928号
◎ファミマはワンオペの是正を 長野一般労組のストに反響
長野一般労働組合は、組合員が在籍するファミリーマート松本インター店で、一人勤務体制(ワンオペ)の解消や会社の不誠実な対応に抗議するため、昨年12月23日、3時間の時限ストを決行した。
ファミリーマート松本インター店は株式会社YUUKI(本社=長野県諏訪郡富士見町)がファミリーマートとフランチャイズ契約し、同店を含め県内で3店舗経営している。
松本インター店では、昼夜問わず、店内の管理・運営を一人ですべて行わなければならない従業員の「一人勤務」体制を強要されている。そのため従業員は、休憩やトイレに行く時間もままならず、トイレに行かなくてもいいように薬を飲んだり、オムツを用意するなどして必死に働いてきた。松本インター店での一人勤務は最長で11時間にも及ぶ。
長野一般労働組合は会社やファミリーマート本社に対して、再三にわたって一人勤務体制の解消を要求してきた。だが、会社は具体的な改善策を講じないばかりか、一人勤務体制に応じられないなら「給料減額する」とまで通告してきた。
12月23日のストライキには、長野一般の組合員や県内の支援労組も含め、30人以上が参加。マスコミの取材もあり、「ワンオペ問題」を社会的にアピールできた。また、全国の仲間から抗議電が、会社とファミリーマートに集中した。
12月28日には、松本労働基準監督署に刑事告発を相談。こうした闘いの結果、この間、団体交渉に応じて来なかった会社は、2016年に入り代理人弁護士を通じて、団交に応ずる姿勢を示している。
荒井 宏行(長野一般労働組合執行委員長)
◎「51歳一律雇い止め」司法が否定 東部労組市進支部2名職場復帰へ
組合結成直後に強行された全国一般東京東部労組市進支部佐藤・畑両組合員の雇い止め解雇が撤回され、職場復帰が実現することとなった。
市進が運営する「市進学院」(小・中学生対象の学習塾)の講師で結成した東部労組市進支部の組合員佐藤さん、畑さんは2013年2月末日、不当にも雇い止め解雇となった。
組合は同年3月のストライキ、そして連続的な大衆行動で抗議するとともに、佐藤さん・畑さんを原告に同年6月、地位確認の訴訟を東京地裁に提起した。昨年6月30日、東京地裁は両名の解雇は無効であると判断し、佐藤さんの解雇理由であった「51歳雇い止め規定」(「契約の更新は50歳が最後」という規定)につき、「かかる一律の基準には合理性も社会的相当性も認められない」と、厳しい口調で明確に否定した。
会社は控訴したが同12月3日、東京高裁は一審の判決を支持。会社の控訴を棄却するとともに、「51歳雇い止め規定」も否定した。会社は上告を断念、昨年の12月28日、組合の完全勝利となる解雇撤回・職場復帰実現の合意書締結をかちとった。
闘いは終わったわけではない。3年連続の雇い止め解雇で、いまだに4名の組合員が職場を追われたままだ。ただ一人職場に残る組合員にも今年2月末日をもっての「51歳雇い止め」が通告されている。これらの組合つぶしをはね返し、すべての組合員の雇い止め撤回をかちとるため、市進支部はこの勝利を第一歩として闘い続ける決意だ。
菅野 存(全国一般東京東部労組委員長)
◎屋根のない仲間、命をつなぐ 「越年」で見える雇用の現実
「仲間の命は仲間で守る」を合言葉に各地の寄せ場や地域で展開されてきた「越年」(越冬闘争)が、この冬もとりくまれた。
派遣労働者として働く20代男性は、昨年の12月31日、インターネットで情報を得て、新宿の中央公園の炊き出しにやって来た。
話しかけると、中央公園のすぐ近くの派遣会社の寮で暮らしている。働いた分しか給料が支払われないため、年末までいつもより少ない金額で生活を回していかなければならないことを失念して使ってしまい、親元に帰省したいから交通費を送って欲しいと連絡しても「帰ってくるな」。金がないということは親子の縁も薄くなりがちなんだと眼前に突き付けられた形だ。
1月5日の仕事始めまでお金が入らないということだったので、渋谷までの回数券を購入して渡し、毎日渋谷の炊き出しに来てもらうことにした。
新宿の炊き出しは12月31日のみだったが、渋谷では美竹公園で連日の炊き出し。炊事をしながら、集まった方たちと話をする。
元とび職の男性はこう語る。「飯場に入ると宿舎代、メシ代、タバコ代とちまちま取られ手元に残らない。前金で渡して給料日に現金が残らないと、結局その飯場や現場を離れられない」。
建設労働の重層的下請け構造は被ばく労働にも除染労働にも継承されている。とりわけ除染労働は環境省の管轄だが、下請け業者のピンハネを抑制することもできない。飼い殺し状態で雇用関係だけが続く。労働者からの収奪システムが完備された雇用関係は恐ろしい。
それでも、一緒にメシを作り、鍋を囲みながらたわいない話をすることは一時の孤独や孤立を忘れさせる。屋根がない、仕事がないと、しんどい時こそ、炊き出しの場に顔を出して欲しいと熱望する。
池田 幸代(team rodojoho)
◎日日刻刻 小規模事業所の給与減 (12.7〜28)