判決は大幅な減刑である。
しかし、有罪判決そのものが不当であるだけでなく、すでに6年近く拘留され、健康状態が心配されているソムヨットさんにさらに1年以上の服役を課すことは人道上も許されない。
ソムヨットさんはこれまで16回にわたって保釈申請を提出してきたが、裁判所は「容疑の重大性」、「逃亡の恐れ」という理由で却下してきた。
これまで不敬罪の被疑者とされた人たちの多くは起訴を免れるか、減刑を受けるために罪を認めるか、恩赦を申請してきたが、ソムヨットさんは一貫して無罪を主張してきた。
ソムヨットさんの果敢な法廷闘争は、タイ国内で不敬罪をめぐる論争を活発化させた。国際的にも、「ヒューマンライツ・ウォッチ」やアムネスティー・インターナショナルなどの人権団体がソムヨットさんの無罪、即時釈放を求めてきたほか、EU、国連も不敬罪適用を憂慮していることを表明してきた。
ソムヨットさんの連れ合いのスカンヤさんも不敬罪に反対する運動や、不敬罪被疑者と家
族を救援するためのネットワークで中心的な役割を担った。
16年11月に韓国民主労総は彼の労働者の権利のための献身を称えるために全泰壱(チョン・テイル)労働賞を贈った。
韓国保健医療労働組合のカン・ヨンベ教育情報部長は「バンコク・ポスト」紙の取材に答えて次のように述べている。
「ソムヨットと私はこの20年間、国際化学・エネルギー・鉱山・一般労働組合連盟で共に活動してきた。彼はしばしば韓国でのワークショップに参加するためにタイの組合活動家を連れてきた。われわれは彼を、この地域の労働運動の良き友人だと思っている。…(全泰壱賞が)ソムヨットの釈放を求める国際的キャンペーンへの支援となることを期待している」。
(「プラチャタイ」紙2月23日付および同28日付より)