986号
COCO塾閉鎖 > ゼネラルユニオンに結集 雇用継続かちとる
2019年春から、語学業界に衝撃が走っている。ニチイ学館が直営のCOCO塾の閉鎖を 発表したのだ。
COCO塾従業員はこう告げられた。
「学校は閉鎖なので選択肢は二つだけだ」「日本人とフィリピン人はニチイ学館の他の部門へ移ることになるが、その他の語学講師はGABA(ニチイ学館の100%子会社)へ行くか給料3ヵ月分の退職金を受け取って退職するかのどちらかだ」と。
これを聞いて講師達は反撃を始めた。
通告されるより前、社内組合であるUAゼンセンは、会社提案への賛否をも問わず、会社提案に合意していた。
ゼネラルユニオンはフェイスブックでキャンペーンを継続。会社と社内組合への不信を募らせた○○人のCOCO従業員達は、ゼネラルユニオンに支援を求めることを決意した。
「UAゼンセンから、まともな労組への集団加盟」という珍しいケースとなり、注目されている。
ゼネラルユニオンは組合本部のある大阪での団交を条件に、ニチイ学館本社との団交を重ねた。
要求は一つのみ、「全組合員の雇用継続の保障」である。
その席で会社側は全組合員の継続雇用の保障を繰り返し表明した。ゼネラルユニオンに加盟した組合員たちは、「GABAへの移籍を強制せず、ニチイ学館が今後も雇用を継続すること」を強く要求した。
会社はいったん抵抗し、「会社とニチイ学館労働組合(UAゼンセン)との合意に従わなければ自宅待機せよ。給与は60%のみ支払う」として組合員たちに退職を余儀なくさせようとした。
組合員はこれに屈せず、「雇用の保障を明確にせよ。さもなければわれわれは通常通り出勤する」と会社に最後通告した。
各校閉鎖で出勤できないゼネラルユニオン組合員たちはニチイ学館の関西本部オフィス等に「就労闘争」を始めた。ここで本社も、「ゼネラルユニオンとの交渉中は、自宅待機の組合員には給料を全額支払う」と確約した。
ゼネラルユニオンはさらに、「給料全額支払いによる雇用継続」「通勤や転勤可能なニチイ学館での勤務」「【組合員が希望すれば】正社員として、Gabaで雇用継続」などの自由選択を、会社に認めさせている。
(ゼネラルユニオン)
上智大学 > ハラスメント解雇に抗し学生とも一緒に闘う
上智大学国際教養学部のクッキ・チューさんは、5年前、上智大学に請われてアメリカの大学から助教として赴任した。
「チューさんの業績ならすぐに助教から准教授に昇進し、終身在職権(テニュア)を得るから」と言われ、5年間に准教授に昇進する条件の「覚書」を雇用契約時に学校法人上智学院と交わした。
ところがチューさんの准教授への昇任審査は適正に行われなかった。昇進審査委員会と教授会が決定し常務会に提出した昇任推薦を、一部教授たちによる人事委員会が撤回してしまうというハラスメントを受けたのだ。昇任審査を受け付けないという嫌がらせも受けた。
それによって上智大学は、5年間に准教授昇進を果たさなかったと、「覚書」の内容による9月20日付の解雇を7月に通知した。
チューさんの所属する全国一般労働組合東京南部は、国際教養学部での昇任推薦撤回がなぜ行われたのか解明するため上智学院側と団体交渉を1年にわたって行ってきた。
法人の人事局は具体的な理由の説明ができず、説明のために出席した中野晃一国際教養学部長も発言に矛盾や混乱があり、ハラスメントの事実を隠そうとするだけだった。
実は、チューさんは、赴任した2年目あたりから、国際教養学部の一部の教授たちによる集団のハラスメントを受けてきた。
チューさんは大学のハラスメント対策委員会に訴え、労働組合は団交を通じて大学人事局に人格攻撃が行われたハラスメントの証拠の録音やメール等を提示した。同時に、チューさんはハラスメント対策委員会にも証拠を提出した。
しかしハラスメント対策委員会はそれらの証拠を確認せず調査を終了し、「ハラスメントに該当しない」という判断を出した。
被害の訴えに寄り添うより、まるで加害者のハラスメントを隠蔽するような「調査」だった。
理事会はその判断の直後に解雇を通知した。
外国人労働者の場合、解雇は直接在留資格に影響する。解雇によってチューさんが在留資格を失ってしまうと、日本で上智大学と闘うことすらできなくなる。
このような深刻な状況で、国際教養学部の学生さんたちが、チューさんの争議を支援し、自ら「上智大学のハラスメントを止めよう」という署名活動を立ち上げている。
労働組合の大学前の抗議行動にともにプラカードを掲げ、情宣活動に参加してくれる学生さんもいる。
もしチュー先生が解雇されたら、「チュー先生から学ぶ権利を失う」と声を上げてくれた。
解雇は労働者への最大のパワーハラスメントだ。負けるわけにいかない。
中島 由美子(全国一般東京南部委員長)
労災 > 重大事故に抗議 大久保製壜でスト
8月23日、職場で発生した重大労災事故に対する全国一般東京東部労組大久保製壕支部9名は24時間ストライキで決起し、地域の仲間200名が駆け付けてくれた。
7月7日、多段積み製品の荷崩れ事故に東部労組員1人を含めた3人の労働者が巻き込まれ、警察と消防署のレスキュー隊に救出されましたが、3人は警察が「死んでもおかしくない」と言うほどの大怪我を負わされた(前号「たたかいの現場から」欄で既報)。
支部は、被災者への謝罪・補償、多段積みの解消などの要求を掲げストライキに立ち上がった。
ストライキ当日はあいにくの猛暑と雨の中だったが、東部労組各支部・都内の労組の仲間2OO名が続々と駆けつけ、大久保製壕支部9名と共に心からの怒りを爆発させた。
工場一周包囲行動では地域一帯に抗議のシュプレヒコールが響いた。
ストライキ行動の最後に、今でも被災者の立場に立とうとしていない大久保製壕所労働組合の委員長に対して「ストライキでたたかえ」と糾弾のシュプレヒコール。その後、大久保製壕支部組合員の決意表明をうけ、団結ガンバローで集会を終えた。
東部労組大久保製壕支部はストライキへの支援に感謝するとともに、これからも会社の責任を追及し、労働者の命を守れる職場環境をめざし職場の労働者と共に団結し闘っていく。
金澤 新悦(東部労組大久保製壜支部委員長)
日韓 > 「嫌韓煽りやめよう」渋谷で連帯アクション
「いてもたってもいられなくて来ました」。
高校3年生がフリーマイクを握った。
「歴史を学ぶなかで日本が戦前・戦後、朝鮮やアジアに対してひどい行為をしたことを知った。私の回りでも韓国を好きな人が多いが、こうした問題を避けている。私は歴史の事実に日本人として向き合うことが大事だと思う」
9月7日午後、東京・渋谷駅前の「日韓連帯アクション」には「嫌韓煽り」に反対する市民が続々と集まり、約300人に。
アクションをSNSで呼びかけた林田光弘さんは「週刊ポスト」の度をこした報道で、今回の行動を決意したという。
「つり革広告を在日コリアンの人が見たら震える。子どもも見るだろう。いくら政治的対立が深まっても、ヘイトスピーチは絶対に許されない」と強く訴えた。
炎天下のなかフリーマイクが続いた。
在日3世の女性の発言は胸に突きささるものだった。
「いま私たちは生きるか死ぬかの瀬戸際です。
在日の人は、アメリカの日系人収容所送り、ナチスのガス室、ルアンダの隣人襲撃などの事件を想像してしまいます。
あす殺されるかもしれません。
どうかお願いします。マスコミは煽りをやめて、ちゃんと報道してください。
日本のみなさんにお願いしたいのは、友人から韓国の悪口が出たときに、ごまかしたり聞き流すのはやめてください。おかしいことにはおかしいと言って下さい。
政府やマスコミは直ぐには変わりません。まず一人ひとりが半径5メートルから変えていくことが大事です」
最後に全員でプラカードを掲げ元山仁士郎さんの音頭で「一緒に生きよう!」と声を上げた。
松原 明(レイバーネット日本)
朝鮮高校無償化 > 最高裁上告棄却糾弾 学校守る闘いを全国に
2019年8月27日、最高裁判所は東京と大阪の「高校無償化」裁判の上告を棄却する暴挙を行った。
政治・外交上の理由で、朝鮮学校に通う子どもたちの教育を受ける権利を奪うことは許されない。
何よりも怖いのは、マスコミの対応だ。かつて朝鮮学校だけが「高校無償化」から外されようとしていた時、多くのマスコミは社説で「朝鮮学校はずしは是正されるべきだ!」と正当論を展開した。今との違いは歴然である。
このような中で下された「上告棄却」に怒りをもって抗議する主体が、煉原の火の如く現れなければならないはずだ。
朝鮮と名が付けば何でも叩く風潮は、今や韓国に対しても同様の展開を見せている。今年の10月から実施される「幼児教育無償化」に際しても、またもや朝鮮学校の付属幼稚園や保育園が外されようとしている。
裁判の結果いかんにかかわらず、朝鮮学校では子どもたちは、現在も懸命に学んでいる。民族教育を守ろうと、必死にがんばっている先生たちがいる。どんなに苦しくてもウリハッキョ(私たちの学校)で子どもたちを学ばせようと必死に闘っているオモニやアボジがいる。
日常生活は変わりなく続いて行くのである。今回の最高裁の「上告棄却」決定をばねに、朝鮮学校を守りぬく闘いを全国各地で力強く展開しよう!
「今こそ正念場だ」と心から思う。
長谷川 和男(東京朝鮮高校生の裁判を支援する会共同代表)
関生弾圧 > コンプラ活動は重要 世界のとりくみ交流
9月14日、京都市内で「企業のコンプライアンスと産業別労働組合の役割」をテーマに国際シンポが開かれた(全日本建設運輸連帯労働組合主催)。
第1部では、ITF(国際運輸労連)インスペクター(労働協約の遵守状況などを調べる組合の査察官)の藤木茂さん、韓国建設労組副主席副委員長のイ・ヨンチョルさん、帝京大学助教の藤木貴史さんが報告した。
藤木茂さんは国籍を偽る便宜置籍船(FOC)や船員ごと船を捨ててしまう遺棄との闘いにふれ「ITFは船員に知られており、いきなり船に乗り込んでも降りてくれとは言われない。不正に対し、組合が声を上げていくことが重要だ」と語った。
イさんは「韓国の建設現場は信号のない道路」とし、違法を告発し安全を守る活動を広げ、政権交代後、国土交通部(国交省)とチームを作って現場巡回するまでになったと報告した。
藤木助教は、日本の組織犯罪処罰法にあたるRICO法が組合活動にかけられた米国の3事例を分析(2例却下、1例和解)。
「組合による企業チェックは、経済社会の自己統治、産業民主主義にとって有益」と説いた。
第2部は報告者3人に労働法研究者の毛塚勝利さん、連帯ユニオンの小谷野毅書記長が加わりジャーナリスト竹信三恵子さんの進行でパネル討論。
関生支部によるコンプライアンス活動とそれへの弾圧を伝える土屋トカチ監督の映像作品が上映され、小谷野さんが79人の組合員、8人の事業者が逮捕されたと語ると、イさんは「根こそぎにしようとしている」と批判、藤木茂さんはILOなど海外も視野に入れた対抗を提案した。
毛塚さんは「コンプラ活動はステークホルダーによる重要なモニタリングだ」と指摘。藤木助教は、「安売り競争防止は組合本来の活動で、米国でも地域水準ピケッティングは免責される」と解説した。
弁護団の位田浩弁護士は、「弾圧は熾烈だが、きょうの学びを活かしてコンプラ活動の正当性を立証し、きっと無罪を勝ち取りたい」と表明。
イさんが「(韓国)建設労組は150人以上が逮捕されたが、萎縮することなくはね返した」と語ったのを受け、小谷野さんは「建設現場が『見ざる、聞かざる、言わざる』になってきている。私たちの中にも『また捕まるのでは』という気持ちもあるが、韓国に学ぼう。捕まった仲間たちを無罪で取りもどしヒーローにしなければ」と訴えると、会場は沸いた。
北 健一(team rodojoho)