974号
マタハラ雇い止め無効 女性ユニオン支援で勝訴
2018年9月11日、会社の対応がマタニティ・ハラスメントであると訴えた裁判で、「雇止め」無効、会社の不法行為を認定した判決がだされた。
育児休業明けに保育園が見つからなかった女性が、「本人が希望すれば正社員に復帰できる」制度と説明され、週3日勤務の「契約社員」として職場復帰。その後保育園が見つかったので正社員復帰を申し出たが会社に拒否され、1年後に「雇止め」された。
この会社、㈱ジャパンビジネスラボは社会人対象の語学スクールを運営しており、原告が「ママコーチ」第1号。正社員への復帰を求めた原告を、会社は「過度な権利主張」「自己中心的」とし、労働審判を申立。審判官が正社員復帰の方向で話を進めると申立を取り下げ「雇止め」を通告、地位不存在確認訴訟を起こす。
原告も2015年に提訴するが、会社は、提訴時の会見に対し名誉殿損で訴えるという異例の事態が続いた。
判決は、「雇止め」は合理性がなく無効、正社員復帰を求めた原告に対する会社の「不誠実な対応はいずれも原告が幼年の子を養育していることを原因とするもの」などと断罪、慰謝料支払いを命じた。しかし、正社員からの「契約社員」への契約変更は均等法・育介法の不利益な取り扱いであるとは認定されなかった。
会社は控訴を表明。都労委にかかる事件はこれから証人尋問に向かう段階で、闘いはまだまだ続く。
谷 恵子(女性ユニオン東京)
郵政 > 非正規「定年」解雇 最高裁が不当判決
9月14日、「郵政非正規社員の65歳解雇無効裁判」の最高裁判決(菅野博之裁判長)が言い渡された。私たちが法廷で聞いたのは「本件上告を棄却する」のみだった。
この裁判は、2011年9月、後付け就業規則を根拠に全国で約1万3千人の郵政非正規社員が解雇され、うち9名が原告となって、日本郵便に解雇無効と地位確認を求めてきた事案だ。
東京高裁(水野邦夫裁判長)は、判決言渡し後、「付言」とし、「65歳という年齢を期間更新の上限としている政策は再検討の余地がある。関係者に努力してほしい」と述べた。
今回の最高裁判決は、「高齢の期間雇用社員について、屋外業務等に対する適性が加齢により逓減し得ることを前提に、(中略)一定の年齢に達した場合には契約の更新をしない旨をあらかじめ就業規則に定めておくことは相応の合理性がある」とした。
日本郵便の期間雇用社員と国家公務員である旧公社の非常勤職員とでは「法的地位を異にする」とし、雇用の継続も認めなかった。
この判決が、今後、同様の裁判に悪影響を及ぼすことを懸念する。私たちは、二審での異例の「付言」を活用し、交渉によって解決を図るしかない。ご支援をお願いします。
丹羽 良子(郵政65歳裁判原告)
伊丹市 > 「文句言うより組合に」 JTE、団交で成果
今年1月、兵庫県伊丹市に雇用されている小学校英語指導補助員(JTE・非正規)9人が、未払い残業代支給や有給休暇の行使を求め大阪教育合同に加入した。
同僚をオルグした女性は、同じく伊丹市で外国語指導助手(ALT・非正規)として働き、教育合同に加入して15年に交通費未支給問題を解決した組合員の家族。「毎日文句を言うくらいになら、組合に入って解決した方が良い」という夫の言葉に背中を押され、同僚らと共に教育合同に加入した。
団交で組合から指摘を受けた伊丹市は、超過勤務の発生状況について調査。事実を認め過去2年度分の未払い賃金の支給を決めた。有給休暇を付与していなかったことが労基法違反にあたることも認め、過去2年度分の有給休暇を付与するとともに、今後は「所定労働日数及び勤続勤務年数に応じて比例付与する」と約束した。
これを受け教育合同と伊丹市は、9月7日、協定書を交わした。
教育合同は、非常勤講師の未払い賃金問題について大阪府とも争ったが、大阪府は、労基署の是正勧告が出るまで未払い賃金の支給を拒んだ。しかし伊丹市は、第三者機関の介入を必要とせず、「支払うべきものは支払う」と早々に決定。遅延損害金も含めて支払い、組合と協定書も交わした。
今回の解決は、他の自治体との団交にも影響を与えるだろう。
大椿 裕子(大阪教育合同労働組合執行委員長)
原発 > 東海第二の延長反対 茨城県大集会に千人
9月1日、水戸市内で、東海第二原発の20年運転延長に反対する大集会が開催され千人が参加した。
集会では、主催者を代表し小川仙月さんが挨拶。前南相馬市長の桜井勝延さんは、3・11東日本大震災時の状況を振り返り、「今でも福島の住民は棄民化され、被ばくを強要されている。東海村で事故が起きれば、住民は避難できない。現実的な避難計画は、再稼働させないことだ」と訴えた。
今年3月、東海村、水戸市など6自治体と原電の間で同意した「新安全協定」をもとに、廃炉にむけ、日本原電を追いこむ粘り強いたたかいを続けるとの集会決議を参加者で確認した。
沼倉 潤(とめよう!東海第二原発首都圏連絡会世話人)
関西生コン > 武委員長逮捕の国策弾圧 背景にゼネコンの思惑
この間、関生支部に対する国家権力の弾圧が相次でいる。
8月28日には、滋賀県警刑事部組織犯罪対策課が、何故か大阪広域協組とレイシスト集団の面々にマスコミを引き連れ、捜索礼状を示さないままにユニオン会館に押し入り、武建一委員長を逮捕・連行する様子をマスコミやレイシスト集団に見せびらかすようにした後、家宅捜索を強行した。夕刻になってから他の役員2名が家宅捜査・逮捕となった。
マスコミやレイシスト集団は、レイシスト集団とともに関生潰しを行う大阪広域協組の木村理事長から事前に取材したとして、「関生支部は違法行為を繰り返してきた」「100億円を集めている」と事実無根の作り話をふりまいた。
滋賀県をはじめ近畿圏で、生コン中小企業の協同組合への結集と生コン価格の適正化が進み、労働者の雇用安定や生コン・セメント輸送の運賃引き上げを実現しようという矢先の、大阪広域協組4人組による「関生潰し」に便乗した国家的弾圧です。
弾圧を喜んでいるのはゼネコン・セメントメーカー・大手商社という大企業であり、この弾圧で被害を受けるのは中小企業と労働者である。
「一強体制」を確立した安倍政権にとって目障りなのは、安倍に異論を唱え行動し続ける者の存在だ。中小企業と共に経済・産業・政治の民主化を求めて闘い続ける連帯ユニオン関生支部を、今すぐにでも叩き潰したいに違いない。大企業・金持ちの利益を最優先させる安倍政権にとっては、関西圏の生コン協同組合運動が成果を挙げ、他の産業に波及するのは、非常に不都合だからだ。
武 洋一(全日建関西生コン支部)
北九州弾圧 > 相次ぐ仮処分攻撃はね返し争議解決迫る
この間、北九州においては3件の連続した労働組合の行動に対する民事仮処分の争議弾圧が行われている。
全国一般福岡地本とユニオン北九州は、これを跳ね返す闘いを展開している。
(1).5月、日本セレモニー(葬儀・結婚式場)解雇争議の社長自宅前抗議集会への禁止攻撃
(2).7月、九州惣菜(弁当)定年後再雇用拒否争議に対して、本社社屋への申し入れ行動などの立ち入り禁止攻撃
(3).8月、日本セレモニー解雇争議への、本社と出先の葬儀場、当該の職場葬儀場での150メートル以内での行動禁止攻撃
この弾圧を主導している経営側弁護士たちは、何ヵ所もの職場での組合加盟や結成に対し、団交拒否を主導している。
(1)では、仮処分審尋の場で裁判所が取り下げを勧め、組合側も目的は達したのでこれ以上の自宅闘争の展開を取らない、として「取り下げ」を行わせ、他の争議への波及を防いだ。
(2)九州惣菜は、最高裁で会社に不法行為が断罪されたにもかかわらず、争議解決の団交拒否を続けている。裁判所は団交要求の正当性を認め、「労働委員会の場で解決する」という和解をもって、取り下げをさせた。
(3)日本セレモニー争議は、県労委の和解案を会社側が拒否。会社は、これまで本社構内集会を認めてきたにもかかわらず、10月の労委命令を前に仮処分をかけてきた。争議解決を会社に迫る方針だ。
本村 真(全国一般福岡地本・ユニオン北九州)