たたかいの現場から

908号

◎郵政ユニオン全国24職場でスト 非正規の「賃金改善」回答引き出す

  郵政産業労働者ユニオン(郵政ユニオン)は、組織統一から3年を経過した15春闘を「行動する春闘」と位置づけ、総力をあげたたかいを展開中だ。

 

 3月11日を回答指定日として中央交渉を重ねてきたが11日になっても会社は回答しようとしなかった。13日になってようやく示された第1次回答の中身は、われわれの要求とはほど遠い内容だった。
 期間雇用社員の処遇改善では「別途回答」。均等待遇要求では、一部福利厚生制度の拡充が示されたものの、期間雇用社員が切実に要求している「夏期冬期休暇」や「年末年始勤務手当」など正社員と同様の待遇要求に対しては「応じられない」。さらに正社員の処遇改善に関しては「定期昇給は実施するが、有額回答は困難、一時金要求は別途回答」というもの。

 13日の交渉では「内部留保を活用すれば十分応じられるはず」と主張し再回答を求め、16日にストライキに入ることを通告する。


 3月16日、郵政ユニオンは、全国24職場で75名が1時間から8時間のストライキに突入した。この日の一日行動には全国で一千名を超える組合員、支援者が行動を行い、文字通り「行動する春闘」を展開した。

 近畿地方本部では、大阪北局、神戸中央局、垂水局、左京局がスト拠点となり、期間雇用社員9名を含む32名がストライキに入った。ストライキ突入集会では、郵政労契法20条裁判の原告らが自らシュプレヒコールを行い、決意を表明した。
 垂水集会(=写真)の最後に期間雇用社員の仲間がマイクを握り、「非正規というのは労働者として非正規なのではありません。正規の労働者が非正規の扱われ方をしているだけです。このストで今日、非正規の私たちがどれほど職場の主人公であるかということを示せた」と発言し、ひときわ大きな拍手に包まれた。


 ストライキをうけ16日夕刻、会社は第2次回答をしめし、初めて期間雇用社員に対して「賃金改善を行う」と回答してきた。

 15春闘は、郵政ユニオンにとって大きな自信と展望をつかみとるたたかいとなった。23日、24日には、春闘第3波の大衆行動を東京と大阪で準備中だ。現在、郵政ユニオンが総力でたたかっている労契法20条裁判と春闘をしっかり結合させ、全国の非正規雇用労働者に希望を示すことができる春闘を継続してたたかっていく。
 郵政労契法20条西日本裁判。4月20日13時10分から大阪地裁809号法廷。14時から中之島中央公会堂にて報告集会。


松岡 幹雄(郵政ユニオン副委員長)

 

 

◎乱暴な労務管理下で労災多発 プリントパックに宣伝行動

 3月22日が死亡労災事故5周年となるプリントパック(本社・京都府向日市)に労働組合(全印総連プリントパック京都分会)が結成され、「職場の命と安全を守る」労働者の闘いが続いている。


 2月22日「現代の奴隷工場=ブラック企業―私たちはモノじゃない!」市民大集会を成功させ、新たな共同と連帯の拡大に乗り、京都では19日にもう一つの「印刷通販」の雄グラフィック社と合わせて本社工場で宣伝行動を行った。
 連動して20日には、2月22日集会で講師を務めた首都圏青年ユニオンの神部紅委員長も参加して東京新木場工場で、また福岡では北九州小倉工場に対して地元北九州地区労連と共同で、宣伝行動が一斉に展開された。

 

 プリントパックは死亡労災事故の後、全印総連の現場査察に対して、安全対策とコンプライアンスを誓った。だが、本年1月、木村進治社長が就任すると納期厳守の過酷な生産ノルマが課され、できないと「反省文」提出という恐怖管理が行われ、3月に入ってから旧本社の五条工場では再び労災事故が連続している。
 幸い労働者の怪我は軽症ですんだものの、一度は消防のレスキューが出動して挟まれた手首を引き抜く事態にまでなっている。

 

 「安い早い」の華やかなテレビコマーシャルの裏では、人間の命までが「安く」いつでも直ぐに「交換」できる部品の扱いを受けている。職場に生身の労働者の声が満ち溢れている。今再び「闘いなくして安全なし」の誓いを新たにしよう。

 

井上 俊幸(全印総連・ユニオン京支部長)

 

◎生活から、女性の視点から 「労働時間」を問う二つの集会

 労働者の働き方そのものを根底から覆しかねない労働時間法制改悪に対し、相継いで反対行動、反対集会が取り組まれている。
 『労働情報』誌では、次号を全面特集号として発行し、そこでも詳細に報告するが、今号でも二つの集会について記しておく。悪法阻止にむけて様々な視点や戦線から反対運動が取り組まれることが重要である。

 

 ひとつが3月6日、連合会館で開催された「『生活』から考える労働時間規制シンポジウム」である。
 主催は朝倉むつ子・早大教授、毛塚勝利・中央大教授、浜村彰・法政大教授の3人が呼びかけ人となる「かえせ☆生活時間!プロジェクト」準備会で、これを労働弁護団と鰹{報社が後援した。
 長時間労働は、働き方だけではなく、家庭や地域での生活を脅かす深刻な問題となっている。シンポでは、圷由美子弁護士、渥美由喜・内閣府少子化危機突破タクスフォース政策推進チームリーダー、長谷川聡・専修大学教授という3人のバネラーが自分の個人史を赤裸々に披露しながら、生活時間という視点から法改悪に反対した。
 渥美さんは、「これからの企業にとって必要な人財は、オンとオフに分ければ、オフが充実した人。育児や介護を抱える〈制約社員〉がスタンダードになる」と熱く語った。

 

 もうひとつが3月9日に衆院議員会館で開かれた「子育て・女性活躍から残業代ゼロ法案を考える」集会である。こちらは、さまざまな女性団体による実行委員会が主催し、300名キャパの大会議室が多くの女性たちで埋まった。
 竹信三恵子さん、樋口恵子さんらが熱弁をふるったが、圷弁護士が、マタハラNetの創設者の一人である小酒部さやかさんに日本人として初めて「世界の勇気ある女性賞」が贈られたが他の受賞者は発展途上国であり、この分野では日本は、世界ジェンダー指数104位という圧倒的後進国なのだ、と報告し注目された。
 また男性の立場からNPOファーザリングジャパンの安藤哲也さんが「問われているのはイクメンを許容するイクボス。これからの経営者は、社員の家族もステークホルダーとして認識すべき」と訴えた。

 

 最後に均等アクション21の柚木康子さんが「エグゼンプションを通したら日本の労働の底が抜ける。女性は、断固反対して、だったら子どもなんか産まないと主張するぐらいの運動を起こそう」と締めくくった。

 

水谷研二(team rodojoho)

 

 

 

◎ナショナルセンターの枠超え北九州でスト支援の共同

 3月16日、北九州地域では郵政産業ユニオンのストライキを支援するために、ナショナルセンターの枠を超えて取り組んだ。
 門司地区労、自治労全国一般北九州支部、北九州地区労連、全労協全国一般ユニオン北九州がストライキの現場で「闘う統一戦線」ともいうべき共同行動を実現した。

 それらのつながりに「独立系」組合や労働者個人、市民運動の人々も参加した。


 郵政という大企業に対するストライキに感動し、闘いを支えようと思い、日本最大の非正規労働者企業に対する怒りを結実して、大衆的なスト突入・支援集会が、北九州中央郵便局の前で55名の結集で展開された。

 郵政のストライキ支援を準備する過程で、この日の行動を門司地区労・郵政・自治労全国一般・ユニオン北九州は、正式に「争議支援共同行動」を取り組むことを決定し、ホテルニュー田川・ソレイユ保育園・岡野バルブ・九州惣菜・希望ヶ丘高校・東洋建設工業の6ヵ所に対して抗議行動を行った。
 北九州中央郵便局を7時20分にスタートし夕方5時までの行動はさすがに疲れたが、40数名での行動は各職場での迫力を持つ闘いとなった。

 

 北九州では、自治労全国一般とユニオン北九州は、労働相談を共同する「NPO労働相談センター」を立ち上げ、相談員を育てるための研修・学習などを共同してきた。
 強まる安倍政権の戦争準備策動に、全港湾関門支部も参加する門司地区労を中心に、労働組合と市民団体の参加で「改憲反対!北九州連絡会議」を結成し、秘密保護法反対デモを共産党の人たちとも共同して300人で実現した。


 郵政ユニオンが生まれ、全労連・全労協両方に加盟した。この力を今春闘の中で労働法制改悪反対の闘いにさらに結びつけて行きたい。
 重要なことは競争的団結を行う覚悟であり、それぞれが強くなってこそ、それは実現していくと思う。確信をこめて。

 

本村真(ユニオン北九州)

 

 

 

日日刻刻  景気観・大企業上昇、中小下降 (3.3〜13)

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