たたかいの現場から

905号

◎「TPP止めろ」国を提訴へ 1.24違憲訴訟の会設立

 環太平洋経済連携協定(TPP)は憲法違反だとして、各地の活動者や弁護士などが1月24日、東京・秋葉原で「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」を設立した。総会には200人以上が参加した。


 TPP交渉は農産物の関税撤廃などに加え、食品の安全基準、医療制度や保険、教育、知的財産権など多岐にわたっており、これらが国民の健康や生命にも影響するため、生存権(憲法25条)や幸福追求権(同13条)、司法主権(同76条)などを侵害するとして、国を相手に違憲の確認と交渉の差し止め、損害賠償を求めるとしている。
 「TPP阻止国民会議」の原中勝征代表(前日本医師会会長)が代表を務める。経過報告をした「TPPに反対する弁護士ネットワーク」共同代表の岩月浩二弁護士(訴訟弁護団共同代表)は「昨年9月に設立準備会をつくり準備を進めてきた。TPP交渉は秘密裡に進められており、国民の知る権利(憲法21条)も侵害している。さらに、投資家対国家紛争解決制度(ISD)条項によって国の主権も損なわれる」と指摘した。


 TPP交渉は、今年前半までには大筋合意をめざしていると言われており、提訴の時期について、同会の山田正彦幹事長(元農相)は「大筋合意ができて遅くならないうちに提訴をしなればならない」と述べた。そのため、会員(一口2千円/年)1万人を目標に、農民や消費者、市民など幅広く呼び掛けており、1月20日段階で2400人が参加している。
 総会に先立って、TPPに反対して国際的な運動をリードするニュージーランド・オークランド大学のジェーン・ケルシー教授が講演、「2016年のアメリカ大統領選挙の日程からしてオバマ大統領は、3月の閣僚会議で大筋合意、5月に調印という日程をめざしている」とし、「それ以降になると交渉は漂流状態になるだろう」との見通しを示した。


市村 忠文(フォーラム平和・人権・環境)

 

 

◎川内原発のスイッチは押させない 鹿児島で再稼働反対全国集会を開催

 昨年11月7日に開催された臨時鹿児島県議会において、反対派の怒号のなかで採択された川内原発1・2号機の再稼働問題は、いよいよ大詰めを迎えつつある。
 1月25日には鹿児島市内の天文館公園に、九州各県を中心に全国より3千名が結集して「ストップ川内原発再稼働!1.25全国集会」が開催された。


 集会では、主催者の3.11鹿児島集会実行委・向原祥隆事務局長から「今日の集会の目的は、第一に県民・国民は再稼働を認めていないということを表明すること、第二に今後の闘いの的を九州電力に絞り、3つの要求を掲げた署名を持って3月2日に九電に押し掛ける。絶対に再稼働は許さず断念に追い込む」と今後の具体的な取り組みが提起された。
 続いて登壇した、さようなら原発1000万人アクションの藤本泰成事務局長は「安倍戦争内閣の下では、世直しと戦争反対の闘いの先頭に川内原発再稼働反対の運動がある」と檄を飛ばした。
 その後も原発をなくす全国連絡会、首都圏反原発連合、再稼働阻止全国ネットワークなどの代表、広瀬隆さんや政党からの連帯挨拶と、全国各地で反原発運動を担っている7つの団体よりそれぞれ現地の活動が報告され、その後鹿児島中央駅までデモ行進を行った。
 4月には再稼働を実現させたい原子力ムラと政府の思惑を許さず、命を守り未来を守ろうというかけ声が、いつまでも電車通りに響きわたった。

 

溝口 松男
(ストップ川内原発再稼働!1.25全国集会実行委員会メンバー・本誌運営委員)

 

 

◎都教委による新採教員免職処分 東京地裁が「取り消し」の判決

 法廷内に沸き起こる歓声と拍手。2014年12月8日、東京地方裁判所。判決主文で「東京都公立学校教員を免ずる処分を取り消す」と言い渡された。
 原告が東京都教育委員会(以下、都教委)を相手取って提訴した、学校長による不当な評価にもとづく免職処分の取り消しを求めた訴訟の判決である。


 原告は2011年4月に教諭として採用され、都立学校に配属された。赴任当初から、当時の学校長が執拗なパワハラを行う。初任者研修においても指導教員を外して後任を置かず、研修を事実上ほとんど受けさせなかったにもかかわらず、「未修了」を理由に低評価をつけた。任命権者である都教委は、学校長の不当な評価に依拠して原告を不適格教員と判断して免職処分にしたのである。


 判決は、「原告が、学習指導に関して、初任者として通常の能力を有していなかったとは認め難い」「十分な研修が行われていないにもかかわらず……教員としての適格性を欠くと判断することは相当でない」と認定。
 「校長の総合評価は、生活指導・進路指導に関する不合理な評価を含むほか、不十分な初任者研修にとどまった弊害に留意することなく判断したものとして、客観性を欠き、かつ不合理なものであった」「任命権者(都教委)の判断は……裁量権の逸脱、濫用であるものと認められるから、本件処分は違法であって取り消しを免れない」と、学校長による初任者研修妨害と都教委の裁量権の免職処分を厳しく批判した。

 この判決は、初任者研修のあり方や、現場の管理職による若手教員の指導・育成方法などにも一石を投じている。


 東京都の公立学校では、新規採用教員の「大量採用・大量解雇」が繰り返されている(本誌12頁に関連記事)。ブラック企業と化した都教委は、今回の判決に対しても控訴してきたが、私たちは控訴審においても返り討ちにすべく闘いを継続していく。

 

M・K(都高教組合員)

 

 

日日刻刻  大阪市の労組活動調査違法判決 (1.13〜30)

たたかいの現場から バックナンバー
たたかいの現場から 投稿について

「たたかいの現場から」の原稿を募集しています。各地での闘いの様子を原稿にしてお送りください。字数は800字前後でお願いします。

 

「たたかいの現場」投稿フォーム

 

協同センター・労働情報 〒112-0005 東京都文京区水道2-11-7三浦ビル2階 Tel:03-6912-0544 Fax:03-6912-0744