たたかいの現場から

981号

港湾最賃 > 「回答が独禁法に抵触」 港湾で48時間の抗議スト

 産別最低賃金の回答が独占禁止法に艇触する恐れがあるため最低賃金の回答は行えない。こんな理不尽極まりない主張が、現在、港湾における集団交渉の場においてまかり通されようとしている。

 

 港湾運送や関連職種の労働者で組織する全国港湾労働組合連合会(中央執行委員長・糸谷欽一郎、組合員1万6千名)及び全日本港湾運輸労働組合同盟(会長・新屋義信、組合員1200名)は、1972年以来、毎年合同で港湾の業界団体である日本港運協会と団体交渉をおこない、労働協約において産別最低賃金等を定め15年まで改定を続けてきた。

 ところが、16年以降、業界団体の対応が徐々に変化し、産別最低賃金の回答は独占禁止法に触触の恐れがあるため回答できないというようになった。

 

 業界団体が回答はできないとの立場に固執したため、組合側より中央労働委員会にあっせん申請し判断を仰いだ。

 あっせんの結果は、「独占禁止法上の問題とはならないと解されるため、労使双方は、産業別最低賃金について、真摯に協議を行い、その解決に努めること」というものだった。

 それでも業界側は産別最低賃金の回答はできないとしたため、やむなく4月14~15日に組合で組織する全港において48時間のストライキを決行するに至った。

 

 全国港湾の糸谷委員長は4月16日に記者会見をおこない「約30年続けてきた産別最賃の回答がなぜできないのか全く理解できない。現場の労働者は、夏は50度以上の環境で働いている。安心して働ける職場にしていく必要がある。このまま交渉が進まなければゴールデンウィーク中にもストを構えざるを得ない」と窮状を訴え理解を求めた。

 

 また、業界団体は、雇用と就労に影響を及ぼす事項についてあらかじめ協議するとした事前協議制度や労災企業補償の問題等についても回答の前進を見せていない。
 関係者のみなさんには大変なご心配をおかけしてしまっているが、万一最低賃金の回答拒否が既成事実化されれば、問題は日本各地の労働組合に広く影響しかねないものとしてある。

 労組法にもとづく労使交渉のあり方、労働協約のあり方が根底から問われている。

 

片柳 悦正(全国港湾労働組合連合教宣部)

 

セクハラ > 実効性ある禁止法求め集会 職域横断アンケートがスタート

 財務次官のセクシュアルハラスメントから1年がたち、国内法が審議されている最中に開かれた院内集会では、介護や就活、教育実習や司法、立法など職域を超えて性的嫌がらせや性暴力が、ところかまわず横行する実態が伝えられた。
 集会は、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が主催し、この日を皮切りに学生を含む24の職域を対象としてウェブアンケート調査(https://kikimas.net/mic/)をーヵ月間実施する。

 職場でのハラスメントを禁止する条約について、審議が予定されている6月のILO総会までに結果を集計する。

 

 院内集会では、16名の当事者や関係者から発言があった。
 そのうち川村学園女子大学の内海崎貴子教授は、教育現場でおこるハラスメントついて報告。NOOO年より教育実習生への被害実態を複数回調査した結果、およそ10年で指導教官が加害者であるという告発が3.2倍増えたという。
 「セクハラを再生産しているのは、実は学校教育現場。実習生と指導教員は、小学校、中学、高校から教員と生徒という強力な権力関係にあるため、(指導者の)加害者意識が弱い。教育指導でセクハラ的なことが当たり前のように行われている」

 内海崎さんは、その理由を[ジェンダー平等、人権、性的権利の意識が欠如しているから」だと話した。

 

 町田市議の東友美さんは、公共の場で市民と握手をするときに手を撫でられたり、脇を触られたりすることがあると話した。

 司法修習生時代、レストランで食事中に教官から体を触られたことを報告した橋本智子弁護士は、被害にあっていること自体をわかってもらえず、店からは逆に「いちゃつくのをやめろ」と叱責されたと語った。

 

 ILOのハラスメント禁止国際条約制定に対して、アメリカに次ぎ「もっとも後ろ向きの発言が多かった」といわれる日本。
 その政界やメディア界は、いまだに男性中心で「女のくせに」といったような意識が広く深く残るとすれば、社会にジェンダー平等の目線など向けることはできない。

 セクハラを禁止し、性暴力が処罰される法制度が求められている。

 

松元 千枝(team rodojoho)

 

ユナイテッド航空争議 > 解雇容認の判決許さない 500名超怒りのデモ

 地位確認と未払い賃金を求め争ってきたユナイテッド航空客室乗務員の裁判で3月28日、東京地裁は不当判決を言い渡した。

 

 同社は裁判のなかで解雇理由を立証できず、証拠も出せず、他に解雇を回避する手段がありながら不当な解雇を強行したことが浮き彫りになった。

 経営は順調で米本土では大量の客室乗務員の採用計画を発表し、さらに大幅な時給の昇給が認められるなかでの不当な解雇だった。
 こうした事実があるにもかかわらず、裁判所は会社の主張を認め本件解雇は有効とする不当な判決を下した。

 

 米国の客室乗務員労働組合(AFA)の雇用を100%保障する一方で日本の労働法と労働組合を尊重せず、排除するような労働組合茎別と国籍差別を容認する東京地裁の不当な判決は到底受け入れられない。

 日本を「解雇自由の国」にしてはいけない。

 FAユナイテッド闘争団は、即刻提訴して必ず不当解雇撤回、現職復帰を勝ち取るために闘う。

 

 4月12日、不当解雇撤回、地裁不当弾圧を許さない銀座デモを地域の多くの仲間の参加で行った。夕方の人出でにぎわう界隈を参加者500名以上の長い隊列でデモは成功した。

 これからもご支援よろしくお願い致します。

 

(FAユナイテッド闘争団)

 

NU東京 > インスタ映える会社攻め 観光客もスマホで撮影

 夜の日比谷図書館集会と銀座デモへの合流をめざし、労働組合ネットワークユニオン東京(NU東京)は午前~午後の独自行動を展開した。

 20年前の結成当初から春闘要求を出し続けている分会あり、外資IT企業で時限ストを構えたり、個人加盟合同労組の相手先はバラエティに富む。

 

 今回の目玉はイタリアの高級バッグ製造販売「フルラ」。販売スタッフの仕事を外し、無理
な倉庫作業させた労災問題協議中に雇用契約を打ち切るという暴挙に出た会社に対し、手づくり感あふれる横断幕と手描きのお面(ハンドバッグが泣いている絵)で、開店前の銀座店エントランスでサイレントスタンディングを敢行。百均の蝿叩きを加工したプラカードも日英伊の3ヵ国語で作成した。

 

 ピカピカのガラス張りのショップから私たちの行動は丸見えで、店員らは電話の子機を手に右往左往。歩道を行き交う海外からの観光客の目を引くこと著しく、スマホで撮影されまくった。インスタ映えバッチリかも?プラカ、中国語のもつくれば良かったな。

 街宣車もフルカラーの立派な横断幕も持てない小さなユニオンだけれど、創意工夫で会社を攻めるのが、組合の情宣活動の醍醐味と言えよう。

 

 組合ホームページでの争議紹介はもちろん、この件では他にも、全国のデパート・ショッピングモールの各出店先宛に、中身が見えるよう透明な袋に入れたビラを送付したり、外資系勤務の組合員がいる強みを活かして英訳した要請文をイタリア本社宛に出したり、弱小ユニオンのゲリラ戦は、スカした外資には予想外に奏効している。

 

 今回は支援していただいたJAL不当解雇撤回争議団客室乗務員のみなさんからの、「機内販売でも人気のブランドなのに残念、早期解決を」とのエールに励まされた。

 

寺尾 そのみ(ネットワークユニオン東京書記長)

 

東 海 > 集まればすごいパワー ユースユニオンを結成

 愛知県や三重県に住む5か国の学生ら25人が個人加盟の労働組合「ユースユニオン」を1月25日に結成。

 結成の記者会見には「ブラックバイト」の名付けの親であり、奨学金問題の改善を求める活動にも精力的に取り組む中京大教授の大内裕和氏も同席し、「若者の貧困とユースユニオン結成の意義」について縦横に語り、祝福した。

 

 ユースユニオンは名古屋ふれあいユニオンやユニオンみえの支援を受けて東海地方で活動を展開し、30歳以下の若者自身が主体となって、奨学金やセクハラなど、若者が日常的に抱える問題にも取り組んでいく。SNSなども活用し、多言語での相談にも対応する。

 

 結成メンバーの日系ブラジル人のマツナガ・ハギハラ・イングリッドさん(27)はアメリカの大学を休学中。定期的に日本に帰国しアルバイトで働いたお金をためて学費を払っている。昨年、父親が病に倒れたことで、家族の生活が立ち行かなくなったことも、彼女が帰国した理由のひとつだ。弟は大学を中退し働きに出ている。

 

 彼女は昨年8月に派遣先の工場でセクハラに遭い、警察に相談するとユニオンみえを紹介されたという。弟と一緒にユニオンを訪れ、ユースユニオン結成の話を聞き、「声を奪われている多くの女性や、マイノリティのために行動したい」と2人で加入。現在、派遣先と派遣元を団体交渉に同席させ問題解決を迫っている。また、会社に賃金未払いを認めさせ、すべての従業員に数千万円、適法通りに支払うことを約束させている。

 

 彼女は「会社はルール(規則)は教えるけど、(労働者の)ライト(権利)は教えない。外国人は自分のライトを知らないし相談先も知らない。労働者は、みんなで集まればすごいパワーを持っているから、ユニオンをひろげたい」と話している。

 

神部 紅(ユニオンみえ書記次長)

 

関西生コン > 大弾圧に屈しない 支援する会が発足

 4月15日、「関西生コンを支援する会」が発足した。
 昨年8月以降、労働組合の正当な団交権、団体行動権などの正当な組合活動を「脅迫」「威力業務妨害」として組合員、組合役員が逮捕・起訴され、4月15日現在でなんと58人が逮捕され、43名が起訴されている。

 4月11日にはまもなく釈放かと思われた武委員長と湯川副委員長が三度逮捕された。

 

 一連の弾圧はほとんどが労働組合活動に対する言いがかり弾圧だ。これらは「関西生コン支部」は「過激集団だ」というレッテル張りをし、ストライキを計画したということで執行部を逮捕するという「共謀罪の先取り」弾圧である。見て見ぬふりをすれば、労働運動全体への弾圧や権利はく奪につながる。

 

 発足集会は全国ユニオンの鈴木会長の司会で進められ、あいさつに立った宮里邦夫弁護士、内田雅敏弁護士、竹信美恵子氏、東京共同の小川弁護士から支援体制を拡大し関生を支えることの重要性が訴えられた。

 

 竹信さんはナチスドイツ時のドイツルター派牧師ニーメラーの「最初共産主義者を攻撃したとき私は関係ないとみて見ぬふりをしたから始まり、己が迫害対象になると声をあげる人はいなかった」という言葉を引き、今、そういう状況に日本は置かれている。関生への弾圧を皆の力で押し返したいと訴えた。

 

 支援する会連絡先は平和フォーラム。共同代表に鎌田慧、佐高信、宮里邦雄、海渡雄一、内田雅敏、藤本泰成、菊池進氏、事務局長勝島一博、事務局次長に小谷野毅氏ら選出し支援する会がスタートした。

瀧 秀樹(労働情報事務局長)

 

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 「関西生コン弾圧事件・裁判闘争支援カンパ」が呼びかけられています。目標額は2千万円(個人1口2千円、団体5千円。可能なら複数口を)。

 使途・弾圧事件に関わる裁判闘争費用(組合活動一般には使用しません)。

 送金先

 ・郵便振替口座 口座記号番号:00190-9-82188

         口座名義:全日本建設運輸連帯労働組合

 

 ・三菱UFJ銀行  堀留支店 普通預金:3984524

 

 問い合わせ先:全日本建設運輸連帯労働組合 Tel 03-5820-0868

 

 

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