たたかいの現場から

958号

◎大阪 森友学園問題追及 ヒューマンチエーンで大阪府庁を包囲

 5月19日、昼休みの時間を使って、「5・19松井責任追及!おおさか総がかり府庁前アクション」が行われ、約250名が参加した。
 幕引きを図ろうとする安倍政権と、責任逃れに終始する松井大阪府政に対し、怒りの声を上げながら、ヒューマンチェーンで大阪府庁を取り囲んだ。森友学園に続き、安倍首相の「お友だち」が理事長を務める加計学園についても官邸関与を示す信憑性の高い新たな証拠が出てきた直後とあって、行動は盛り上がった。

 

 前日の18日には、「子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会」と、大阪教育合同・大阪全労協を中心としたおおさかユニオンネットワークが、森友学園問題に関して、それぞれに大阪府教育庁私学課と協議の場を持った。
 「大阪の会」の協議の場には、森友学園問題が明るみに出るきっかけを作った木村真・豊中市議や、塚本幼稚園に子どもを通わせていた保護者も出席していた。


 主に、教育勅語教育を行う森友学園に対し私学課が指導を行わなかった責任、保護者から虐待の通報があったにもかかわらず適切な対応を取らなかった私学課の責任について議論が集中した。

 教育勅語に対する見解を尋ねると、「教育勅語の効力は1948年に失われているが、道徳心を養うことは重要であり、目的や効果に照らして、幼稚園の設置者が十分に考慮して、建学の精神に従って活用してもらうことには問題ない」という文科省の回答を繰り返すのみであった。憲法や教育基本法に反しない範囲で、各私学の判断で使うことは問題ないとの回答である。
 しかし「私学課は、教育の中で教育勅語を肯定的に使うことに関して容認する立場にあると理解して良いか」と確認すると明言を避け続けた。こちらの追及にだんまりを決め込む場面や要領を得ない回答を繰り返すばかりであったため、再度協議の場を持つことを要求した。

 

 国を私物化する安倍政権とその補完勢力である大阪維新の会のやりたい放題を、これ以上許すわけにはいかない。

 

大椿 裕子(大阪教育合同労働組合執行委員長)

 

◎大阪  介護切りすてアカン! 介護労働者ら訴え「総がかり行動」発足

  「介護の切りすてアカン!みんなの大集会」が5月12日に大阪市北区民センター大ホールで開かれ、370人が参加した。これは、昨年11月から準備を進めてきた「介護・福祉総がかり行動」の発足集会として開かれたもので、この日までに賛同人・団体は500を超えている。

 

 集会には、福島瑞穂参議院議員(社民党)、辰巳孝太郎参議院議員(共産党)があいさつし、メイン講演として服部万里子さん(日本ケアマネジメント学会副理事長)が日本の介護福祉、それと一体で進行している医療制度改悪の全般的な状況と問題点について提起。

 続いて、日下部雅喜さん(大阪社保協介護保険対策委員長)が、大阪府の新総合事業(要支援者への訪問・通所介護など)について、1.現行サービスの切り下げ、2.無資格者によるサービス提供への切り替え、3.実態と乖離した「自立支援」型ケアマネの実施、などの問題点を指摘した。

 続く介護現場からのリレートークでは、新総合事業の弊害に対する切実な訴えが続いた。

 

  「総がかり」では、この日をスタートに運動の輪をさらに拡げていくとともに、社会保障審議会・介護給付費分科会の議論に向けた署名・ネット署名の実施、介護相談ホットラインの実施(今年9月を予定)、国会要請行動・厚労省交渉の実施、全国各地での集会・学習会・交流会の開催、などに取り組んでいくことにしている。
 “保険料あってサービスなし”の介護保険が、さらに使えないものとされる曲がり角!労働者も、利用者も、事業者も立ち上がって大きな共同の反撃をつくりだしたい。

 

但馬 けいこ(ケアワーカーズユニオン)

 

◎京都 東本願寺で“信仰の搾取”? 団交で未払い残業代支払わせる

 「東本願寺」として知られる浄土真宗大谷派(京都市下京区)で非正規雇用の職員として勤務していた2人の男性僧侶が、地域のユニオンに加入して寺に不払い残業代の支払いを求めた結果、寺は2人への残業代などが4年間未払いだったことを認め、計約657万円を支払った。

 

 2人は38歳と34歳で、全国から訪れる門信徒の世話係「補導(ほどう)」を2013年4月から今年3月末まで務めた。奉仕団と一緒に泊まり込む宿直があり、多忙な月は残業が100時間を超えたが、残業代や扶養手当は支払われてこなかった。
 上司による暴言などパワーハラスメントにも悩まされていたという。

 

 2人は「きょうとユニオン」(同市南区)に相談。残業代の支払いを求めるとともに、パワハラについても実態調査を要求した。その結果、寺は「補導の仕事は自己研鎖として捉えていた。労働管理が不十分だった」として2人の請求を認めた。またハラスメント防止委員会でパワハラを認定し、当該の上司に指導などを行ったという。
 団体交渉では、寺が職員組合と交わしている労使協定に、非正規職員には残業代を支払わない覚書があることが判明。寺は男性との交渉を機に「固定残業代」の支払いを始めている。

 

 男性は今年3月末に契約期限切れで雇い止めになった。「残業代の支払いを求めると、上司は『望んでこの仕事をしているのではないのか』とさんざん嫌味を繰り返された。
 契約延長が可能なのに、残業代の不払いやパワハラを訴えたために雇い止めになったとしか思えない」と訴え、こう話す。
 「信仰に尽くす仕事に誇りを持っていたが、社会ルールを逸脱しているのはおかしい。長時間労働で体調を崩す同僚も少なくなかった」

 

(編集部)

 

◎東京 都民ファーストなら非正規の声も聞け
       東部労組メトロコマース分会が申し入れ

 日比谷メーデーのデモ終了後、東京東部労組メトロコマース分会は「小池知事は東京メトロ株主として非正規労働者への差別をやめさせろ」と都庁に申し入れるため都庁に赴いた。


 都庁前には当該5人、東部労組、支援者含め約100人が結集し、にわかに降り出した雷雨を避け都庁西口の歩道下で都庁に働く人、通行人に「3月の非正規差別を容認した東京地裁判決は許せない。東京都は東京メトロの株主として非正規労働者への賃金差別をなくさせるべきだ」とアピールした。
 駆けつけた弁護団からの控訴審に向けた決意、郵政ユニオン、全労協、コミュニティーユニオン首都圏ネット、東京管理職ユニオン、みずま葛飾区議などの連帯あいさつのあと、全員で都庁内に入り小池知事あての申し入れ書を渡そうとした。


 受け付けで然るべき責任者に取り次ぎを依頼したが「調整中」というばかりでのらりくらりと対応。「A課長が許可すれば警察を呼びます」等というひそひそ話をする係員も。 あきらめず待つこと1時間余、ようやく都市整備局課長が降りてきて後呂委員長が申し入れ書を読み上げ手交した。この間都庁受付前には支援者ら100人が都の対応をつぶさに見守った。

 

 小池知事は都民ファーストを語るのであれば低賃金と差別に苦しんでいる非正規労働者を切り捨てるようなことをせず、非正規労働者の生活と尊厳を守ることを第一にすべきとの当該の声に真摯に耳を傾けてもらいたい。

 

(編集部)

 

 

 

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