たたかいの現場から

990号

東水労〉太子堂分室廃止でスト 安心できる水道守り抜く

 私たち全水道東水労は昨年12月20日、早朝1時間のストライキを決行した。
 決裂に至った直接の課題は、区内最大規模の世田谷営業所太子堂分室の廃止・政策連携団体への業務移転問題。

 

 提案は11月、年明け2月に事業所統合、その後1ヵ月余りで政策連携団体に業務移転するというもので、あまりに拙速で安全な職場環境や十分な期間も確保できないまま強行しようとするものだった。

 

 提案の背景にある「持続可能な東京水道の実現に向けて」と称する新たな事業方針は、都民と直接接する出先部門を今後20年で縮小、廃止し、それらの業務をすべて都が出資をする政策連携団体に移転するというもの。

 その先に待ち受けるのは、公務、委託先双方での職場の混乱と労働強化、危機管理能力、住民サービスの低下であり、水ビジネス事業へ参入を狙う企業の格好の餌食になりかねない。

 

 私たちは、提案撤回を求めて都庁決起集会などあらゆる戦術を行使して闘い抜いてきた。

 労使の認識の隔たりは大きく交渉は難航を極めたが、粘り強く解決をめざす中で多くの課題は妥結水準までこぎ着けていた。

 

 しかし、世田谷問題では膠着状態が続いた。最終局面では、強行実施による混乱、職員、政策連携団体社員、都民への犠牲を回避するため交渉責任部署との調整を図り大きく踏み込んだ組合案を示したが、当局はそうした東水労の決断を一切否定し、交渉は決裂した。

 

 20日当日、私たちは整然と1時間のスト集会を決行し、当局に抗議の意を示すとともに、「持続可能な東京水道」に反対し、当局との20年闘争に突入したことを宣言した。
 交渉決裂により、一定の到達点に達していた課題についても棚上げ状態となったが、年明け1月7日の団体交渉でこれまでの職員の苦労に対する感謝の意を述べさせるとともに、労使交渉により問題を解決していく姿勢を示させたことで課題ごとの交渉を再開した。

 

 極めて短い期間ではあったが、決起集会、所属長要請を行い、17日1時間ストを背景に精力的に交渉を行ない、最終的に、提案による混乱に謝罪をさせるとともに当局のフリーハンドを許さず、発生する諸問題について、業務移転後も人的、財政的措置を含め当局の責任で解決することを確認し妥結整理した。

 

 安全で安心できる東京水道を、そのための労働条件を守り抜くため、引き続き全力で闘い抜いていく。

国谷 武志(全水道東京水道労働組合組織部長)

 

マタハラ判決〉育休切りにお墨付き? 裁判所前でリレートーク

 昨年12月24日、東京高裁前に、「育休切り手法に裁判所がお墨付き?」の横断幕や色とりどりのプラカードを掲げた女性たちが並び、昼休みの1時間、高裁判決に抗議するリレートークを繰り広げた。

 これは、11月28日に東京高裁(阿部潤裁判長)が東京地裁判決を逆転させた不当判決に抗議しようと、首都圏の労働組合や均等待遇アクション21、マタハラNetの女性たちが呼びかけた裁判所前アクションである。

 

 「本人が希望すれば正社員への契約再変更が前提」という会社の説明を信じ、育休明けに週3日勤務(契約社員)で復帰した女性が申し出ても、会社は週5日(正社員)に戻すことを拒み続け、ついに雇い止め。

 

 東京地裁では雇い止めを無効とし、会社の女性に対する対応について損害賠償を命じた。

 東京高裁は地裁判決を覆し、雇い止めは有効、録音は会社への背信行為、提訴記者会見での発言は会社への名誉殿損に該当すると55万円の損害賠償を認めた。

 

 判決自体がマタニティハラスメントだ!

 録音は労働者がハラスメントに対抗する命綱、記者会見での発言が問題にされる
など、労働者が声をあげることができなくなる!と、自分のマタハラ体験やパタハラ体験を交えてのトークやハラスメントと闘う発言が続いた。

 

 本件は最高裁に上告された。最高裁がしっかり判断するように、声を拡げていきたい。

 

谷 恵子(女性ユニオン東京)

 

ユナイテッド争議〉成田空港内の行動に激励 控訴審は次回、大法廷で

 毎月1回、成田空港内ユナイテッド航空チェックインカウンター前で行う就労要求行動も、昨年12月21日に39回目を迎えた。

 

 この日もクリスマス前に旅立つ旅行客を前に、当該が「ユナイテッド航空は史上最高の利益を上げながら日本の労働組合に入っている客室乗務員だけを解雇しました」「世界一愛される航空会社を一緒に作ろうと言ってきたのになぜそんな差別が
できるのですか?」と訴えた。

 旅行客たちは次々にビラを受け取り、グッドラック(頑張れ!)と励ましてくれた。

 

 12月23日には東京高裁で控訴審第2回口頭弁論が開かれ、述べ100人以上が結集した。
 前回、裁判長が疑問に思い、ポイントだと感じている争点に関し「宿題」が出されていた。海を跨いだ組合差別・不当労働行為や、法人格濫用の法律適用範囲などだ。

 組合側は書面を証拠と共に提出。会社側はしどろもどろな返答に終始し、裁判長
の怒りにふれる場面もあった。

 

 山場を迎える控訴審は、次回から101号の大法廷で開かれる。大法廷を埋め尽くすよう、傍聴支援をお願いいたします。
 次回、控訴審第3回口頭弁論
 3月9日(月)16時から東京高裁101号法廷。

 

(FAユナイテッド闘争団)

 

ウーバーイーツ〉事故事例調査スタート 団交拒否では本社申し入れ

 1月7日、ウーバーイーツユニオン準備会の段階から企画されていた事故事例調査がスタートした。

 

 業務に関連した事故が何件、どこで、どのように発生しているのか。「事故報告フォーム」やサポートへの問い合わせによる情報をウーバー側は一切発表していない。
 ウーバーイーツユニオンではこれらの実態を、配達員の安全と待遇改善につなげると共に広く世に問うべく調査に着手するものである。

 

 昨年末には、団体交渉に応じないウーバーイーツに対し、本社オフィスに申し入れに行った。
 ウーバーイーツユニオンは昨年10月、ウーバーイーツの配達員ら17人で結成。労働条件の改善などを求めウーバージャパンに団体交渉を申し入れた。
 しかしウーバージャパンからはユニオンへの応答がなく、オランダにあるウーバーポルティエBVという会社を通して書面で団交拒否の回答があった。

 

 その理由として、配達員が契約しているのはオランダのウーバーポルティエBVであり、配達員は個人事業主であるから労組法上の労働者に当たらないというものだった。

 

 それから間もなく、ウーバーは日本にウーバーポルティエジパンという現地法人を設立。
 その現地法人も対しても申し入れしたが、同様の理由で団交拒否された。

 

 11月下旬には配達員に対して、数日後から東京エリアの基礎報酬を切り下げるということが突然通告された。

 下がった分はインセンティブで補填するとしていながらも、実際はインセンティブは出されず大幅な条件改悪になっていた。

 これは何かしないといけないと、抗議行動を起こすことを決めた。

 

 われわれはウーバーポルティエジャパンとウーバージャパンの本社オフィスの入る神宮前の貸しオフィスに出向いたが、ウーバーの社員にすら会うことができず、門前払いされる結果となった。

 

 抗議の様子はテレビでも取り上げられ、配達員の間でもSNS上などで話題になった。
 申入行動の効果があったのか、12月12日からピーク時間帯に需要の高いエリアでインセンティブを出すというお知らせが、ウーバーから前日に突然発表された。

 

 今後は、東京都労働委員会に不当労働行為救済を申し立て、引き続き団交に応じるようウーバーに求めていく予定だ。

 

鈴木 堅登(副執行委員長)
土屋 俊明(事故調査プロジェクト担当)

 

トランプ政権〉イラン司令官暗殺に抗議 米大使館等に緊急行動

 1月3日、米軍はイラクの首都バグダッドでイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表した。

 バグダッドの国際空港の近くで、ドローンを使って同司令官の乗った車両を攻撃したのだ。

 

 トランプ政権は違法な殺害を引き起こしイラク政府を挑発しながら、その一方で「イランの体制転換を求めてはいない」と語り、同時に3500人の米兵を新たに中東に派遣すると語った。まさに支離滅裂の極みだ。

 

 安倍政権は、トランプ政権にあくまで忠誠を誓い、昨年12月27日の閣議で、「調査」目的で自衛艦をペルシャ湾に「派遣する閣議決定を行った。

 

 こうした動きに抗議して1月6日、武器輸出に反対するネットワーク(NAJAT)が呼びかけて、米大使館と首相官邸への行動が行われた。

 米大使館前行動には、緊急の呼びかけであったが60人、さらに首相官邸前行動には70人が参加し、トランプ米政権と安倍政権に抗議の意思を表明した。

 あらためて反戦・平和のうねりを。

 

国富建治

 

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