897号
公立常勤講師 「空白の1日」 問題 長年のたたかいで ついに風穴が
大阪教育合同労働組合は、常勤講師(公立学校1年雇用教職員)の労働条件改善のたたかいを進めてきました。常勤講師は、年度末や年度初めに1日を空けて雇用(任用)され続けてきたことで、様々な不利益を被ってきました。その不利益のうちの一つである社会保険(健康保険・年金)が、このたび解消されることになりました。雇用に空白があっても、社会保険は継続すべきという国会答弁及び、それに引き続く行政官庁の通知がきっかけとなり実現されたものです。
しかし、この問題は長年組合が要求し続けてきた課題でもあり、労働条件の変更ですから、交渉で誠実に説明回答すべきです。ところが、組合との交渉が終わっていない時期に大阪市や堺市といった政令市の各学校現場で常勤講師に対して、組合の頭越しに調査を始めていることが発覚、政令市・府教委ともに組合として抗議を行いました。空白日が年度末(3.31)か、年度初め(4.1)かで条件は大きく異なり、後者なら4月分の諸手当(交通費など)が支給されないからです。
基本的に前進回答ではあるものの、実際の運用面で問題が数々明らかになりました。常勤講師は正規雇用の病休代替で雇用されることがあり、長期休暇が挟まるとその間雇用が打ち切られます。継続できる空白は9日以内で、この場合は社会保険が切られてしまいます。さらに、雇用主が替わると(府内小中学校⇔政令市、府立学校⇔政令市など)継続されません。組合は、9日に限らないことや雇用主変更に対し柔軟な対応を求めました。
これまではたった1日のために、1年のうち国民年金1ヵ月と厚生年金11ヵ月にならざるを得なかったところ、12ヵ月続けて厚生年金に加入できるようになりました。健康保険証は毎年度末返却し、4月に入ってもなかなか新しい保険証がもらえず不便をしていましたが、これも引き続き使用でき、大きな前進となりました。
確かに前進ではありますが、これは一側面に過ぎません。本来、雇用を1日空けることなく継続し、講師問題の抜本的解決が必要です。府教委は雇用の1日空白の法的根拠をこれまで長年地方公務員法22条と言い続けてきたのですが、これを撤回し、「総務省7月4日通知を元に現在検討中」と回答しています。
長年の組合のたたかいに風穴があいてきました。総務省通知は「毒まんじゅう」であるという評価もあり、組合は通知の検討から始め、引き続き問題解決に向けてたたかいます。
井澤 絵梨子(大阪教育合同労働組合書記長)
安倍政権の暴走止めよう! 国会開催日に広汎な共同行動
9月29日、臨時国会が召集された。先の通常国会終了後に「集団的自衛権」の行使容認を閣議決定した安倍内閣だが、今回の所信表明演説では「地方創生」、「女性が輝く社会」をキャッチフレーズにして、表面的には改憲・軍事色をできるかぎり目立たなくしようという意図が透けて見える。実際、この所信表明ではあれほど大きな批判を呼んだ「集団的自衛権」という言葉は全く消え失せている。
その一方で「大胆な規制改革なくして、成長戦略の成功はありません。農業・雇用・医療・エネルギーなど、岩盤のように堅い規制に、これからも果敢に挑戦してまいります」と大見得を切っているのは、安倍首相にとって「集団的自衛権」合憲化と新自由主義的「規制改革」が、その国家構想にとって決して切り離すことのできない関係にあることを示している。そして11月16日投票の沖縄県知事選の結果は、労働者・市民にとって安倍政権への反転攻勢を本格化させる契機になりうるだろう。
臨時国会が開会した9月29日、さまざまな課題から安倍政権の暴走に立ちはだかろうとする人々が、昼と夜の2回にわたり国会、首相官邸を取り囲む行動に立ちあがった。題して「安倍政権の暴走を止めよう!国会包囲共同行動」。国会の召集日に、時の政府の政治全体に「ノー」の声を上げる共同行動が実現したのは初めてのことらしい。コールも「集団的自衛権・憲法」から、原発、秘密保護法、TPP、労働・生活、沖縄、教育まで練り上げられたスローガンが一つのものとして唱和された。
昼の行動は、正午に開始し、衆院第2議員会館をメインの場としながら、国会を取り巻くヒューマンチェーンを実現した。
夜は午後6時半から8時まで首相官邸前での集会。憲法、集団的自衛権、原発再稼働、沖縄・辺野古の基地建設強行、雇用、消費税率引き上げなど、安倍政権の政策体系全体の危険な性格が暴きだされるような集会になった。
共同の行動と討論を積み重ねながら、すっきり「安倍を倒せ」と語ることのできる運動を広げていこう。
国富 建治(運営委員)
川内原発の再稼働はさせない 鹿児島に7500人が結集
九州各県を始め全国各地から原発再稼働阻止に向け集まった7500名の参加者たちを歓迎するかのように、前日まで鹿児島市内に降り注いでいた桜島の降灰が風向きを変えてくれた。
9月28日の13時から、市内中心部にある天文館公園で開催された「ストップ川内原発再稼働!9.28全国集会」は、秋晴れに恵まれ開催された。
またこの集会には、鎌田慧さんに加えて、菅元首相や吉田社民党党首、共産党の国会議員団など、まるで東京で行われる集会のような、豪華なゲストがステージ上に顔を連ねた。
すでに全国全ての原発が稼働を停止して1年が過ぎ、原発がなくても国民生活に影響が及ばないことが明らかになることに、焦りを強めた政府・電力業界は、その突破口として川内原発1、2号機をターゲットにして来た。
しかし、「世界で最も厳しい日本の原発安全基準」と、安倍首相が何の根拠もなく豪語する規制委の新基準に対して、「基準の適合性を審査した。安全だということは申し上げない」と、責任逃れのような規制委の田中委員長の及び腰発言に加え、「10キロを超える要援護者の避難計画は作らない」という伊藤県知事の暴言などから、原発周辺自治体を中心に、当事者が声を上げなければ命や健康は守れないという気運が高まってきた。
集会も、そうした運動のさきがけとなった、いちき串木野市署名運動や山之口自治会、そしてその声を「再稼働には周辺自治体の同意も必要」との意見書の議会決議採択に結びつけた、いちき串木野市、日置市などの議員団が活動を報告、体を張ってでも再稼働をさせない強い決意を表明した。
また9月18日に、福岡市内で貫正義九州電力会長ら、九州の財界人と会食した安倍首相が、出席者から川内原発再稼働を要請されて「川内はなんとかしますよ」と応じた話も紹介され、国民の命より経済界の御用聞きにまで堕落しているこの国の最高責任者への怒りも込めて、鹿児島中央駅までデモ行進を行った。
溝口 松男(同実行委・本誌運営委員)
川内再稼働反対 東京でも 亀戸中央公園に1万6000人
9月23日、亀戸中央公園(東京)で「さようなら原発1千万署名市民の会」(鎌田慧さん、大江健三郎さんら8人)の呼びかけで、「川内原発再稼働するな!フクシマを忘れない!さようなら原発全国大集会」が開かれ、秋晴れの空の下、1万6千人が結集した。
呼びかけ人の鎌田慧さん(ルポライター)は、「安倍政権は亡国への政権だ。絶対に原発をなくそう!」と発言。
同じく呼びかけ人の大江健三郎さん(作家)は、「原発がなくてはならないというのはウソだ。原発反対の声は弱くなっていない。私たちは断固として進まねばならない」と強く訴えた。
またこの日は、ビキニの水爆実験(1954年3月1日)で被爆した第五福竜丸の無線長・久保山愛吉さんの命日。当時乗組員の大石又七さんが登壇し、「ビキニ事件で多くの人が被爆し世界中に放射能を拡散させた。しかし、その事実は隠され、内部被曝の研究も進まなかった。ビキニ事件と原発はつながっており、同じ事が繰り返されようとしている」と、原発も核兵器も反対すると訴えた。
福島からは、橋本あきさん(原発いらない福島の女たち)が「福島の土や水、空気が壊されている。私たちは安倍政権こそ壊したい。福島の現実をもっと知らせていきたい」と報告。
また、鹿児島からは向原祥隆さん(反原発・かごしまネット代表)が「川内原発の再稼働に反対する県民の世論は高まっている。周辺の自治体でも反対決議をあげている。一歩も引かずに闘う」と決意が表明された。
その他にも澤地久枝さん(作家)、落合恵子さん(作家)、広瀬隆さん(作家)、村上達也さん(元東海村村長)、河合弘之(弁護士)、韓国や台湾の活動家などから安倍政権の原子力政策に対決する決意や各地の報告がなされ、その後錦糸町まで「再稼働反対」、「原発やめろ」の長蛇のデモ行進が夜まで続いた。
井上 年弘(原水爆禁止日本国民会議事務局次長)
日日刻刻 首相・賃金体系の変更を (9.11〜29)