たたかいの現場から

907号

◎沖縄で「レイバーセンター」を 労働とつながる人と組織の輪

 「沖縄県におけるレイバーセンターの可能性を探る」シンポジウムが2月22日に沖縄大学(那覇市)で行われた。
 一橋大学フェアレイバー研究教育センターの高須裕彦さんと明治大学労働教育メディア研究センターの青野恵美子さんが、米国と日本におけるレイバーセンター(以下「センター」)の設立と活動を講演し、沖縄大学准教授で沖縄労働問題ネットワークメンバーの島袋隆志さんが沖縄県内の労働問題の深刻さと、その解決に向けたセンターの可能性を報告した。


 高須さんは、アメリカにおける労働運動の歴史的背景と、約50あるセンターの多くは50〜60年代に労働組合の要求で大学に設置され、公正な労働環境の整備を目指して労働運動と連携・支援する立場から労働研究・教育を行う機関だと説明。2006年、日本最初のセンターを一橋大学に設立した経緯と、センターは誰でも参加し交流できる「公共空間」の意義があり、今後は若年者への労働教育をどう推進し、労働者の権利を学ぶ場をどう作るのかが一つのカギと締め括った。


 青野さんは、アメリカ労働運動における映像活動の意義と、映像教材を活用した明治大学の寄附講座の取り組みについて紹介。働くことの実際を通して労働者と大学生がつながる”ことの大切さを強調した。


 コメンテーターの島袋さんは、宜野湾市のコールセンター閉鎖に伴う33人解雇など、沖縄の労働問題の深刻さと、その解決には様々な人や組織がセンターに参加し議論していくことが重要だと訴えた。


 ディスカッションでは、様々な立場から意見が出され、長時間労働や非正規雇用問題の他、「労働組合が積み重ねた歴史も考えることが必要」「センターのような場こそ県内に必要」「沖縄の平和運動と労働問題はつながっている」など、沖縄におけるレイバーセンターの重要性・ニーズが確認された。


志喜屋 盛隆(連合おきなわユニオン)

 

 

◎ブラック企業 内外から追及 プリントパック労組支援で集会

 2010年3月22日、当時26歳の青年が入社僅か1ヵ月半で大型印刷機に頭を挟まれて死亡する労災事故を起こしたプリントパックで、13年10月に労働組合が結成(全印総連京都)されて1年が経過した。
 「印刷通販」を売りにテレビでも大々的にコマーシャルする同社だが、安全な職場を求めて改善要求を提出した労働組合(プリントパック京都分会)を嫌悪して、露骨な組合員差別を続けている。


 昨年夏の一時金は、平均支給額19万6千円に対して、分会書記長は3万円、分会長には支給ゼロ。年末一時金に至っては、両名ともに支給ゼロ。月90時間分を含む「固定残業代」の下で、24時間2交代シフトの職場は長時間労働と最賃並の低賃金が構造化している。
 この職場状況に対して若い分会員と全印総連は2月10日、京都府労働委員会に不当労働行為の救済申立を起こす一方、ブラック化する企業を、職場では少数でも社会的に包囲する目的で、2月22日、プリントパック本社工場が所在する京都府向日市で「現代の奴隷工場=ブラック企業―私たちはモノじゃない!!」市民集会を開催した。


 集会には救済申立を進める市民共同法律事務所の中村和雄弁護士からの報告と、首都圏青年ユニオン神部紅委員長の講演が行われ、会場は事前準備の資料が足りなくなる150名超の参加者で埋めつくされた。
 神部委員長の勝利を展望する熱い講演は、参加者に大きな共感と感動を呼び起こした。連帯のアピールでは、独裁的なオーナー経営に対して、労働者の発言権を求めて組合を結成し、その後の事業所閉鎖攻撃と闘う長野県佐久市のシナノ出版印刷労組(14年12月全印総連加盟)をはじめ、MICの新崎議長、京都総評梶川事務局長が、ブラック企業を社会から駆逐する闘いの拡大をそれぞれ熱く呼びかけた。労働者の「新たな連帯」を創り出す起点となる集会は、参加者がこの成功を職場・地域に持ち帰る事を確認し宣言した。

 

井上 俊幸(全印総連ユニオン京支部長)

 

 

◎ けんり春闘第2波行動+東京総行動が取り組まれる

 2月20日、JAL不当解雇撤回裁判原告団による国土交通省行動を皮切りに、昼の対経団連行動、夕方の対厚生労働省行動には全体が集中し、合間に2コースに分かれて各争議の当該経営や背景資本追及をおこない、15春闘の叫びを都心にとどろかせた。


 財界総本山経団連前でけんり春闘実行委を代表して松本耕三全港湾委員長が「生活実態は悪化し続けている。中小・非正規などすべての人々の願いをこめてたたかおう」と訴えた。

 各労組・団体から、まず郵政ユニオンが「昨年9月、今年元旦、そして2月12日に労災死亡事故が起こっている。全員期間雇用社員。差別されて働き、命を落とし、補償も差別される。怒りをこめて正規・非正規組合員総出で15春闘をストライキで闘う」と決意表明した。

 

 全水道東水労、JAL争議団に続いて フィリピントヨタ労組を支援する会からは、「トヨタは233名を解雇、14年間争議を闘っている。ILOも解雇撤回の勧告を重ね、フィリピン政府も解決を迫っていながらトヨタは無視し続けてきた。トヨタの意思は経団連の意思だ。国際的な人権基準に従え、社会的公正な基準にトヨタは従え」と告発の発言。大阪ユニオンネットワークは「橋下の暴挙をつぶし、西日本もたたかう」と決意表明。


 総行動の最後は日本郵政本社前で、判決を待つ65才非正規「定年制」裁判について、最後の勝利まで闘いぬく決意を参加者全員の声でつきつけた。

 

倉林 浩(郵政産業労働者ユニオン)

 

 

日日刻刻  最高裁セクハラ処分を確定 (2.17〜27)

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