966号
奈良 「文春」フエイクに抗議 エム・ケイ運輸で無期限スト続く
エム・ケイ運輸という奈良県大和郡山市の運送会社で連帯労組近畿地区トラック支部が2013年に分会を結成した。月300時間もの長時間労働の是正や、残業代の支払いなどが要求だが、会社は労務屋を雇い入れ、会社顧問を名乗る元暴力団員を使って分会長を脅迫し、違法行為をまったく改善しない。
2016年10月に1週間のストライキを決行したところ、10人の分会員に報復の配車差別。同年11月30日には、分会長が車庫で暴漢たちに襲撃され、肋骨3本骨折、顔面打撲、頸椎捻挫で全治2ヵ月の重傷を負わされた。
組合が翌日から決行した無期限ストの最中の昨年2月にはついに運転手の過労死事件が発生。それでも会社は運送事業法違反をいくつも重ねて長時間運行を改めず、国交省は手ぬるい対応で違反行為を実質的に野放しにしている。
半年後の9月、福島みずほ参議院議員、服部良一元衆議院議員、梶川慶二奈良県議ら社民党国会議員調査団が現地入りして、運輸支局やトラック協会を調査。地域の住民のあいだに支援の輪が広がり、昨年11月30日には奈良県警に犯人の早期逮捕を要請する署名を提出した。
そうしたなか、昨年末発売の「週刊文春」新年号が闘争のイメージダウンをねらった誹誘中傷記事を掲載した。「福島みずほが『脅迫・傷害』で捜査中の“武闘派労組”を支援していた」という見出し。要旨は「労使紛争激化のなか、組合員の標的となった輸送部課長が組合員に脅され精神疾患に。傷害罪や脅迫罪で告訴したが、組合員の「押しかけ事件」が再度おきて課長はうつ病再発で入院。奈良県警が慌てて捜査を本格化した矢先の9月21日、社民党の副党首福島みずほ参議院議員らがエム・ケイ運輸を訪れ、運輸支局などに申し入れた」「人権派を標榜してきた福島氏。支援労組以外の労働者の人権には、関心が薄いのだろうか」というもの。
4年に及ぶ長期争議の核心的なできごとや経緯には関心を示さず、この記事はごく一部のできごとを予断と偏見をもって切り取り、「まるでヤクザ者のような激しい言葉の数々」を浴びせた組合員を加害者、会社管理職を被害者として描く。さらに、氏名不詳の「在阪の労組関係者」の「関西地区生コン支部は過激、武委員長は武闘派」などとする無責任な風聞を書き連ね、争議を支援する福島みずほ議員らの行動に問題があるかのように印象付けようとする。
労働者の人権といのちをかけた無期限ストは1年を越した。
この真剣な闘争のイメージダウンを図り、連帯労組の社会的信用を財めることを目的とした、卑劣な「フェイクニュース」を許さないとりくみを組合は介している。
小谷 野毅(全日本建設運輸連帯労働組合書記長)
無期転換 凸版印刷の雇い止め 社会的包囲で反撃
印刷産業のリーデングカンパニーである凸版印刷は、労働契約法18条により「無期転換雇用」の権利行使を要求した全印総連合同支部の組合員のAさんに対し、3月末日で「雇止め」をすると、昨年の12月、当該と組合とに通知してきた。
団交さなかのこの通知に対して、12月15日の団交では撤回を強く求め、併せて争議通告も行った。12月末日には、凸版印刷の金子社長宅に直接出向いて要請も行い、団交会場前では、組合員が雇い止め撤回の宣伝要請行動をしている。
凸版印刷は、今回の「雇止め」は、労契法18条とは関係のない事業縮小による「業務上の雇い止め」だとにわかに主張しているが、まったくの誰弁である。
また、仮に業務上であれば整理解雇の4要件が厳格に適用されるべきだが、「雇い止め」回避のための手立てを全く尽くしていない。
全印総連では、団交で撤回させることを主眼に、会社前での抗議要請行動を実施し、法廷闘争の準備もしている。また、業界団体・得意先要請も行い、東京オリンピックのオフィシャルパートナーでもある凸版印刷への社会的包囲によって、労契法18条を認めさせるために奮闘する。
是村 高市(全国印刷出版産業労働組合総連合会中央執行委員長)
福島 放射能汚染木材を燃料としたバイオマス発電所が作られる
今、福島県では、汚染されている木材を使ってのバイオマス発電計画が進められている。計画が進められているのが福島県田村市大越町だ。大越町の産業団地内に田村市が20%、㈱タケエイが80%を出資する㈱田村バイオマスエナジーが建設を目指している。
計画では木材チップを原料に、24時間稼働で定格出力8千kwの発電を行い、FIT(固定価格買取制度)により電力会社に販売するという(6千~7千kw、年間発電量4・4~5・5万kwh)。
しかし福島県ならびに周辺の森林は原発事故により放射能汚染されており木材チップを近隣から調達しようとすれば放射能汚染木材が使われ燃やされることになる。汚染が最もひどいバーク(木の皮)も使われる可能性もある。
このバイオマス発電計画は福島県の森林再生事業と密接に関係している。環境省は人の生活圏から20メートルについては森林の除染を行うとしているが、奥山の除染は行わない計画だ。
福島県、林野庁などは皆伐をして再造林をしたい考えだ。しかし皆伐は土砂災害につながるし、皆伐した膨大な廃棄物の持って行く先がない。そこで環境省、復興庁、林野庁、福島県、木材関係者らが協議して浮上してきたのが「除染」をするのではなく「森林整備」という名のもとに「間伐」を行い、間伐材を復興資材やバイオマス発電の燃料として使おうという計画だ。
森林除染についても国と東電が責任をもって処理すべきものであるが、間伐の名のもとに特措法の枠外とし、間伐によって出てくる汚染木材の処理を民間業者に丸投げしてしまおうというのだ。一応の伐採木搬出指針は空間線量0・5μSv/h以下エリアでの営林活動で伐採された木材ということにしている。
これは8千Bq/㎏を超える木材は確認されなかったから「指定廃棄物」は出さずに済むからという理由からだ。
民間に丸投げされた状態で指針がきちんと守られるのか。汚染ごみの焼却でも指摘したように、バグフィルターで全ての灰は捕捉できないため、発電過程で放射能が近隣に拡散される(本誌961号参照)。さらに木材チップを燃やすことで大量の焼却灰が出てくる。放射能を濃縮した灰の処理がどうされるのかも問題だ。
発電所ができればボイラーのメンテナンスや、灰を梱包処理する労働に従事する労働者、森林の伐採作業に当たる労働者、木材を運搬する人、木材チップに加工する過程で働く人はじめ様々な現場で放射能汚染された木材に関わる労働が発生する。
はたしてきちんとした被ばく管理が行われるのかさえ分からない。
今、大越町では「バイオマス発電に反対する大越町の環境を守る会」がこの計画の白紙撤回を求めて県知事へ申し入れを行うなど運動を始めた。会のツイッターのフォロアーも急速に増えているという。計画地の近隣には子供園、小学校もある。地元の反対の声を無視した計画推進は許されない。
次号では現地取材を踏まえた詳報を掲載する予定である。
瀧 秀樹(全労協脱原発プロジェクト)
生活保護 引き下げ許さない利用者ら手作りデモ
リレーメッセージデモ《わたしたち、明日を生きてもいいですか?》が2018年1月4日に開催された。
約60名の参加者は「生活保護はみんなの命を守る大切な制度」「国による一方的引き下げは許さない!」と声を上げ、新宿の街を練り歩いた。
歴史的快挙だった。
主催が生活保護利用当事者(元利用者)の女性たち(以下「女子会」)だったからだ。
2012年の第2次安倍政権成立以降、保護費は3年間にわたり段階的に削られた。自民党が野党だった時からの政権公約なのだ。
そして17年12月8日、厚労省は翌年度より保護基準をさらに削減する方針を公表した。いちはやく「NO!」の声を上げたのが前記「女子会」だった。
・12月12日、厚労省前抗議
・同23日、新宿アルタ前スタンディング
一人の女性から「デモをやろう!」という声が出た。開催決定したのが28日。年明け1月4日に《わたしたち、明日を生きてもいいですか?》は実行された。
ちなみに生保利用者主体のデモは―私が知る限りでは―2011年、12年に続いて今回
が3度目。その文脈でも歴史的快挙である。
生活保護はみんなの命を守る大切な制度。利用中の人だけではない。全ての人の命と尊厳を担保するためにある、いわば社会のゲートキーパーだ。その生活保護に対して安倍政権は理不尽かつ執拗な攻撃を繰り返している。命を軽んじる者たちに私も「NO!」を言い続けよう。
「女子会」の皆様の騨尾に付しつつ……。
中村 順(STOP!生活保護基準引き下げ)
電波新聞 パワハラ社長退任正常な労使関係へ団交
新聞通信合同ユニオン・電波新聞支部が未払い残業代を求めた裁判が、昨年12月に勝利和解した。一時は不成立も懸念されたが、組合員2人の粘り強い闘いと新聞労連加盟の専門紙共闘からの支援が、パワハラ社長を退任に追い込んだ形で協議が加速した。
和解協議は最終段階で、前任の平山哲雄氏に代わって代表取締役社長に就任した長男の勉氏が引き継いだ。前社長は連日社員に対して暴言や嫌がらせを繰り返し、当初、不当に自宅待機させていたことなどから電波新聞支部結成にいたった。組合結成した後でもパワハラは続いた。
退任によって前社長からのパワハラはなくなったものの、合同ユニオンでは今後、いかなるハラスメントも防止するよう社員研修などを検討。また、会社代理人との交渉で1年以上棚上げされていた就業規則の改訂も含め、今後もずさんな労務管理の正常化に向けて会社との直接交渉を進める。
団体交渉では、経営再建や従業員代表選挙など、これまで整備されていなかった複数課題を話し合う予定。
松元 千枝(新聞通信合同ユニオン委員長)
国会前 安倍改憲NO!寒風ついて2千人が声
1月19日夜、「安倍9条改憲を許さない、森友・加計疑惑徹底追及、戦争煽るな、安倍政権の退陣を要求する」国会議員会館前総がかり行動が開催された。22日の国会開催を前にした、今年最初の総がかり行動とあって、寒い中2千人が抗議の声を挙げた。
政党からは共産党山下氏、民進党松尾氏、立憲民主党阿久津氏、社民党福島氏が挨拶に駆け付け、各々安倍政権に憲法改正の発議をさせないこと、市民と立憲野党が連携して闘う事の重要性が訴えられた。
一坪反戦地主会青木氏の「基地は米国に持っていけ」との熱い訴え、森友問題を考える会木村氏の安倍昭恵氏証人喚問をとの訴え、3千万署名を展開する各地から今年の意気込みが述べられた。
(編集部)