952号
◎語学教育外部委託化の動き 労組のたたかいで中止の大学も
語学教育の外部委託化の動きに対し組合が反撃。大阪市立大が1月、「17年度は委託化しない」と文書回答するなど、成果も出ている。
2016年4月、帝塚山学院大学に勤務する3名の外国人非常勤講師組合員が、担当する英語の授業を3コマから2コマにカットされた。新年度が始まると、英会話学校・ECCから来た講師が英語関係科目を10コマも担当。大学がECCに業務委託していたことが明らかになった。
大学設置基準19条は、「教育上の目標を達成するために必要な授業科目を自ら開設するものとすること」と定めている。これは、民間企業への業務委託が拡大していた07年、文科省が大学設置基準の一部改訂を行い各大学に通知しているので、帝塚山学院大学も知らないはずがない。
大阪教育合同は、オープンキャンパスの日に抗議申し入れ行動を行った。この行動が流れを変え、大学も組合と真剣に協議。「3名の組合員に対して、17年度は減コマした1コマ分を回復する」との回答を引き出し、合意書調印に至った。しかし大学は、今も業務委託を継続している。引き続き組合は追及の手を緩めない。
一方、大阪市立大学は16年度初め、長年継続雇用している英語の外国人非常勤講師に、「再契約の有無」について「原則として、更新しない」と変更した契約書にサインを求めた。変更点に関する説明もなく、英語の契約書も用意されていなかったため、組合員は、従前と同じ内容だと思ってそのままサインしてしまう。
変更点に気づいた組合員から連絡が入りゼネラルユニオンと共に大学を訪れると、2学期制から4学期制への変更に伴い、英語教育の外部委託化を検討していることが明らかになった。
組合は、「単位や卒業認定に関わる授業を外部委託するのは派遣法違反になる」ことを激しく指摘し、だまし討ちのような契約書を撤回させた。さらに、組合員の継続雇用と英語教育の外部委託化中止を求め団交。首都圏大学非常勤講師組合が追及した早稲田大学の語学授業外部委託問題の二の舞になることは間違いないと指摘した。
すると16年7月27日、大阪市立大から「来年度からの英語科目の外部委託化はしないと決定した」との電話が組合に入った。そこで、協定書作成に向けて団交を重ねたが、大学はこれを頑なに拒否。17年1月10日、「回答書」という形で組合に対し公式に答えた。
その内容は、「17年度の英語教育の外部委託化は行わない」「法人は、組合員の労働条件の変更については、事前に組合と十分に協議する」など。事前協議事項について文書化できたことは大きな成果だ。
さまざまな大学で、密かに英語教育の外部委託化が行われている。見過ごさず、やり過ごさず、大学の姿勢を追及していこう。
大椿 裕子(大阪教育合同労働組合)
◎辺野古・高江現地と呼応し防衛庁に申し入れ
年明け1月4日夕方、「辺野古への基地建設を許さない実行委員会」の呼びかけにより市ヶ谷の防衛省前で「オスプレイ配備撤回、辺野古基地建設再開阻止」の抗議行動と防衛省への申し入れが、沖縄・辺野古現地での行動と呼応して取り組まれ200人が結集した。
辺野古の工事再開、墜落事故を起こしたオスプレイの飛行再開、山城博治さんらの長期拘留など、日米政府の所業には怒りが収まらない。一坪反戦地主会、辺野古土砂搬出反対全国協議会など、そして沖縄からは電話で、ヘリ基地反対協議会の安次富氏が闘いの決意を述べた。今年、正念場の闘いを全国から支えよう。
瀧 秀樹(昭和シェル労組)
◎日日刻刻 労働政策審議会「改革」 (12.14〜1.05)
16年12月14日(水)
■厚生労働省の「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」は、労働政策審議会のあり方について「基本部会は、公労使同数の三者構成ではなく有識者委員により構成するものとし、課題に応じて高い識見を有する者を選任する」と三者構成でない新たな「労働政策基本部会」(仮称)の設置などについて提言。
15日(木)
■厚生労働省の2016年「労働組合基礎調査」結果(16年6月30日現在)を発表。労働組合員数は994万人で前年比5万8,000人(0.6%)増。推定組織率は17.3%(同0.1ポイント低下)で過去最低。パートタイム労働者組合員数は113万1,000人で、同10万6,000人(10.3%)増。推定組織率は7.5%(同0.5ポイント上昇)で過去最高。
■リクルートジョブズの調査研究機関ジョブズリサーチセンターによると、2016年11月度「派遣スタッフ募集時平均時給調査」結果によると、三大都市圏(関東・東海・関西)の平均時給は1,614円(前年同月より2円減少)。
16日(金)
■東京電力福島第1原発の事故後の原発作業での放射線被ばくによる初めての甲状腺がんの労災認定(富岡労働基準監督署)。
■厚生労働省の「電離放射線障害の業務上外に関する検討会」が「甲状腺がんと放射線被ばくに関する医学的知見」報告書を公表。
20日(火)
■政府の「働き方改革実現会議」第5回会合で雇用形態による不合理な格差をなくすための「同一労働同一賃金ガイドライン案」をまとめ、「日本が同一労働同一賃金に踏み込み、非正規社員の待遇改善を実現させるポイント」として@正規社員・非正規社員両方に対し、賃金決定のルールや基準を明確にし、A職務や能力等と、賃金を含めた待遇水準の関係性が明らかになり、待遇改善が可能になるようにすること、B教育訓練機会を含めた「能力開発機会」の均等・均衡を促進することで一人ひとりの生産性向上を図ること、としている。
17年1月5日(木)
■連合の新年会で、神津里季生連合会長は「連合運動は、『サル』ものを引き止めて、取るものを『トリ』にいく、そんな酉年にしていきたい」と述べた。塩崎恭久厚労相は「同じ方向性を向きながら働き方改革をまとめている」とあいさつ。