ポルトガル
緊縮政策反対のゼネスト、社会党系労組は不参加
3月22日、トロイカ(EU、欧州中央銀行、IMF)とコエリョ政権による緊縮財政政策に反対するゼネストが行われた。共産党系のCGTP(労働総同盟、70万人)が呼びかけたもので、前回(昨年11月)共闘した社会党系のUGT(労働者総連合、52万人)が参加を拒否。UGTは政府及び経営者団体との労働協約を1月に締結、緊縮政策や労働改革を受け入れ、リーダーのジョアオ・プロエンサは「ストは雇用を守る最良の方法ではない」と語った。
昨年12月の失業率は14%(若者は28%)、組合員の間でもスト参加による減収や、失業への恐れが広がっている。しかしUGT傘下の一部の組合はゼネストに参加した。
リスボンやポルトの交通は、ほぼストップ、学校、病院、裁判所、港湾等公共サービスの多くも休業。公共交通セクターは財政再建計画中で主要なターゲットとなっている。
昨年、広場占拠などの直接行動に決起した「10月15日運動」はゼネストに連帯してデモや金融機関等への直接行動を行った。リスボンでは無抵抗の市民(ジャーナリスト2人含む)が警察官の暴行を受けているシーンがテレビで生中継され、政府批判が高まっている。CGTPは急進的な行動に一線を画し、自分たちのデモから排除した。
CGTPのリーダーのアルメニオ・カルロス氏によると、緊縮財政政策と労働改革により、多くの労働者は最大25%の収入減(賃金引下げと増税)だけでなく、労働時間の延長や超勤手当の引き下げ、解雇規制の緩和の影響を受ける。
CGTPはトロイカの救済条件を拒否、債務の再交渉を要求するべきだと主張している。(「フィナンシャルタイムズ」3月22日付、「LIBCOM」3月29日付等より)
バングラデシュ
労働者支援団体の活動家が殺害される
以下は「インターナショナル・レイバー・ライツ・フォーラム」のウェブに掲載された報告(4月9日付)の要約である。
バングラデシュの元衣料労働者で、労働者の権利擁護活動を続けてきたアミヌル・イスラムさんの拷問の痕が残っている遺体が4月5日にダッカ郊外で警察官によって発見された。アミヌルさんは同4日から行方不明になり、家族が捜していた。家族は同7日に新聞に掲載された写真からアミヌルさんが殺害されたことを知った。
アミヌルさんは「バングラデシュ労働者連帯センター」(BCWS)の活動家で、最近米国ABCニュース番組で発言、バングラデシュの搾取工場で昨年発生した火災事故(労働者29人が死亡)と米国の衣料ブランドの関係を告発。BCWSはバングラデシュの衣料産業での労働者の状態を記録し、改善のための活動を世界的に評価されており、この2年間、政府や経営者から攻撃や脅迫が続いていた。2010年にはBCWSの活動許可が取り消され、アミヌルさんと他の2人のスタッフが逮捕・拘留された(その後、国際的圧力によって釈放された)。
グローバル
3つの国際産別組織が合同、「インダストリオール」結成
ICEM(国際化学・エネルギー・鉱山・一般労組)、IMF(国際金属労連)、ITGLWF(国際繊維・被服・皮革労組連盟)は6月に解散大会を開催。新組織「インダストリ・オール・グローバル・ユニオン」を結成、大会は6月18〜20日にデンマーク・コペンハーゲンで開催される。
新組織は、石油・天然ガス採掘、鉱山、発電と送電、金属および金属製品の製造、造船、自動車、航空機、機械、電気製品、化学製品、ゴム、パルプ、製紙、建設材料、衣料、繊維、皮革、履物、環境サービスなど広範な産業を網羅する。
規約、行動計画、リーダー等は結成大会で決定される。開設された ウェブによると、「より大きな力をもち、グローバルなレベルで供給チェーンの全体にわたって強大な発言力を確立することがインダストリオールの結成を推進している動機である」。
タイ
有力衣料メーカーがビルマへの移転を次々計画
「ネーション」紙3月17日付によると、タイの有力衣料メーカーが賃金の安いビルマ(ミャンマー)への移転を計画している。
ビルマが民主主義への移行を進めていることと投資法の規制緩和を受け、少なくとも6つの有力メーカーが今年後半にビルマに工場建設を予定中。タイ衣料品製造協会(TGMA)の顧問バロップ・ビタナコーン氏によると、各工場が大量生産を計画、千〜3千人の雇用が生み出される。ビルマ政府は24年間改定されてこなかった投資法の改定を検討している。ビルマの労働コストはタイの3分の1である。
TGMAのスキジュ・コンピヤチャン会長は、現在のタイの労働力不足と最低賃金の引き上げ(4月から1日300バーツに)の中で、大手の15の企業が近隣諸国への移転を検討していると述べている。
近年、タイの衣料メーカーはベトナム、カンボジア、ラオスへ進出しているが、ビルマは国内市場が大きく、第三国への再輸出の拠点ともなるため、より大きな工場の建設が想定されている。
バロップ・ビタナコーン氏はタイ政府が賃金引き上げという「不合理な」政策を続けるなら、企業は国内での投資を躊躇し、輸出が減るだろうと警告している。
インド
監禁された13歳の家事労働者を救出
4月4日、ニューデリー郊外の住宅地で少女が2階のバルコニーから助けを求めているのを近所の人たちが見つけて消防署に通報。消防隊が救出した少女は13歳。雇用主のタイ旅行の間、部屋に閉じ込められていた。彼女の証言によると、雇用主は彼女を奴隷のように扱い、賃金も払わず、気に入らないと殴った。彼女は伯父によって人材斡旋業者に売られ、業者が彼女を雇用主に売った。
インドでは近年、新しい中産階級の中で家事労働者の需要が急増中。児童労働がその需要を満たしている。今回のような虐待は例外的な事件ではなく、同様の事件が頻発している。前週にもネパール人の少女(11歳)が麺棒で殴られるという事件が報告されている。
ILOの報告によると、インドでは児童労働(5歳〜14歳)が1千260万人で、そのうち約20%が家事労働者である(「ニューヨークタイムズ」4月4日付より)