924号
◎ストの波、オバマも動かす 最低賃金引き上げで国際連帯
労働者が奴隷でないことの証明は、自己決定権を行使するかしないかだ―。SEIU全米サービス従業員労組のニコラス・ルディコフ氏は11月10日に来日し、都内の集会でそう語った。
2012年にニューヨークとその他の都市ではじまった、マクドナルド労働者の最低賃金引き上げ運動では、未組織労働者が時給15ドルと労働組合を求めて、職場放棄や市民的不服従の行動で闘ってきた。
当初、最賃を10ドル(1230円)に引き上げることさえためらっていたオバマ米大統領はこの運動が世界規模に発展したことを受けて、連邦最賃引き上げを約束し、各州政府も最低賃金の見直しを迫られた。この結果、これまで1千100万人の労働者の賃金が上がった。18年までに複数の都市や州で、最賃が段階的に15ドルまで上がる予定だ。
ルディコフ氏は「この運動によって、労働者は明らかに力をつけている。世界中を歩くと『このストは合法なのか』と聞く人が多いが、合法か非合法かは問題ではない。新しい闘い方によって、労働者が自分で考え、声をあげるようになったことが重要だ」と訴えた。
ルディコフ氏が出席したこのイベントは、この夏ブラジルで開催されたファストフード労働者の世界大会報告集会。日本を代表して世界大会に参加した首都圏青年ユニオンの神部紅委員長は、この運動がいまや業界に限らず賃金引き上げを求める労働者の運動となっていると話した。
世界大会には、世界約20カ国から、マクドナルドやスターバックス労働者のほか、介護労働者や大学の非常勤講師、各国の議員なども参加し、ブラジル政府の公聴会でも過酷な労働実態を告発した。
松元 千枝(team rodo-joho )
◎アベ批判のクリアファイル「通報を」 北海道教委の調査に抗議の集会
全国的に市民権を得ている、俳人・金子兜太(とうた)さんが澤地久枝さんの依頼で揮毫(きごう)した「アベ政治を許さない」ポスターは、戦争法案を許さない運動のなかでシンボル的な存在だ。
この「アベ政治を許さない」が印字されたクリアファイルが高校の職員室の机に置かれていたことを、人事院規則で禁止された「政治的行為」だとして、自民党道議会議員が北海道教育委員会に「実態調査」を行わせるという異常事態が起こっている。
このファイルは、道高教組が8月30日の戦争法案廃案の全国的行動にどこにいても参加できるよう組合員に配布したもので、憲法が保障する表現の自由の行使であり、労働組合の活動の一環である。
道教委自身、「直ちに人事院規則に違反するとは言えない」と通知に記し、調査が法的根拠を欠くことを認めている。にもかかわらず「校内で配布している」「校内に置かれている」ことなどを、個人を特定して「密告」するよう奨励している。
この手法は2010年に道教委が制度化した、学校運営や教職員の服務に関し法令や学習指導要領に違反する行為を道民に通報させることで、教職員を行政の監視下に置く「情報提供制度」を彷彿(ほうふつ)とさせる。
こんな姑息な違憲調査を許さない運動を広げるよう、道高教組は呼びかけている。11月2日には緊急市民集会を開催、19日には道庁門前で抗議行動を行う。
國田 昌男(北海道高等学校教職員組合連合会中央執行委員長)
◎リニア許可取り消し求め提訴へ 沿線の1都6県でキックオフ集会
リニア中央新幹線の沿線1都6県の団体でつくる「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」(沿線ネット)は、来春、リニアの建設許可取り消しを求め、国(国土交通大臣)を相手に行政訴訟を起こす。提訴に向け、大原告団を結成しサポーターを集めるためのキックオフ集会が、神奈川を皮切りに始まった。
国土交通大臣は昨年11月、リニア新幹線の建設許可処分を行った。これに対して、全国から5千人を超える異議申し立てが行われたが、1年たった現在も審議が始まっていない。
安倍政権は成長戦略で「インフラをパッケージで輸出する」とし、原発やリニアの輸出をトップセールスで進めている。だが、リニアの安全性には不安が残り、環境や生活に与える悪影響は深刻だ。5千人の異議申し立ては当然のことと言える。
神奈川に次いで11月144日に集会を行った静岡は、沿線の1都6県で唯一、リニアの駅のない県である。リニアのトンネル工事によって大量の残土が発生することや、大井川水系の水が毎秒2トンも失われるなど、静岡県には一方的な犠牲だけが押し付けられようとしている。
ユネスコのエコパークにも登録された南アルプスに穴をあけることには、多くの山岳関係者も反対の声をあげている。
望月 吉春(南アルプスとリニアを考える市民ネット@静岡)
◎日日刻刻 ボーナス減少傾向 (10.30〜11.12)