946号
◎臨時国会での批准止めよう TPP反対! 8千人が集会
臨時国会でのTPPの批准を止めようと10月15日、東京・芝公園で「TPPを批准させない一万人行動」が開かれ、270団体の賛同のもと、全国から8千人が参加した。
最初によびかけ人を代表し、主婦連合会参与の山根香織さんが「TPPは農業や食の安全、医薬品の高騰など問題だらけだ。暮らしを守るため声を上げよう」と訴えた。
野党各党からは、社会民主党の福島みずほ副党首や日本共産党の小池晃書記局長、自由党の山本太郎共同代表が「TPPは日本社会を壊すもので、自由貿易ではなく、多国籍企業のための管理貿易体制を作るものだ。アメリカも批准していないものを、日本はどうして急ぐのか」等と闘う決意を表明した。民進党はネクスト農林水産大臣の村岡敏英衆議院議員からのメッセージが読み上げられた。
続くリレートークでは、北海道で活躍する若者のグループや、総会でTPP批准反対を決議した日本協同組合学会、生協団体などの代表が次々と登壇してTPPの問題を訴え、中でも、総がかり行動実行委員会の高田健さんは、「安倍首相は選挙で公約したTPP反対を破り、公約しない戦争法を強行した。何としても安倍政権の暴走を止めよう」と呼びかけた。
最後に「情報開示も十分な審議もないまま、TPP協定の批准を今国会で強行することは絶対に反対」との集会アピールを採択。参加者はシュプレヒコールをしながら、都心の銀座を通るデモ行進を行った。
市村 忠文(平和フォーラム)
◎過労自死で日本郵便が遺憾表明 さいたま新都心局訴訟が和解
さいたま新都心郵便局で起きた過労自死事件の遺族が日本郵便の責任を問うてきた裁判で、10月12日、さいたま地裁で和解が成立した。
原告側としては「会社責任を認め謝罪すること。学齢期の子ども3人を抱え一家の大黒柱であったことにふさわしい解決金であること」を方針としてのぞんだ。
証人尋問を経て行われた和解協議で、被告・日本郵便が「支店に転入後それまで罹患した記録が確認されていない抑うつ状態等の精神疾患に罹患したこと、同氏の勤務地変更の希望が叶わなかったこと、及び同氏が自死に至ったことについて遺憾の意を表する」と表明。解決金についても納得できる水準と判断し、原告は和解を受諾した。
当初は、厚労省指針が着目する長時間労働は顕著でないこと、当事者が死亡しており証拠が当初は乏しかったこと、病休と復職を繰り返していることで本人判断が問われる面があることなどで、専門家からは「困難事案」との評価も受けていた。
被害者は「病気のままでは配転の受け入れ先はない」とアリ地獄のような状態に置かれていた。
弁護団は、メンタル疾患者に対する安全配慮義務違反を問う訴訟を先行させ、その後で労災認定申請に入る戦術をとった。また裁判所による証拠保全を当該局にかけ、有効な証拠を獲得した。
「責任を追及する会」は毎回800枚超配布、新都心局に対する11回の情宣を重ねた。協力の通報と労働相談が相次いだ。
裁判解決となった最大の要因は原告4人の強い意志だ。おつれあいは「何もしなければ、子どもたちは一生懸命働くことをいとうような人間になってしまう」と言い続けた。父親が亡くなった当時は小学生、今は高校1、2、3年になった子どもたちは、母の背中を支え続けた。
引き続き労災認定闘争に入る。郵政ユニオンとしては、相次ぐ郵政職場の悲劇に対し、本件をステップに社会的な過労死根絶の流れに逆行する日本郵政の会社責任を追及する取り組みを重ねていく。
倉林 浩(さいたま新都心郵便局過労自死事件の責任を追及する会)
◎本社前座り込みに近所から激励 フジビ争議、解決迫る連続行動
東京の下町荒川区の中小企業、富士美術印刷(フジビ)の子会社フジ製版による計画倒産・社員18名全員解雇と闘うフジビ闘争は、山場を迎えた10月、親会社フジビに争議の全面解決を迫る「1カ月連続社前座り込み行動」を敢行している。
18日の時点で雨の日も含め延べ259人の仲間が駆けつけ、近隣の女性から焼き芋の差し入れ等の激励が相次いでいる。
フジビが組合員3名を狙い撃ちした「スラップ(恫喝)訴訟」は、東京地裁・高裁が請求の一部を認める不当判決を言い渡し、組合は労働弁護団徳住会長と宮里元会長を迎えた弁護団と共に上告審を闘っている。
チラシやのぼり旗に記した労組の決意や要求の表現を違法と決め付けた判決は、表現の自由と労働組合の団結権・団体行動権を保障した憲法21条・28条違反だ。最高裁への団体署名を全国の労組に要請している。
フジビを親会社と認めない都労委命令に対しては、中労委に再審査を申し立て10月27日に調査が開始される。
司法も労働委員会も使用者性を狭め、労働組合の権利が奪われている。私たちはこの不条理に怯まず立ち向かい、争議権を行使して闘いぬきたい。
中原 純子(全労協全国一般東京労組フジビグループ分会書記長)
◎日日刻刻 (9.26〜10.14)
9月26日(月)
■榊原定征・経団連会長は「働き方改革」では、残業の上限規制のあり方について議論を行なう必要がある、これを無視して、一律的な決め方をしてしまうと、経済の実態に大きな影響が出る、と述べた。
27日(火)
■安倍首相は、政府の第1回「働き方改革実現会議」で、9項目のテーマを検討するとし、スピード感をもって国会に関連法案を提出すると述べた。
30日(金)
■総務省の「労働力調査(基本集計)」によると、2016年8月の完全失業率(季節調整値)は3.1%(前月比0.1ポイント上昇)。
■総務省の「家計調査報告」(速報)によると、2016年8月の勤労者世帯の1世帯当たりの実収入は、48万83円(前年同月比1.5%増)。
10月3日(月)
■経済同友会の「未来への希望を拓く税制改革〜4つの視点からのアプローチ〜」は、女性の就労促進の阻害要因になっているとして、配偶者手当及び扶養手当等の廃止などを提言。
4日(火)
■2016年版「厚生労働白書」は、高齢化が進展する日本が、どのような社会の在り方を目指すか、そのためのどのような施策を行っていくべきか「人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える」などをテーマとしている。
■厚生労働省の「高齢社会に関する意識調査」によると、高齢期の一人暮らしについては、「大いに不安」39.9%、「やや不安」41.8%。
7日(金)
■政府の「過労死等防止対策白書」は、将来的に、過労死等をゼロとするために、@週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下(平成32年まで)、A年次有給休暇取得率を70%以上(平成32年まで)、Bメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合が80%以上(平成29年まで)などをあげている。
13日(木)
■厚生労働省の2015年「労働安全衛生調査(実態調査)」では、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所割合は6割弱、現在の仕事や職業生活に関して強い不安、ストレス等になっている事柄がある労働者は半数を超える。
14日(金)
■政府は2016年度の一般職国家公務員の給与改定について、人事院勧告どおり実施することを閣議決定。