ちゃんとやるよね!? 新政権
反貧困 世直し大集会で新政権に公約迫る
昨年のリーマンショック以来、雇用は破壊され失業者が溢れ出た。衝撃的に貧困を可視化させたのが年越し派遣村運動だった。派遣法の抜本改正を求める労働運動と「反貧困」で闘う市民運動が合流し、「雇用・住まい・食」を求めて政府に対策をせまった。新政権に「公約」の実現を迫る「反貧困 世直し大集会」が10月17日、東京・芝公園4号地で行われ、700人が集まった。
「反貧困ネット」共同代表の宇都宮さんが「昨年、明治公園で集会を開き、全国に種をまき今年芽が出た。18都道府県に反貧困ネットが活動している。年越し派遣村運動の流れが政権交代を作り出し、湯浅誠さんが国家戦略室の政策参与になった。年末にかけて雇用は悪化している。政府が緊急対策をとってほしい。貧困のない社会を実現しよう」と開会のあいさつをした。
貧困に苦しむ当事者から、母子加算が4月に廃止され、3食まともに食べられず、子どもがやせていったと母子加算の復活を求める切実な発言があった。熊谷義則さんは栃木いすゞ自動車で、昨年末派遣切りにより寮から追い出された。その後生活保護を受給。職安で資格を取るために職業訓練学校を受験しようとしたら、新宿に1年以上居住していないと資格がないと断られた。派遣法の抜本改正と失業者救済のための制度の不備の改善を求めた。
骨髄性血小板増多症と多発性肝嚢胞の当事者2人が、病気と疾病で分けられて、支援が受けられない理不尽さを悲痛な思いで紹介し、「制度の谷間」をなくすために、一刻も早く障害者自立支援法を廃止するように語った。次に、大山正夫さんが後期高齢者医療制度の廃止を訴えた。
アフリカのNGOギュスターブ・アッサーさんが「学校に行けない子どもたちがたくさんいる。政策を実現するには大きな改革をしなければならない。国連はミレニアム開発目標を定め、2015年までに貧困を半減させるとしている。グローバルパートナーシップで解決しよう」と報告した。
厚労政務官の山井和則さん(民主党)が「貧困率の測定を自公政府は行わなかったが、長妻大臣は測定を指示した。子どもの貧困率も公表する。新政権は貧困問題と真正面から取り組む。緊急雇用対策本部を昨日立ち上げた。年越し派遣村が必要にならない体制をしっかりできるのか、大きな試金石になる。そのために湯浅誠さんにも参加してもらうことになった。どうすれば貧困をなくせるか、現場の実情を知っている皆さんの声を届けてほしい」と訴えた。この他、社民党、共産党があいさつし、自民党、公明党、国民新党、新党大地からメッセージが寄せられた。
加藤登紀子さんのすばらしい歌によって会場は一体化した。セネガルの踊りのパフォーマンス、北海道から山口まで全国各地から参加した反貧困ネットの報告が行われ、反貧困の「ロゴマーク」を人文字にし、STAND UPアクションを行った。そして、日本の貧困削減目標作成の呼びかけと集会宣言を採択した。
(読者 松下知)
パシフィック・ビーチ・ホテル解雇争議に勝利命令
ハワイ・ワイキキのパシフィック・ビーチ・ホテル争議に関して、9月30日、全国労働関係局(NLRB=日本の労働委員会に相当)は、組合側主張を全面的に認める完全勝利の救済命令を交付した。命令内容は、7名の交渉委員らの解雇を撤回し、復職させ、賃金を解雇時点まで遡って支払うこと、排他的交渉代表として組合(全米港湾労組ローカル142)を承認すること、誠意をもって組合との団体交渉に応じること、組合の同意なく一方的に実施した労働条件の変更を撤回し、従前の労働条件を回復し、損害を補償すること、ポストノーティス(命令内容の掲示)など19項目である。組合は経営側が1日も早い命令の受入れと争議の全面的な解決を求めている。
さらに、10月15日には、地元キリスト教会の牧師やハワイ大学の教授などの有識者で構成される独立の調査委員会がこのホテルの労使関係について実態調査を行い、報告書を発表した。同委員会は、組合支持者・不支持の者を含む38名の従業員の証言を聞き、経営側が組合支持者に対する嫌がらせや脅迫、差別を行い、結果として顧客に対するサービスの質を落としているなどの実態を明らかにした。同委員会はハワイの社会全体のために、地域コミュニティが争議の解決策を考え出して、1日も早く解決することを提言している。
◎争議報告集会開催
10月16日、NLRBの勝利命令を受けて、支援活動を進めてきた日本の労働組合は共同で報告集会を開催し、争議の経過を確認し、1日も早い解決を求めて、支援活動を強化することを確認した。
◎パシフィック・ビーチ・ホテル争議とは
2007年12月、ハワイ・ワイキキの「パシフィック・ビーチ・ホテル」において、全米港湾労組(ILWUローカル142)を支持した従業員32名が不当解雇された。組合は、この解雇は組合つぶしを狙った不当解雇であるとして、解雇の撤回と誠意ある団体交渉を求めて闘いを続けてきた。地域の労働組合やコミュニティの諸団体、宗教団体は「ビーチに正義を」(Justice at the Beach)を結成し、ホテル前で抗議行動とホテルのボイコットなどの支援運動を進めてきた。宿泊客の7割以上が日本人であるので、AFL・CIOや国際運輸労連、国際食品労連を通じて、日本の労働組合へ支援を要請し、連合や交運労協、国際食品労連日本加盟労組連絡協議会と傘下の産別組合、全港湾労組、旅行会社などを組織するサービス連合などが支援を決定し、相互に連携をしながら支援活動を進めている。
(Labor Now 高須裕彦)
浅沼委員長刺殺から49年「平和といのちの集い」
10月9日、お茶の水の総評会館で「浅沼稲次郎さんの遺志を受け継ぐために・女たちが語る『平和といのちの集い』」が開かれ、「社会党」時代を生きた多くの年配者を含めて300名が参加した。 当時、社会党書記局にいた四谷信子さん(元都議)が開会挨拶で、浅沼委員長が目の前で刺殺された悔しさなどが語られた。石坂啓さん(漫画家)の講演、新谷のり子さんの唄と続き、中島道子さん(早大名誉教授)、吉武輝子さん(評論家)、古今亭菊千代さん(落語家)、内海愛子さん(早大大学院客員教授)、チェ・ソンエさん(ピアニスト)がリレートーク。吉武さんは「護憲と反安保の浅沼さんの存在は心強かった」と発言。 途中、福島少子化等大臣、辻元国交副大臣がSP付きで飛び入り参加し「入閣の際、憲法は変えさせないと二人で決意しあった」「沖縄・平和の問題を内閣の中で成果を出して行きたい」と発言し、大きな拍手をうけた。会は吉岡しげ美さんの唄をはさんで、上原公子さん(前国立市長)の閉会挨拶で来年の50回忌で再会することを確認し終了した。
(本誌編集委員 平田豊)