たたかいの現場から
793号

国鉄闘争共闘会議が第9回総会を開催
 闘いはこれから「雇用が確保されるまで」運動も強める

 24年に及ぶ1047名問題の闘いが、政治和解に到達しつつある。「国鉄闘争に勝利する共闘会議」は、5月29日に第9回総会を都内で開催。政治合意に至った経過と解決案の内容、これらに対する4者4団体の考え方についての報告と、残されている「雇用」が確保されるまで、闘いを強めていくことが確認された。   冒頭挨拶に立った共闘会議二瓶議長は、「現在、鉄道運輸機構との和解協定を作成中であるが、雇用問題が確保されなければ路頭に迷う解決となってしまう」と、闘いは道半ば、50%の和解でしかないことを強調し、「あと半年なり1年は雇用問題の解決に頑張らなくてはいけない」と支援を訴えた。そして、この到達点は、(1)300名の鉄建原告が提訴した9・15判決を突破口に、(2)4者4団体の結成で解決の道を開き、(3)政治解決の決断から、約2年半の大衆運動と裁判闘争がもたらしたものであり、解決案のうち、解決金は1千189万円、年金相当分901万円、事業体への支援金として総額10億円と4者・4団体で確認している。雇用の問題は、政府が努力するとした約束事であり「責任をもってJRを説得してもらう」、その担保は我々の運動で作るしかない。また、当事者の思いからすれば「路頭に迷わない生活が保障されないかぎり、この問題の評価や総括はできない」との考えを述べ、今後の協力を求めた。  鉄建公団訴訟の加藤主任弁護士からは、(1)裁判所の和解期日は6月中・下旬を予定、(2)不当労働行為との闘いは敗北の中で最後の一矢を報い、法律的な23条の枠内では勝利的和解といえる、(3)JRへ雇用責任追及と、政治課題としての必要性の3点について報告し、とくにJRへの雇用問題では、株主総会の「内でも外でもにぎやか」にいこうと提起された。出席者からは、雇用問題に対する活発な質問・意見が出され、「共闘会議の今後の体制について」は、会費の取り扱い、GOニュースの発行体制、団結まつりなどの議案内容は再検討し、雇用確保の実現に向けた闘いに相応しい体制で臨むことが確認された。  総会終了後の懇親会では、全国から馳せ参じた共闘の皆さんと国労の仲間、原告団がそれぞれの思いを語り合い、総会前日に急死された元朝日新聞記者・中野隆宣氏のご冥福を祈りながら「今日のこの場は、雇用確保に向けた総決起の場にしよう」と女性応援団からの呼びかけで一本締めを行い、これからの健闘を誓い合った。

……田中博(国鉄闘争共闘会議事務局次長)

「辺野古移設」閣議決定と鳩山政権の倒壊
 今こそ問い直すべき日米安保 6・19に集会

 5月28日、オバマ米大統領と鳩山首相の電話会談を経て、「日米安全保障協議委員会」(いわゆる2+2)の「日米共同声明」が発表された。普天間基地の「辺野古への移設」や訓練の一部移転先として徳之島を明記した内容だ。この「共同声明」にもとづいて閣議決定が行われ、署名を拒否した社民党党首の福島みずほ消費者・少子化問題等担当相は罷免された。5月30日の全国幹事長会議と常任幹事会を経て、社民党は連立離脱を決定した。そしてついに6月2日、追い詰められた鳩山首相はついに辞任を表明し、鳩山内閣は8ヵ月で崩壊した。  鳩山内閣崩壊の引き金となったのは、本人も認めるように「普天間移設」をめぐる裏切りに沖縄県民の怒りが爆発したことである。「最低でも県外移設」「米軍再編の見直し」「対等な日米関係」を掲げた鳩山内閣は、ついに辺野古現行案回帰という最悪の選択によってもはや取り返しのつかない地点に自らを追い込んでしまったのである。  メディアや野党は、鳩山首相の「迷走」「約束違反」をあげつらい、沖縄の怒りに「理解」を示すポーズを取っている。しかしその批判は、沖縄の米軍基地を将来にわたって戦略的軍事拠点として保持・強化しようとする米国の強硬・傲慢な態度には向かわない。むしろ米海兵隊の「抑止力」を自明のものとし、安全保障のためには「日米同盟」をゆるがせにしてはならないという主張こそ真っ先に批判の対象にすべきではないか。鳩山首相は結局この米国の圧力、米国の代理人である外務省・防衛省官僚の圧力を受け入れ、沖縄県民の総意をふみにじったのである。  しかしここで問題の根本に、今年で50年になる改定日米安保条約があることも次第に鮮明になってきた。日本の敗戦から65年、米軍による占領支配を形を変えて継続してきた「戦後国家」の「国体」ともいうべき日米安保を根本的に問い直す必要が、「普天間移設」を最大の要因とした鳩山政権の倒壊を通じて浮かび上がっている。  日米安保の実態は1960年改定の当時に比べて大きく変質し、米国のグローバルな軍事戦略の下での「日米同盟」となった。しかし多くの「密約」を内包した米国への従属性は変わっていない。「辺野古移設」の日米共同声明・閣議決定を撤回し、普天間基地の無条件返還を求める当面の課題は、「米軍再編」そして日米安保それ自体の問い直し・廃棄を要請する。  6月19日に、2010安保連絡会の主催で「60年安保闘争から50年 もうやめよう日米安保条約――米国・日本・沖縄の新しい関係をめざして」と題する集会(午後1時 社会文化会館)が開催される。今こそ大きな討論を巻き起こすべき時である。

……国富建治(本誌編集委員)

資料 5・27普天間問題緊急声明
 衆参の国会議員182名の呼びかけと賛同で

内閣総理大臣 鳩山由紀夫 殿
衆議院議員・参議院議員
呼びかけ人・賛同人一同

普天間飛行場について、将来の国外・県外移設を実現する連立与党・政府の基本方針を策定することを求めます。
 5月23日、鳩山内閣総理大臣の沖縄訪問によって、「5月末決着」の日米両政府の合意内容の概略が明らかとなりました。
 しかし、私たちは、昨年の総選挙で鳩山代表(現総理)が国民の皆様に約束した「できれば国外、最低でも県外」の移設案を、沖縄県民の皆様、国民全体の皆様と心を一つにして、政府は米国政府と交渉・協議すべきだと思います。
 私たちの考えは、在沖縄米海兵隊について、2014年までにグアムに8千人を移設するとするグアム協定を維持しつつ、残りの部隊についても、例えばテニアンに移設することです。この考えについては、北マリアナ諸島連邦の知事や議会、テニアン側も望んでいます。これにより、辺野古周辺に新しい基地を建設する必要もなくなると考えます。
 このことは、今後50年の新たな日米関係を構築することに必ずつながると私たちは確信します。
 そのためにも、まず連立与党・政府が上記の内容の基本方針を策定することを強く求めます。

【呼びかけ人】五十音順 129名
相原久美子/阿部知子/阿知波吉信/網屋信介/井戸まさえ/池田元久/石井登志郎/石井章/石毛えい子/石田三示/石田芳弘/石津政雄/石山敬貴/今井雅人/糸数慶子/稲見哲男/打越あかし/生方幸夫/大河原雅子/大久保勉/大島九州男/太田和美/岡崎トミ子/奥村展三/奥野総一郎/尾立源幸/加藤学/加賀谷健/柿沼正明/神本美恵子/川内博史/川上義博/川越孝洋/城井崇/黄川田徹/喜納昌吉/工藤仁美/工藤堅太郎/櫛渕万里/熊谷貞俊/黒岩宇洋/小泉俊明/郡和子/小室寿明/小林興起/小林千代美/小宮山泰子/小山展弘/近藤昭一/近藤正道/今野東/齋藤つよし/齋藤やすのり/阪口直人/櫻井充/重野安正/篠原孝/白石洋一/杉本かずみ/首藤信彦/菅川洋/瑞慶覧長敏/園田康博/平智之/高野守/高橋昭一/高邑勉/滝実/武内則男/橘秀徳/玉置公良/玉城デニー/田中康夫/田名部匡代/谷岡郁子/中後淳/辻惠/筒井信隆/照屋寛徳/富岡由紀夫/友近聡朗/外山斎/中川治/中根康浩/長島一由/中島隆利/中島正純/中島政希/中野譲/那谷屋正義/野田国義/橋本博明/橋本べん/羽田雄一郎/初鹿明博/服部良一/浜本宏/早川久美子/平岡秀夫/平山泰朗/広田一/渕上貞雄/福田昭夫/福田衣里子/藤田一枝/前川清成/又市征治/松木謙公/松崎公昭/松崎哲久/松岡徹/松野信夫/皆吉稲生/宮崎岳志/向山好一/村井宗明/森ゆうこ/森山浩行/森本哲生/山口和之/山田良司/山下八洲夫/山内徳信/湯原俊二/吉泉秀男/横光克彦/吉川政重/吉田泉/若井康彦

【賛同人】五十音順 53名
石森久嗣/石関貴史/磯谷香代子/奥田建/小川敏夫/大西健介/大西孝典/岡本英子/岡本充功/大泉博子/金森正/金子健一/川口浩/川崎稔/木村たけつか/京野きみこ/桑原功/後藤英友/佐藤ゆうこ/空本誠喜/高井崇志/竹田光明/田嶋要/田中美絵子/玉木朝子/津島恭一/道休誠一郎/永江孝子/仲野博子/中野渡詔子/仁木博文/野木実/畑浩治/平野達男/三宅雪子/宮島大典/村越祐民/姫井由美子/福嶋健一郎/藤田幸久/藤田憲彦/藤谷光信/本多平直/松浦大悟/村上史好/森本和義/矢崎公二/山本剛正/山崎摩耶/柳田和己/柚木道義/吉川沙織/若泉征三)

◎6月26日のRJ総会へのお誘い

 『労働情報』は、創刊34年目に入り、10月1日号は800号になります。95年に新しい経営形態として発足した「協同センター・労働情報」も15年を経過しました。
 世はまさに乱世。世界規模で、地域で、またありとあらゆる課題で混乱や矛盾が噴出する一方、再生の可能性があちこちで芽生えはじめています。『労働情報』においても、初代編集人・樋口篤三氏が昨年末に逝去されたのをはじめ、大勢の方が鬼籍に入られました。その一方、やっと“次世代につなぐための芽”が出はじめています。しかし、それを持続させるには、財政的裏打ちが必要です。財政的裏打ちのための資金集めは、明確な『労働情報』の存在意義の共有化抜きに成り立ちません。
 今総会では、(1)『労働情報』らしさの継承と今日的意義を明確にし、(2)時代と力量にみあった組織見直しと次世代への引き継ぎという、2点の具体的一歩をどう進めるかを合意したいと思います。そして、大勢で「創刊800号」を祝い、世代交代のチャンスを掴みたいと考えています。是非ともご参加を。

……浅井真由美(本誌編集長)

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