たたかいの現場から
854・5号

選挙戦最終日の東京で 「さようなら原発世界大集会」

 12月15日、冷たい雨の中、Nuclear Free Nowさようなら原発大集会が開かれた。この日の集会は12月15日〜17日に郡山で開かれたIAEA(国際原子力機関)の会合への異議申し立て行動の一環として行われたもの。悪天候と選挙戦最終日だったため、参加者数が心配だったが、それでも市民を中心に1千600人が集まった。  最初に1千万人アクション呼びかけ人の鎌田慧さんと内橋克人さんが発言。鎌田さんは「どんな政権ができたとしても脱原発のために闘おう。原発を推進してきた自民党を許さない」と檄を飛ばした。同賛同人の一人田中優子さん(法政大学教授)は「日本を取り戻そう」という安倍自民党のスローガンを批判した。  この日と翌16日に行われる脱原発世界会議2の参加者からイタリアのモニカ・ゾッペさんと、リトアニアのアンドレイ・オザロフスキーさんが発言。国民投票で脱原発を決めたイタリアのゾッペさんは、欧州レベルでの脱原発住民投票のプランを紹介し、同じく今年の国民投票で脱原発の意思を示したリトアニアのオザロフスキーさんは、同国に原発を輸出しようとしている日立を批判した。さらに都知事選候補者の宇都宮けんじさんと福島ハイロアクションの大賀あや子さんがスピーチ。澤地久枝さんの閉会あいさつを受けて、午後2時半から脱原発首都圏連合が呼びかけている日比谷公園からの脱原発世界大行進に合流し、選挙戦最終日の街頭に「脱原発」の声を響かせた。

国富建治(運営委員)

新たな知見と仲間に出会う場 レイバーフェスタ東京

 12月15日、「レイバーフェスタ2012」が開催された。(主催・実行委)「いま、闘いの文化を」を合言葉に、映画、講談、川柳、コンサート等、今年も多彩な企画を満載。約130人の来場者が、師走の一日をともに過ごした。  映画「X年後」は、衝撃的だ。1954年、アメリカの水爆実験で第五福竜丸とその乗組員が被ばくしたことは広く知られているが、そこには隠されていた事実があった。この作品は、同じように周辺海域で被ばくし、次々と死んでいった犠牲者らを丹念に追跡した渾身のドキュメンタリーだ。 「ワーキングプア川柳」や「3分ビデオ」など、公募コーナーも定着。特に川柳は、川柳家の尾藤一泉さんが直接講評。スクリーンに映し出された作品を、わかりやすく解説し、川柳の持つ奥深い魅力をさぐった。中川五郎さんは、知る人ぞ知るフォーク界の先達。『理想と現実』、『腰まで泥まみれ』など、メッセージ性の高いオリジナル曲を熱唱、喝さいを浴びた。ロビーには、「報道写真展」「風刺漫画展」「山谷写真展」など恒例の展示も。
 奇しくも当日は都知事選・衆院選の投票日前日となった。そんな逆境にもめげず準備が進められ、無事にやり終えた私たちを迎えたものは、自公・維新の勝利という厳しい試練だった。だが悲観したり、逡巡している暇はない。フェスタには、新たな知見と、仲間との出会いが必ず待っている。来年は更に内容が充実するに違いない。

横山隆英(レイバーネット報道部)

社会の矛盾を切り取る3分間の映像 レイバーフェスタOSAKA201

 師走の9日、「レイバーフェスタOSAKA2012」が大阪天満橋近くのエル大阪でひらかれた。選挙戦の最中ということもあって、参加者は70人だったが、現代社会の矛盾を映像で切り取ろうとする表現者たちの意欲が参加者に伝わり、暖かい共感の場となった。
 最初の上映は、韓国の「塩花の木々 希望のバスに乗る」。解雇に反対して造船所のクレーンに籠城する女性の覚悟と全国からバスで駆けつける支援者の連帯力に圧倒される。
 続いて東京と大阪の応募による3分間ビデオが上映された。大阪は10本の作品のうち、女性の作品が7本を占める。小泉友理子さんの「関西レインボーパレード2012」は、多様なセクシュアリティを持つパレードの爽やかな雰囲気をとらえた。新美益子さんの「ZAZAで行こう!」は、「君が代」不起立の教員に対する処分がテーマ。大阪では「君が代」斉唱時の唇の動きを監視するなど異常な事態が進行している。  米軍機オスプレイについては、但馬けいこさんが岩国を、陣内恒治さんが沖縄の闘いを描いた。
 ライブの"陽斗(はると)は、解雇された自分の経験を語り、面接などを歌にして新鮮なイメージを与えた。
 最後は東北の震災を描いた「311:ここに生きるIn The Moment」の上映。参加した女性は「涙なくしてみられなかった。震災から立ち上がろうとする女性たちの活動に勇気を得た」と話していた。初めて参加した若者は「考えさせられる映像の連続だった。来年は是非自分も出品したい」と感想を寄せた。

小山帥人(レイバーフェスタ実行委員)

「競争」から「共助」社会へ 全労協13春闘討論集会を開催

 全労協は12月15日、新橋・交通ビルにて13復興連帯春闘に勝利しよう!「脱原発社会」の実現に全力をあげよう!をスローガンに掲げて春闘討論集会を開催し、13春闘方針を決定した。
 冒頭、金澤議長は」明日総選挙、都知事選挙の投票日を迎えるが、混とんとした政治状況、世界的な経済・財政危機が進行するなかで、東北や福島で復興に汗する人びと、職場で苦悩する労働者、非正規労働者と連携し総資本と対決する春闘にして労働者の底力を発揮しよう!」と訴えた。
 続いて「貧困・格差社会と労働組合の課題」と題し、熊沢誠氏(甲南大学名誉教授、研究会「職場の人権」代表)の基調講演が行われた。
 今日の労働状況を、正社員の働きすぎと非正規労働者のワーキングプア化の相互関係を指摘し、正規・非正規とも不安定な職業生活を強いられ、上薄下厚な格差社会の再生産、人びとは労働においてこそ貧困に落とし込まれると分析。組合運動の現状を、労働条件の標準化を連帯して闘うという思想と営みの後退・放棄と批判の上で、労働運動復権のために、今どのような労働組合運動が必要で可能かと問うた。そして、今後、労使の価値観が共通の既存企業別労働組合から労働運動復権の可能性として、
@ノンエリート社員の職場組合主義を…定着型非正規労働者の均等待遇、労働者間競争制限、企業間労働条件標準化
A中小企業の横断組合…企業横断の産業内単組、経営の共同組合化、共同雇用制。
B流動的な労働者のユニオン…クラフトユニオン、コミュニティユニオン
など具体例を交え、新自由主義+国家主義が強まるアンチ・ユニオン時代には政府からの自立、「オキュパイ」を含む大胆な社会運動の展開を!と提起された。
 中岡事務局長より13春闘方針が提案され「競争から共助」社会へ、「権利は譲らない、差別を許さない」社会へ、「誰でもどこでも人間らしく働き、生活できる」社会へ、「一人でも多くの仲間獲得へ」の目標を掲げ、中央―地方をつなぎ、全ての職場でスト権を確立し要求獲得を目指し闘うことを決定した。
 最後にJAL原告団の闘争報告、参加産別・労組の9名がそれぞれの職場報告や決意表明を行い、金澤議長の団結がんばろうで閉会した。

小泉尚之(東京全労協・北部)

 

第24回多田謡子反権力人権賞 三分野から四名が受賞

 12月15日、第24回多田謡子反権力人権賞受賞発表会が東京の連合会館で行われ、60人が参加しました。同賞は夭折した故多田謡子弁護士の遺産をもとに友人たちで運営されています。発表会では三里塚闘争や国鉄分割・民営化反対闘争などの弁護活動のさなか29才で夭折した多田謡子の経歴が紹介されたのち、三分野、四人の受賞者から講演を受けました。
 松沢弘さんは、フジサンケイグループで、経営陣と一体化した産経労組に反対し、闘う労働組合をめざしてきた41年間を報告、反リストラ産経労を結成したことで、不当な配置転換と懲戒免職処分をうけて以降19年間闘ってきたこと、10月25日、不当労働行為を免罪する高裁の不当判決が出たが上告して闘うとのべました。
 根本がんさんと相沢一正さんは、力を合わせて東海原発と50年にわたって闘ってきました。根本さんは一人の漁師から始まった反対運動の歴史を紹介、相沢さんは核兵器と原発は双生児であり、平和利用は成立しないなどとのべ、二人とも、今の運動の盛り上がりを今度こそ後退させず、原発をなくさねばならないと述べました。
 神田香織さんは、社会問題を講談で訴える活動、社会に訴える講談師育成の活動、NPO法人「ふくしま支援・人と文化ネットワーク」の活動がすべて評価されて受賞したことの喜びを述べ、その後、講談サロン香織クラブの皆さんが登壇して江戸しりとりを披露しました。
 発表会のあと恒例の受賞記念パーティーが開かれました。パーティー冒頭では、野宿者強制排除と闘う堅川の仲間からの訴えがありました。パーティーは例年通り、苦しい闘いを共有してきた仲間どうしの暖かい雰囲気でしたが、総選挙で自民党圧勝が予測されている中で、今後も権力の横暴と闘い続ける意志を皆で確認するものになりました。

久下格(多田謡子反権力人権基金運営委員会)

日日刻刻「EU失業率・失業者数最悪更新(11・29〜12・10)

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