郵産労、郵政ユニオンが初の統一スト
正社員化と均等待遇を要求し、3・18に全国31拠点で決行
3月18日、郵政産業労働組合(郵産労)と郵政労働者ユニオンは(郵政ユニオン)、(1)非正規社員の正社員化と均等待遇 (2)大幅賃金引き上げ (3)大幅増員の実現 (4)「郵政民営化」見直しを柱とする郵政関連労働者の要求実現を掲げて統一ストを決行。とりわけ21万3千人もの低賃金・不安定雇用の非正規社員を抱えている郵政グループ各社の労働者にとって正社員化と均等待遇の要求は、緊急の課題だ。亀井郵政改革担当相は国会答弁で契約更新を3年以上続けている非正規社員12万1千人の正社員化を確約した。さらに3月17日の読売新聞夕刊は、日本郵政側が10万人を正社員にする方針を固めたとの記事を1面トップで掲載。しかし17日に行われた第5回団体交渉では、会社側から要求への正式回答は示されず、「読売」報道についても「わからない」と答えただけだった。
この日のストライキは郵産労、郵政ユニオン合わせて全国31拠点で統一して決行され、とりわけ東京の小石川支店、広島県広島支店では両組合のナショナルセンターの違いを超えた共同ストライキという画期的なものとなった。
東京・小石川支店は両労組の8人が午前7時からと8時からの1時間ストに決起した。午前7時半から9時まで小石川郵便局前で行われた集会では、郵産労、郵政ユニオンの組合員、支援の100人が結集した。集会ではストに突入する当該労働者の決意表明、国公労連や全労協、地域の労組、郵政ユニオンの非正規労働者などが発言、さらに50年代後半から60年代初頭に当時の全逓が勝ち取った短時間雇用社員の正社員化の成果を今日的に継承することが強調された。
午前10時から、霞が関の日本郵政本社前で200人以上が参加して集会。郵産労の山崎委員長、郵政ユニオンの須藤書記長、全労連の大黒議長、全労協の藤崎議長、全国一般全国協の遠藤書記長などが発言し、ストを貫徹した小石川、銀座、目黒、藤沢の各支店での闘いが報告された。最後にストライキ宣言が読み上げられ、郵政本社に向かって闘いのこぶしが突き上げられた。
国富建治(本誌編集委員)
3・17NTT関連3労組スト集会
10けんり春闘第2波集中行動日の3月18日、けんり春闘実行委員会に結集するNTT関連3労組―電通労組、東日本NTT関連合同労組(以下N関労)、全国一般全国協東京労組NTT関連合同分会―は時限ストライキを設定、NTT東日本本社前で午前8時30分から共同のストライキ集会を行った。
各組合の賃金引き上げ、非正規の正規化、産別最賃などの春闘要求に対しNTT東日本は、NTT内最大労組NTT労組の闘争放棄・資本迎合姿勢を支えにゼロ回答で応えていた。今回の行動はこのようなNTT資本のごう慢な対応に対する怒りの反撃だがそれ以上に、この大不況の中でも巨額の内部留保を積み増す最優良企業の社会的責任を、内部から厳しく問い詰める闘いとして意識されていた。三労組を代表して開会挨拶に立った日野電通労組書記長は、グループとして9兆円以上もの内部留保を抱えつつ、11万人リストラに加え今も、子会社テルウェルを舞台に雇用形態替えという卑劣な手段で非正規労働者の処遇切り下げ強要に率先して手を染め、あるいは、N関労保坂さんに見られるような介護を不可能とする勤務の押しつけなど、社会的責任に完全に背を向けるNTTを闘いによって変えようと力強く訴えた。
N関労の保坂さんも挨拶に立ち、仕事と介護を両立させることは今や社会が企業に要請するものであり、それに応えることが企業の責任、NTTには見本となる企業になる責任があると強調した。
支援に駆けつけた労働者からは、全労協事務局長の中岡さん、全国一般全国協書記長の遠藤さん、東京労組書記長の野中さんをはじめ、練馬全労協、保坂さんを転勤させる会、ピースサイクル全国ネットの各代表が連帯挨拶、等しく大企業に社会的責任を果たさせる闘いを力説した。
集会は交通量の多い交差点間近で行われたが、まかれたチラシもなくなるほど通行する人々の注目を集めていた。なお当日は通信労組もストを構え、持ち株会社前で集会を行いエールが交換された。
大道寺毅(RJお助け隊)
大阪では3月3日にユニオンネットで総行動
3月3日、おおさかユニオンネットワークの大阪総行動が行われた。20年近く続いてきた春の恒例行事で、今年も100人ほどの参加があったが、12件もの行動はさすがにはじめて。対象企業(行政)と当該労組は以下のとおり。テルウェル/電通合同(パワハラ・解雇)、日本郵政/郵政ユニオン(均等待遇要求)、山陰放送/ユニオンおおさか(派遣解雇)、朝日オリコミ/全港湾大阪支部(団交拒否)、フジタ/全港湾建設支部(再雇用拒否)、日本基礎技術/なかまユニオン(研修期間中解雇)、旭パッキング/天六ユニオン(賃金カット・退職強要)、大阪府教委/教育合同(団交拒否)、クボタ/全港湾大阪支部 (日系労働者解雇)、CEC/なにわユニオン(労使協定拒否)、シマノ/ゼネラルユニオン(組合潰し・団交拒否)、物流システム/洛南ユニオン(残業代未払い)。
これまでも午後から2コースに分けた年はあったが、今年については朝の集合と昼の再集結など一部を除いては、午前・午後ともに2コースに分けて動き回った。なかには公共交通では行けない企業もあり、全日建関西生コン支部からマイクロバスを出してもらって対応した。それにしても、これだけの件数になると各対象先にとれる時間はせいぜい30〜40分であり、門前でもみ合いになると次の行動に支障が出る。しかし、各労組・ユニオンでも何度か団交にしろ申し入れにしろやっているから、ほとんど問題なくスムーズに進行した。争議支援行動でスムーズに進行するのが本当にいいかどうか、という問題はあるが…。
そのなかで醜態をさらしたのが大阪府教委だった。頑なに申入書の受け取りを拒否するものだから、参加者全員で館内に突入して抗議の声をあげる。さらに、何を慌てたのか110番通報までする始末。やって来た警察官から「こんなことで呼んでくれるな。申し入れくらい受けたらどうや」と説得されるという、漫画のよう一幕もあった。
丹羽通晴(おおさかユニオンネットワーク事務局)
3・12新聞5社に新聞輸送の経営責任を追及
運輸労働者の置かれている現状は、小泉構造改革、規制緩和によって新規業者の参入や様々な保護規定の撤廃によってますます耐え難いものになっています。結果、運賃の低価格化につながり、そのツケが末端の運輸労働者に押しつけられることになり、休日も無しに低賃金で働かざるを得ない労働者を生みだしてきています。
そのような状況下、過労から重大事故の危険性が増し続け、運輸労働者の生命と安全がますます脅かされているのです。社会の公器である新聞社が、その実態には何ら目も向けず新聞配送部門の労働者の生きる権利を奪おうとする行為は、私たち労働組合は断じて許すことは出来ません。
新聞輸送は、新聞5社(朝日、読売、毎日、日経、東京)が新聞輸送の経営に責任を持つ事を理念として設立された会社です。社長を始め役員を新聞社から出しながら経営をし、65年の長きにわたり新聞社の宅配制度維持のため共に歩んできた会社です(現社長は朝日新聞出身)。
一昨年、突如、新聞輸送から毎日新聞が撤退し事実上新聞輸送の経営からも手を引いてしまいました。毎日の撤退により新聞輸送は赤字状態となり会社存続の危機に陥ったのです。赤字対策として新聞輸送経営が行ったのは、社員の大幅な賃金カットで5年後の黒字化を目指すというものでした。しかし、一方で新規業務と称して新聞以外の採算の取れない仕事を増やしながら赤字をたれ流して、新聞輸送の再建とは逆行するようなことを続けているのです。
そのような中、朝日新聞が運賃入札によって新聞配送業者の選定を行うことになったのです。新聞輸送が率先してそれに協力して、安い運賃額で応札をすることで新聞配送業者全体の運賃引き下げ結果をもたらしたのです。さらに、新聞配送における新聞社の運賃入札化の動きが読売、日経にも波及して、今後、固定配車制度の廃止が決定的になっています。固定配車制度は、新聞社が経営する新聞輸送独自の運賃制度であり新聞輸送の存在を象徴するものです。
これは、新聞社の合理化経営方針に従い、新聞輸送との関係を絶つことで親会社責任を放棄させようと目論むもので、新聞輸送の解体に繋がりかねない事態です。
今、新聞輸送は、毎日新聞の撤退による赤字状態、新規業務の放置、入札による運賃切り下げ、次期社長の不確定等、企業存続危機の真っ只中にあります。会社の無責任な経営方針の中で、新聞輸送で働くすべての労働者は、雇用不安と生活不安に晒されながら日々過ごしています。
団体交渉で組合からの経営方針への意見、要求に対して「見解の相違だ」と社長は述べるばかりで何ら検討もしようとしません。新聞社にとって新聞輸送の存続意義がますます薄れていくことを組合は見過ごすことはできません。
3月12日に新聞輸送の社前で、新聞輸送と新聞社に対する経営責任追及の集会を行いました。120名の結集で新聞輸送の存続を願う労働者の声をぶつけることができました。
私たちは、新聞輸送経営=新聞社に対する経営責任追及を今後一層強めていくと同時に運輸労働者の生存権と生活、雇用を守るという観点からも職場を超えた連帯を強化しながら、新聞輸送の火を消さない闘いを続けていく決意です。
私たち新聞輸送分会は、困難に立ち向かう未来があります。なぜなら、困難を共に分かち合う大切な仲間がいるからです。そして、最後に笑顔になれると信じています。
池田英樹(全国一般全労働者組合新聞輸送分会)
JR不採用和解案を国交相に提出
与党3党と公明党の代表者が3月18日、1047人のJR不採用問題で、前原誠司国土交通相に対して、解決金約229億円(一人平均2千406万5千円)の支払いや、約200人のJR各社への雇用要請(3年間の雇用助成金も)、また18事業体への支援金10億円を中心とする和解案を提示した。
4党による「人道上不可欠と判断した結論であり、この完全実施をもっての政治解決を強く要請する」との申し入れに対し、前原氏は政府として受け入れ可能との考えを示し、官邸との協議のうえ、最終判断を行うという。
発表当日の3月18日は、午後3時から鉄道運輸機構訴訟の第7回控訴審が行われ、その夜の報告集会で和解案提示が共闘会議の二瓶議長から報告された。
今後の動きなどの詳細に関しては、次号に掲載する予定である。
(編集部)
●【資料】JR採用差別問題
「国鉄改革1047名問題の政治解決に向けて」の解決案に対する共同声明
本日(3月18日)、与党三党・公明党の解決案「国鉄改革1047名問題の政治解決に向けて(申入れ)」が政府に提出された。
解決案は、この間4者・4団体が求めていた「路頭に迷わない解決」を考慮した内容であり、和解する方向で協議したい。
解決案策定にあたり、ご尽力をいただいた与党三党・公明党をはじめ国会議員各位に心から感謝を申し上げたい。
JR 不採用問題は、「国鉄改革の負の遺産」として24年目を迎える長期の紛争であり、戦後最大の労働問題として争われてきた。原告・家族らの今日までの生活は、アルバイト収入など乏しい生活費を割いて費用を捻出し、訴訟を維持するなど「生活と闘争」の両立を余儀なくされてきた。今日までの原告らが辿って来た過酷な日々は、筆舌に尽くせぬものがある。こうした壮絶な環境の中にあって、国労、全動労の被解雇者のうち、すでに59名(2010年3月18日現在)が待ち望んだ解決の朗報に接することなく病没している。こうした現状を勘案し、「これ以上の解決引き延ばしは人権・人道上の見地からも許されない」と判断し、政治解決のための案をまとめていただいた。
この間、国際労働機関(ILO)から政府に対する勧告が出され、国内では全国832地方議会、のべ1228本(2010年2月1日現在)もの自治体が早期解決を求める意見書を採択し首相あてに提出しており、マスコミ各社も長期に亘るこの問題の解決に大きな期待を寄せ「政治主導で解決を」等と報道するなど、解決を求める声は国内外の世論となっていた。
本問題の解決は、司法の場での決着でなく「人権・人道問題」としての解決が必要であり、そのためにも政府は引き続き、本日与党三党及び公明党が提出した解決案に基づいて関係機関と実務的な調整を図り、速やかに解決に至るよう努力されることを強く要請するものである。
2010年3月18日
4者・4団体
【4者】国労闘争団全国連絡会議/鉄建公団訴訟原告団/鉄道運輸機構訴訟原告団/全動労争議団鉄道運輸機構訴訟原告団
【4団体】国鉄労働組合/全日本建設交運一般労働組合/国鉄闘争支援中央共闘会議/国鉄闘争に勝利する共闘会議
●【資料】国鉄改革1047名問題の政治解決に向けて(申し入れ)
平成22年3月18日
国土交通大臣 前原誠司様
民主党
社会民主党
国民新党
公明党
国鉄改革1047名問題の政治解決に向けて(申し入れ)
2009年3月25日の鉄建公団訴訟の高裁判決は、解雇は認めたものの、不当労働行為については一審よりも強く認定しました。また南裁判長は、「この判決を機に1047名問題が早期に解決されることを望みます」とのコメントを出しています。
この23年間の当事者、家族のことを思えば、この1047名問題は「人道問題」として早急に解決することが必要と考えます。
4者・4団体から本年1月、改めて「路頭に迷わない」政治解決を求める要望書が与党三党に提出されました。与党三党並びに公明党がこれまでの経緯を踏まえて協議し、以下の具体案により政治解決をはかるよう政府に要請することで合意しました。
記
1 和解金一人平均2千406万5千円 総数910世帯(218億9千900万円)
@高裁判決金は550万円、遅滞金利分は632万5千円(小計1千182万5千円)。
A雇用救済金1千224万円。
2 雇用問題
@JRへの雇用
解決にあたって、JR北海道、九州等の各社を中心に200名位の採用を要請する。その際、JR北海道・JR九州・JR四国並びにJR貨物については、採用支援のために雇用調整助成金にあたるような雇用助成金を3年間分支払うこととする。
A雇用を確保できない部分の吸収、地域における雇用の活性化の一環として被解雇者が運営する事業体への支援金10億円
Bその他の雇用については政府としても努力する。
原告団の要望は別紙2
3 政治解決にあたって
@上記1及び2については、民主党、社会民主党、国民新党及び公明党が人道上不可欠と判断した結論であり、この完全実施をもっての政治解決を強く要請する。
A雇用問題は政府の責任のみで解決できる問題ではないが、JR各社においても人道的見地から、全面的な受け入れを強く要請する。
B上記1の和解金及び上記2のAの事業体への支援金については、税法上の点も考慮し、解決金として一括支払うことが望ましい。
(和解金等は鉄道建設・運輸施設整備支援機構の特例業務として支出する。)
C以上の政治的合意に基づき、裁判上の和解を行い、すべての訴訟を取り下げる。
(原告団への支払総額は228億9千900万円プラス雇用助成金相当額)