たたかいの現場から

995号

東京美々卯〉コロナ便乗で解雇?! 再開もとめ板前ら立つ

 うどんすきの名店・東京美々卯((株)東京美々卯)が、5月20日東京地域の6店全店の閉鎖と会社解散を強行し、約150人の労働者が雇用を奪われた。
 従業員の家族がSNSでつぶやいたため前日に閉鎖が発覚したが、従業員には一貫して「休業と言っておけ」等と指示、老舗でありながら常連や顧客に対して知らせずに欺いていたことになる。

 

 東京美々卯は、発祥である大阪美々卯((株)美々卯)と別会社の形をとっているが、解散などの議決権をもつ株式のほぼ100%を大阪美々卯が所有、数年前まで大阪美々卯・薩摩和男社長が会長を兼任、ホームページには「東京のお店」として同列の扱いで掲載されており、大阪美々卯が一体となって経営してきたことは明らかだ。

 

 「経営は健全」とホームページで誇っている通り、昨年の財務資料によると債務を差し引いても8億円余りの資産を有している。倒産でなく会社解散であるという事実が、経営破綻していないことを物語る。

 

 東京美々卯には、板前さんを中心に労働組合(全労連・全国一般東京地本東京美々卯分会)があり、会社解散といった重大な問題は事前に協議し合意する協定を交わしていた。
 ところが、会社は組合に説明をしなかったばかりか、「組合を脱退すれば大阪に支援を頼める」等と組合脱退を唆した事実が明らかになっている。

 会社は「協定は無効」などと強弁していることから、労働組合との団交を回避するために協定の無力化を画策していたと言える。

 

 組合員の要求は、「営業を再開してほしい」「技術を生かして働きたい」というものだ。

 京橋地域で長年商いを営んできた人たちが大規模再開発によって町から追われる事態となっている中、地域住民や、築地や豊洲等の仕入先と一緒に、東京美々卯再開を求める署名がスタートした。

 

 顧客や取引先、地域経済や労働者を一顧だにせず、コロナ禍に便乗して経営者・株主の利益だけを求める経営姿勢は社会的に認められない。
 組合は、東京都労働委員会と地位確認裁判の法廷闘争を構えている。併せて、事実上経営件を握つている大阪美々卯・薩摩和男社長に対して、東京美々卯再開の決断を迫る方針である。

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「東京美々卯再開」署名のご協力を呼びかけます。
 問い合わせ先
 全労連・全国一般東京地本  Tel:03-6661-2773

 

森 治美(全国一般東京地本委員長)

 

新生物流〉解雇争議が勝利解決 会社が不当労を謝罪

 ファミリーマートの店舗配送を行っている新生物流では、2015年に無期限の乗務停止を受け、その後解雇された乗務員が中心となり、3名で分会を結成した。
 1年以上にわたり解雇撤回闘争をたたかい、2017年3月、原職復帰を勝ち取り、以降、最低賃金スレスレの低賃金と劣悪な労働条件の改善を要求し、会社と交渉を続けていた。

 

 2019年9月に米子営業所が撤退。他社がその業務を引き継ぐこととなり、わずか2ヵ月後の20年1月15日、2月末での北九州営業所閉鎖・全員整理解雇との通告を突然行った。
 解雇通告以降、3回目の団交に社長が出席したが、経営状況のまともな説明も行わず、わずかな補償以上(退職金なし・全員に最高5万円支給)のことはできないとの回答だった。

 

 分会は、勤務最終日の2月28~29日、ストライキを貫徹した。

 その後、ファミリーマート・元請のスリーエスも含め経営責任を追及し、2ヵ月間で18波におよぶ現場闘争に取り組んだ。

 ファミリーマート北九州定温センター前では、赤旗がはためき、行きかう車の注目の的となった。

 

 労働弁護団の若手を中心に強力な弁護団が結成され、裁判闘争の準備も進めた。

 SNSも駆使し早期解決をめざし闘った。
 その結果、会社より、3回にわたる解決交渉を経て、当初の和解案を大きく上回る内容の和解案が提示された。

 組合員を新会社に引き継がなかったこと、組合に誠実な説明を行わなかったことについて不当労働行為を認め謝罪する、という確認も勝ち取った。

 

 全国一般北九州支部や筑豊支部、地区労連、北九州共闘センター、教職員組合の仲間など、たくさんの支援に支えられて勝ち取った勝利である。

 コロナが落ち着いたら、解決報告集会を行いたい。

 

末永 弘美(全国一般ユニオン北九州)

 

ユナイテッド〉成田空港で就労要求 想い伝わる行動に

 6月20日、第42次成田空港就労要求行動を行いました。
 コロナの影響で4カ月自粛し、成田空港公団からは何度も中止を促す電話がある中での成田行動で、正直少し不安でしたが、50名以上の方が遠方にもかかわらず支援に駆けつけてくださり本当にありがたかったです。

 

 お客様も空港スタッフもあまりいない中での行動でどうしたらいいかわからず、誰に向けたメッセージなのか自分でもわからないけれど、とにかく声を出して訴えました。

 私たちの新たな思いが会社、支援者に伝わった力強い行動となり、何より自分達が励まされました。

 

 この行動を皮切りに自信を持って職場復帰をめざす闘いを再開したいと思います。

 

吉良 紀子(ユナイテッド闘争団)

 

JAL〉「稲盛氏は解雇撤回を」 豪雨つき京セラ美術館前で

 50億円で50年間の命名権を京都市から買い取った稲盛和夫率いる京セラは、この5月26日、京都市左京区岡崎の市立美術館をリニューアルオープンし、「京都市京セラ美術館」と命名した。
 人のほっぺたを金でひっぱたくのを常とする京セラ創業者、JAL元会長の稲盛和夫。今はJALと京セラの「名誉顧問」となっている。

 

 屋根もひさしもないところですさまじい豪雨の下、フラカード・のぼり・横断幕で訴えた。
 おりしもこの日は大阪府警察本部前での関生反弾圧闘争報告集会とかち合ったが、若狭の原発を考える会やXバンドレーダー基地反対京都連絡会、憲法を生かす京都の会、9条ネット・滋賀やユニオンネットワーク京都に参加するみなさんなど、多数ご参加いただいた。

 

 ハンドマイクで関生支部の仲間からも、熱い連帯あいさつを受けた。
 若狭の原発を考える会の木原肚林共同代表からは、「今、大企業の経営者は本当にモラルが低下している」と、関電原発マネー問題と安倍政権と一緒に原発に固執し、40年をはるかに越える老朽原発を再稼働しようとたくらむ関西電力経営陣と、一私企業が市民の美術館をカネに物言わせて名前を強制する厚かましさに抗議した。

 

 京丹後の米軍Xバンドレーダー基地撤去に向け闘う仲間からは、31年前に一応終結したサイバネットを京セラが買収して、そこで働く人たちがつくっていた労組つぶしで起きた労働争議を振り返り、「一応和解解決とはなったが、闘う労働組合つぶしのひどさはJALでの首切りと一緒であり、許されない」と訴えた。

 

稲村 守(JAL闘争を支える京都の会会員)

 

関生弾圧〉武さん元気に保釈 反転ヘシンポ開催

 正当な労働組合活動が、「恐喝未遂」「強要未遂」「威力業務妨害」にあたるとして組合員のべ81名が逮捕された、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下、関生)の大弾圧事件は、武建一委員長と湯川裕司副委員長の異常な長期勾留が続いていた。

 しかしついに、5月29日に武委員長が、次いで6月1日に湯川副委員長が保釈された。

 

 今年78歳を迎える武委員長の体調を心配していたが、641日もの強いられたとは思えないほど元気な様子だった。
 武委員長に今回の弾圧の本質について尋ねた。

 

 「まともな労働組合の広がりを阻止し、御用組合的な労働組合しか認めないと言う権力の強い意図が感じられる。事実上、憲法28条を企業内しか認めない、産業別労働組合は潰すという攻撃が仕掛けられてきていると受け止めている。これは国策捜査だ」

 

 「日本の産業構造は、二重三重の下請け、孫請けによって成り立っている。この分断政策によって搾取している構造が、労働者と中小企業の団結によって形骸化することを権力は大変恐れている」。

 

 コロナをきっかけに改めて労働組合の必要性が間われていることにふれ、「どんどん非正規が切られ、中小零細企業が倒産していく状況に直面し、団結できる条件が拡大している。団結する手法をまだ知らない人たちに労働組合がその方法を伝え、武器にし、結集させていくことができれば、一部の者に、経済や政治が集中する仕組みを変えることにつながると思う」との言葉には大変勇気づけられた。

 衰え知らぬ反転攻勢への決意が伝わってきた。

 

 6月21日には、労働組合つぶしの大弾圧を許さない実行委主催で、シンポジウム「今、見逃せない労働組合弾圧」が学働館にて開催され、動画配信も行われた。

 パネラーとして関生弁護団の永嶋靖久弁護士、亀石倫子弁護士、ジャーナリストの竹信三恵子さん、吉田美喜夫立命館大学名誉教授が並んだ。

 

 関生弾圧に関する集会に今回初めて登場した亀石弁護士は、自身が担当されたダンス規制法やタトゥー彫師医師法違反裁判を事例に上げ、「タトゥーもクラブも人からあまり良く思われていなかった。権力は社会から嫌悪感を抱かれているところから排除する。今回の関生弾圧事件は、権力が労働組合に対する嫌悪感を悪用している」と発言し、事件をまず知ってもらう事、事実を正しく伝えていくことの必要性を訴えられた。

 

 無実を勝ち取るための闘いは、これからも続く。

 支援の輪をさらに広げていこう。

 

大椿 裕子(社民党常任幹事)

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