★ブラジル
ルラ元大統領への不当判決・収監に抗議
4月5日、ブラジル最高裁は、収賄罪で禁鋼12年1ヶ月の有罪判決を受けたルラ元大統領の人身保護令状請求を却下し、収監を認める判断を下した。
ルラ元大統領は金属労組本部に籠城し、駆けつけた数千人の組合員や支持者たちに判決の不当性と闘いの継続を訴えた後、同7日出頭し、収監された。
汚職摘発を名目として政権を纂奪したテメル大統領の下で、反改革と独裁化が加速化しており、極右勢力による暴力も拡大している。ルラ元大統領の収監をめぐっては、民主主義の回復を求めるデモが全土で展開されている。
以下はITUC(国際労働組合総連合)の同日付の声明である。
ルラ元大統領の収監を認めた4月5日の決定は、彼の法律上の権利への一連の侵害の最新のものである。
シャロン・バローITUC書記長はこう述べている。
「ルラは地方裁判所によって何の証拠もなく有罪判決を下された。そのことは地裁判事たち自身が認めている。今度は最高裁が、軍の介入の脅しの下で、僅差でこの決定を下し、ブラジルにおける貧困と格差との闘いにおけるルラの功績を永久に葬り去ろうとする強力な利権集団に追随した。ルラはブラジルで群を抜いて最も人気のある大統領であり、彼に対する訴追は彼が再び大統領に選出されるのを阻止することを目的としている」。
「ルラの弁護団はこの問題を国連人権理事会に提訴し、その中で裁判官および検事の露骨な偏見について指摘し、同理事会に対して、有罪判決を下した地方裁判所、セルジオ・モロ判事、および『洗車作戦』(大規模汚職捜査)に関わってきた連邦検察官たちがルラのプライバシーや公正裁判、恣意的拘束からの自由、移動の自由、有罪確定までの推定無罪などの権利を侵害してきたことを認めるよう求めている。以前に同理事会に提出された証拠は、秘密資料のメディアへの漏洩、逮捕状の違法な発行、盗聴した電話の違法な公開、『洗車作戦』の被疑者に対する期限なしの公判前拘留、司法取引の提案や、検察官およびモロ判事のルラに対する偏見の無数の事例を示している」。
「司法機関と、軍事独裁体制の下で富を築いてきた寡頭支配者たちと、軍司令官と、武装民兵を含む極右勢力の共謀はラテンアメリカ最大の国における民主主義そのものへの重大な脅威である。国際的な労働組合運動はブラジルの仲間たちとの固い連帯を保ち、彼ら彼女らの民主主義を擁護し、法の下の統治を回復するための闘いをあらゆる方法で支援する」。
★フランス
鉄道労組が「国鉄改革」反対、3ヶ月間の波状ストへ
マクロン政権は一連の労働組合攻撃の一環として「SNCF(国鉄)改革」を強行しようとしている。これは労働者の終身雇用や年次昇給などの権利を廃止する、国家が100%保有する株式会社に転換する、鉄道事業への民間の参入と自由競争を導入するなどの内容であり、SNCFの450億ユーロの債務、EUの規則を根拠に効率の向上、労働者の「特権的待遇」の廃止を打ち出している。
組合側はSNCFの赤字は高速鉄道への過大な投資によるものであり、株式会社への移行は民営化につながると指摘している。
フランスの国鉄改革の動きは1995年に大規模な規模なストライキによって頓挫しており、フランスの資本家にとって長年の懸案である。
CGT、SUDレールなど鉄道部門の4つの労働組合はこの改革が労働者の賃金・労働条件への攻撃であり、同時に公共サービスへの攻撃であると訴え、4月初頭から6月にかけて波状スト(5日のうち2日、合計36日間のスト)を呼びかけている。
4月2日の第一波ストでは、全国で4分の3以上の運転士と約半数の鉄道職員がストに入り、ローカル線は5分の1、高速TGVは8分の1の列車だけが運行した。パリへの通勤に大きな影響があり、国際線も大部分が運休した。
通勤のために午前4時に起きたという学校職員(五〇歳、女性)は「私はこのストライキに賛成でも反対でもありませんが、我慢するつもりです。なぜなら鉄道労働者は私が毎日闘っているのと同じ要求のために闘っているからです。…マクロンは金持ちの大統領であり、鉄道労働者は一般の人たちの利益を守っています」と語っている。
この日はエネルギー部門や航空部門の労働者もそれぞれの要求を掲げてストライキに入り、教育改革に対する闘いを展開している学生たちもデモに合流した。
7日夜から9日にかけての第二波のストライキはエールフランスのストライキ(30%の便が運航中止)と重なり、国内と海外への交通に大きな影響をもたらした。エールフランスの労働者は6%の賃上げなどの要求を掲げて(会社側の回答は1%)、2月以降ストライキを繰り返している。
ストライキを支援するために3月下旬に呼びかけられたオンライン・カンパはわずか2週間で50万ユーロを超え、日を追って広がっている。
(「ロイター」4月3日付、「ザ・ガーディアン」同8日付、「ザ・ローカル」同9日付等より)
★インドネシア
サウジアラビアでの移住労働者の死刑執行に抗議
04年にサウジアラビアで雇用主を殺害したとして08年11月に死刑判決を受けていたムハンマド・ザイニ・ミスリンさんの死刑が、3月18日に執行された。
ムハンマドさんは東ジャワ州マドゥラ島のバンカランの出身で、妻がサウジアラビアのジッダに残されており、2人の子どもはバンカランにいる。遺体はメッカに埋葬された。
現地のインドネシア大使館は事件について08年の死刑判決後に初めて知らされた。その後、新しい証拠に基づいて再審の請求が行われ、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領はサウジアラビア国王に死刑判決の撤回と死刑執行の中止を求める書簡を送っていたが、死刑の執行はインドネシア側には一切知らされていなかった。
死刑執行のニュースはインドネシアの人々に大きな衝撃を与えた。同20日にはジャカルタで、移住労働組合、移住労働者支援センター、人権グループなどの活動家がサウジアラビア大使館前で死刑執行に抗議する行動を行った。インドネシア政府もサウジアラビア政府に、再審請求中の死刑執行に抗議する公式の書簡を送った。
(「テンポ」3月20日付等より)
★ベトナム
サムソンの人権侵害でITUCが文在寅大統領に要請書
韓国の文在寅大統領のベトナム訪問(3月23日)を前に、ITUC(国際労働組合総連合)はシャロン・バロー書記長から同大統領宛てに、ベトナムにおけるサムソンの工場労働者に対する劣悪な労働条件と人権侵害の是正を求める書簡(同21日付)を送った。
同書記長は次のように述べている。
「サムソンの人権侵害や労働者の権利侵害の履歴は同社が事業活動を行っているほとんどの国で明らかになっている。労働者に健康上の重大な影響や死をもたらすような化学物質に関する情報を『取引上の機密』を理由に公表しないことや、組合の不承認など、サムソンはモラル的な基準を失ったビジネス・モデルに依存している」。
ベトナムにおけるサムソンのやり方に対する批判は、昨年12月にハノイの「ジェンダー・家族・環境・開発に関する調査センター」(CGFED)とIPEN(有毒物から健康と環境を守
ることを目的とする国際NGO)の調査によって多くの証拠が公表されたことを契機に拡大している。
この調査報告によると、サムソンの携帯電話の製造に使われている有毒の化学物質について、労働者にはその危険からの保護の方法が知らされていない。
サムソンの工場で働く若い女性の間で、毒性の化学薬品が関係すると思われる失神や疲労、流産が頻発している。
国連の人権専門官は3月22日に、労働環境に関して話した労働者への嫌がらせや脅迫への懸念を表明している。
労働者たちは政府機関への出頭を求められたり、訴訟の脅しを受けている。
サムソン電子はベトナムで最大の外国資本であり、約13万7千人を雇用し、同社の携帯電話の50%を生産している。
バロー書記長は、「文大統領が人権と労働者の権利のためのリーダーシップと決意を示すことが、この地域において多国籍企業のための製品を製造し、サービスを提供している何百万人もの労働者の権利の尊重を保証する上で決定的に重要である」と述べている。
バロー書記長は、「文大統領はILOの中核的条約を批准し、国家人権委員会の勧告に従うことを表明している。新たな『南への政策』は東南アジア諸国との経済的関係だけを追求するのではなく、特に韓国企業の行動との関係において、人権尊重への決意を反映しなければならない」と述べている。