たたかいの現場から
794号

王城ユニオンが勝利的和解
 サウナ王城の自主営業闘争が202日目に掴んだ勝利

 昨年11月28日から、皆様のご支援によって王城ユニオンが続けてまいりました自主営業闘争が、6月17日、東京地裁で和解が成立し解決の運びとなりました。
 上野駅浅草口で24年間にわたってサウナ、カプセルホテル、雀荘を営んできたサウナ王城の従業員らに突然の閉鎖通告がなされたのは、昨年11月3日のことでした。
 11月17日、派遣ユニオンの支部として「王城ユニオン」を結成し、団体交渉を繰り返しましたが、サウナ王城の経営者・山水商事は11月28日、事業所閉鎖を強行しました。その日から自主営業が始まりました。仮に解雇無効の裁判を闘って勝訴したとしても、そのときに職場がなければ雇用を守ることは出来ません。だからこそ決断した「自主営業」でした。しかし、経営者による嫌がらせからサウナ王城を守るための警備や、解雇撤回・事業継続を訴える宣伝行動は、皆様の応援なしに継続することは出来ませんでした。
 たくさんの支援を受け、併せて、裁判・労働委員会等の闘いも展開した結果として、自主営業闘争から202日目となる6月17日に、東京地裁で和解が成立するに至りました。
 和解の内容は、@会社は、平成21年(2009年)11月30日付解雇の意思表示を撤回し、6月17日付で会社都合により円満退職したことを確認する。A会社は、本件解決金として金○○○○円を支払う。B本件解決金の支払いと引き換えに、組合が占有する建物(サウナ王城)を6月29日に明け渡す、というものです。
 この自主営業の闘いが勝利的に解決できたのは、もともと支配人をはじめとした従業員たちで運営していたために自主営業の基盤があったことに加えて、未払い賃金の仮差押さえ訴訟を通じて毎月600万円の家賃収入を押えることが出来たこと、そして何よりも連日の経営者への抗議宣伝行動が、和解に至る決定的な要因となりました。
 集会や抗議行動、警備等へのご支援、また、サウナやカプセルホテルのご利用や、カンパ等によるご支援に対して、王城ユニオンの7人及び派遣ユニオンの組合員一同、深く御礼申し上げます。また、詳細につきましては7月23日(金)18時30分より総評会館4F402号室において「サウナ王城自主営業闘争解決報告集会」を開催いたしますので、多くの皆様の参加をお待ちしています。  24年に及ぶ1047名問題の闘いが、政治和解に到達しつつある。「国鉄闘争に勝利する共闘会議」は、5月29日に第9回総会を都内で開催。政治合意に至った経過と解決案の内容、これらに対する4者4団体の考え方についての報告と、残されている「雇用」が確保されるまで、闘いを強めていくことが確認された。   冒頭挨拶に立った共闘会議二瓶議長は、「現在、鉄道運輸機構との和解協定を作成中であるが、雇用問題が確保されなければ路頭に迷う解決となってしまう」と、闘いは道半ば、50%の和解でしかないことを強調し、「あと半年なり1年は雇用問題の解決に頑張らなくてはいけない」と支援を訴えた。そして、この到達点は、(1)300名の鉄建原告が提訴した9・15判決を突破口に、(2)4者4団体の結成で解決の道を開き、(3)政治解決の決断から、約2年半の大衆運動と裁判闘争がもたらしたものであり、解決案のうち、解決金は1千189万円、年金相当分901万円、事業体への支援金として総額10億円と4者・4団体で確認している。雇用の問題は、政府が努力するとした約束事であり「責任をもってJRを説得してもらう」、その担保は我々の運動で作るしかない。また、当事者の思いからすれば「路頭に迷わない生活が保障されないかぎり、この問題の評価や総括はできない」との考えを述べ、今後の協力を求めた。  鉄建公団訴訟の加藤主任弁護士からは、(1)裁判所の和解期日は6月中・下旬を予定、(2)不当労働行為との闘いは敗北の中で最後の一矢を報い、法律的な23条の枠内では勝利的和解といえる、(3)JRへ雇用責任追及と、政治課題としての必要性の3点について報告し、とくにJRへの雇用問題では、株主総会の「内でも外でもにぎやか」にいこうと提起された。出席者からは、雇用問題に対する活発な質問・意見が出され、「共闘会議の今後の体制について」は、会費の取り扱い、GOニュースの発行体制、団結まつりなどの議案内容は再検討し、雇用確保の実現に向けた闘いに相応しい体制で臨むことが確認された。  総会終了後の懇親会では、全国から馳せ参じた共闘の皆さんと国労の仲間、原告団がそれぞれの思いを語り合い、総会前日に急死された元朝日新聞記者・中野隆宣氏のご冥福を祈りながら「今日のこの場は、雇用確保に向けた総決起の場にしよう」と女性応援団からの呼びかけで一本締めを行い、これからの健闘を誓い合った。

……関根秀一郎(派遣ユニオン書記長)

子どもや若者の格差や貧困に及ぼす基地の悪影響

 那覇市の沖縄大学で6月18日、「子ども・若者と育む沖縄の未来−基地の島沖縄を考える」(同実行委員会・主催)が開催された。沖縄大学の加藤彰彦学長が、「基地が子どもたちや若者の生活、格差・貧困などにどう悪影響を及ぼしているか考えたい」という呼びかけで急きょ実行委員会がたちあげられた。
 これまで基地は被害そのものだけが問題にされたが、基地による子どもや若者への影響を結び付ける初めての試みだ。パネリストには、Ken子さん(ミュージシャン)、赤嶺一子さん(南風原町児童相談員)、嘉数よしのさん(沖縄タイムス記者)、新垣誠さん(沖縄キリスト教学院大学准教授)、加藤彰彦さん、そしてゲストに自身の内申書裁判以降40年間以上も教育問題にかかわっている保坂展人さんも参加した。
 どの発言も衝撃的で、「たぶんそうだと思っていたが、ここまでひどいとは」と司会を務めた加藤学長も驚きを隠せない。
 Ken子さんは、「雇用創出と言っても、コールセンターやジャスコばかり造ったって、だめじゃないの? 本当に働き続けられる職場や仕事を考えてるのかしら」と、政府や県の政策を批判した。
 嘉数よしのさんは、沖縄タイムスが小中学校教員を対象に行なったアンケートについて、「家庭・経済状況が厳しい子が増えた」が8割、「給食費払えず」6割、虫歯でも歯医者に行けず偏頭痛になった子や、ふとんがなくて体調を壊した子、食事は1日1回給食だけの子もいる、など生々しい報告があった。
 赤嶺一子さんは、児童虐待、不登校、深夜徘徊など子どもたちの実態が報告された。貧しさが原因による家庭崩壊が進んでいる。
 新垣誠さんは、フィリピンなど極貧の地域に暮らす母親と子どもたちの関係を紹介し、沖縄に基地はいらないし、他人の命も自分の命もお互いに助け合うことを地域から教えていく必要性を訴えた。
 私もフロア発言として、沖縄なかまユニオンで取り組んできた奨学金ホットラインの中から「高額滞納者の給与差押え」がすでに始まっている最近の事例を紹介した。
 保坂展人さんは「基地の振興策としてこれまで9兆円が沖縄に投入されたが、ハコモノと土建工事に消え、県民所得がいっこうに上がっていない。地域の中で子どもたちの居場所をつくり、お年寄りの年金も大事なのと同様に、子どもと若者に対して生活と教育を保障する若者年金が必要」と具体的な改善策を提言された。終了予定の午後9時を過ぎ、10時まで討論が続くが、約60名の参加者は誰も席を立たない。
 まとめとして、大学の枠を超え、この問題を解決していくためにこうした取り組みを続けていきたい、と加藤学長が締めくくった。

……西岡信之(沖縄国際大学非常勤教員

「名ばかり労組」を糾弾する画期的判決!

 このところ「名ばかり派遣」や「名ばかり店長」など、弱小労働運動をあざ笑うかのような経営者による脱法行為がまかり通っている。こうした状況にも目を瞑り、組合員の権利や労働条件の維持・向上をはかることすら放棄した「名ばかり労働組合」が、数多くはびこっている。
 こうした「名ばかり労組」を、本来の労働組合として機能させようと奮闘している組合内少数派にとって、朗報となる判決が3月24日、東京地裁民事第41部(松本光一郎裁判長)より示された。
 その事件の概要は、職業安定法45条による労働者供給事業を行っている某組合の組合事務所を、機関会議など一切図ることなく供給事業の共済組織的団体に名義変更した件について、8名の組合員が「組合員の団結権を侵害」したとして、元・前委員長に対して慰謝料を請求した訴訟であった。
 裁判では、被告・組合側は「組合員の多数が本件登記・売買を問題にしていないこと、また仮に本件登記・売買が違法、無効だとしても権利の帰属主体である組合自身が本件不動産の登記名義を回復すれば足り、原告らが上記違法を主張することは許されない」と、組合の多数派を握っていれば何ら問題なしとする高飛車な反論に終始した。
 だが判決では、「組合が運営する労働者供給事業は職業安定法44条、45条に抵触する疑いがあったことを否定できない」としたばかりか、「日本国憲法28条が保障する団結権は、個々の『勤労者』に対して保障される権利であり、多数派を形成しない限り団結権がないなどといえるものではない」として、ほぼ全面的に原告の主張を認めて慰謝料の支払いを命じた。
 国労つぶし以降、経営者に対して労働組合が闘えなくなったばかりか、組合自身が組織する労働者の権利を引き下げ、他の労働組合のスト破りや組織破壊の道具におとしめている本末転倒した状況を、大きく変える転機となりうる判決である。

60年安保から50年 もうやめよう!日米安保

 6月19日、永田町・社会文化会館ホールで「60年安保闘争から50年 もうやめよう!日米安保条約―米国・日本・沖縄の新しい関係をめざして」集会が2010安保連絡会の主催で開かれ、350人が参加した。集会の後、国会正門前で「安保NO!」「怒」のシュプレヒコール、そして首相官邸前での訴え・首相への申し入れ行動を行った。山口・広島、静岡、愛知、神奈川(座間・横須賀)、横田、札幌など全国で反基地・反安保闘争や反天皇制を闘う仲間280人が参加した。
 最初に「どうするアンポ(PART1)」上映が行われた。
 続いて、浅井基文さんが「日米安保体制の問題点と目指すべき日米関係」と題して講演を行った。
 「52年安保は米軍が自由に日本の基地を使えるものであったが、60年安保は一方が攻撃された場合双方になされたものとすると変えた。その後、湾岸戦争、朝鮮の核開発問題で、アメリカが有事法制を強要し、日本のすべての港湾・飛行場、個人の土地などを米軍が自由に使えるようにし、物資・役務の提供をすることにさせた。さらに、2+2によって辺野古新基地建設、岩国、横田、横須賀など米軍再編がセットとして、日本を戦争のできる国に変えていった」。
 「オバマが核のない世界を打ち出したが、戦争政策を変えていない。朝鮮や中国の脅威はない。核兵器での絶滅戦争になり、朝鮮や中国から仕掛けることはない。むしろ、米国が敵視することが問題だ。民主党政権は自民党政権時代と変わらない国防政策をとっている。日米関係を変える出発点は日本の平和憲法だ。国家の主人公は国民だという国家観を持ち、脅威論に打ち勝つ平和観を持たなければならない」。
 グアムの作家、教育者、平和活動家のビクトリア・レオン・ゲレロさんが、沖縄からの海兵隊の移転と新たな空母基地・ミサイル部隊の増強がグアムに甚大に自然と生活破壊につながることを報告し、「選挙権も奪われているチャモロ民族の自決権の回復による、平和な生存権のために、基地の増強に反対する。皆さん、手を取りあって闘おう」と熱烈にアピールした。
 次にヘリ基地反対協の安次富浩さんが「グアムと沖縄はマイノリティーとして同じような歴史をたどってきた。米軍基地はアメリカにもって帰れ」と連帯を表明した。安次富さんは鳩山を引き継いだ菅政権を強く批判した。「沖縄に基地を押しつけるのは沖縄差別であり、ベトナム・アフガン・イラク戦争へ加担する構造になっているのを許せない。9月名護市議選、11月県知事選で勝利したい」と訴えた。服部良一さん(社民・衆院議員)の連帯のあいさつの後、米軍再編と闘う全国各地からそれぞれアピールがあった。

……松下知(RJお助け隊)

基地、安保を民意の力で廃棄へ!

 6月20日(日)午後1時半から明治大学リバティーホール(東京都千代田区)で「6・20シンポジウム沖縄・日本・安保50年」(主催:シンポジウム実行委員会)が開催された。太田武二さんの三線演奏で幕を開け、次いで、テニヤンで社民党調査団の一員として普天間基地の国外移転の調査を行った森原秀樹さんからその報告、そして、服部良一衆議院議員(社民党)から県外移転の方針が一転するまでの経緯、さらに社民党が連立政権から離脱した経過が報告された。
 この後、塩川喜信さん(ちきゅう座運営委員長)、布川玲子さん(山梨学院大学教授)をコーディネーターにパネルディスカッションに移った。沖縄から参加した松元剛さん(琉球新報政治部長)、安次富浩さん(ヘリ基地反対協議会)、高良勉さん(詩人)の順で発言があった。
 松元さんは、鳩山前首相が普天間基地県外移設を断念し、県内の名護市辺野古沿岸部「埋め立て」の現行案に限りなく近い案による移転に傾き、県議会の県外移設決議や4・25県民大会などで示された沖縄の一致した普天間基地の県外移設の民意を無視して日米合意をしたことにより、県民の反発はさらに強まり、日米合意後の緊急県民世論調査では、辺野古移設に反対が84%にまで上昇したことが紹介された。同じ世論調査で日米安保を維持すべきとの回答が昨年調査の半分以下の7%となっているということだ。
 安次富さんからは個人の思いだと前置きした上で、11月の知事選で自分たちの支持する知事が誕生したら日本政府を相手にせず、直接アメリカ政府と交渉するためワシントンDCか国連本部のあるニューヨークに県の出張所を設け、そこから交渉することを提案する、この事務所は将来的には「外務省」になるとの発言があった。
 沖縄からの発言3人目の高良さんは、沖縄の声を一切聞かず、負担だけを押し付ける日本を相手にできない。自己決定権を行使する。そのとき日本はどうするのか、沖縄とどういう関係を作るのかと会場に問いかけた。
 基地問題に取り組んでいる金子豊貴男(米軍基再編基地強化と闘う全国連絡会共同代表)さん、大波修二(厚木基地爆音防止期成同盟)さんから各地の基地の現状について報告を聞いた。そして、土屋源太郎(伊達判決を生かす会)さん、菅孝行さん(評論家)の発言が続いた。さらに、小西誠(軍事評論家)さんからは専門家の立場から日米安保再編について説明を受けた。会場との間で質疑を行い午後5時半終了。

……原秀介(9条改憲阻止の会)

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