たたかいの現場から
884号

共に、楽しく、生きていく マーチ・イン・マーチ、盛況に

 日本には200万人を超える移住労働者、外国籍の仲間が地域で働き暮らしている。
 コンビニのお弁当や食料品工場、自動車や機械の部品工場、産業廃棄物の現場、クリーニング店、スーパーマーケット、そして学校にも、日本の生活にかかわるありとあらゆる産業で移住労働者が働いている。
 そんな移住労働者の春闘として定着してきた東京のマーチ・イン・マーチは、今年10回目を数えた。


 3月2日、日比谷コンベンションホールにはおよそ150人の多国籍の仲間たちが集合し、「移住労働者が声を上げることが大切だ」という全統一労組のヌスラット・アリさんのスピーチで集会が始まった。
 司会進行はAPFS労働組合のケイティーさんだ。1時間半の集会で発言した労働者は16人。

 

 建設などに外国人労働力を大量導入するという政府方針に対し、日系ブラジル人の橋本秀吉さんは、「どうせ使い捨てられるだけだから来ない方がいいと友だちに言っているが、日本の求人は多くなっている」と心配する。移住労働者と連帯する全国ネットワークの大曲由紀子さんも、「日本での移住労働者の労働条件は低く、受け入れる準備もできていないのに」と憤る。


 山積みの課題について発言を織り交ぜながら、多国籍の仲間たちの集会は、それぞれの闘いを歌や楽器、ダンスに乗せ表現していく。

 南米から来た労働者は南米の民衆の歌を歌い、ビルマ(ミャンマー)人労働者は祖国で人気のある日本の歌謡曲を母語で合唱、イタリア人労働者はカンツォーネを熱唱した。

 また、日本人労働者も日本音楽協議会東京支部による反原発や平和の歌を青年労働者が「インターナショナル」を合唱するなど負けていない。

 何と言っても集会が最高潮に達したのは、セネガルの民族太鼓サバールとブラジルサンバ隊のコラボレーションだ。リズミカルな演奏が仲間を元気づける。


 安倍政権下、日本社会に広がる差別と排外的な空気に対し、多民族多文化共生という対抗軸を突きつける多国籍の仲間の集会は「団結ガンバロー」がこだまする熱気に包まれ終了、つづいて恒例の「3月の行進」は、春先の冷たい霧雨に見舞われたが、サンバ隊を先頭に、移住労働者の権利を銀座の街を行き交う人々に訴えた。

 

中島 由美子(全国一般全国協なんぶ書記長)

外国特派員協会 大量解雇の民事訴訟始まる

 国内外の著名人が記者会見をする場として有名な社団法人・日本外国特派員協会で、大量解雇事件が起きて1年8カ月が過ぎた。同協会の労使の争議は新たな局面を迎えている。3月13日に東京地裁で民事の本訴訟の第1回口頭弁論が行われ、東京都労働委員会では4月から審問が始まる。


 2012年2月、同協会は公益法人化を理由に飲食部門の外注化を表明。団交で外注先への雇用引き継ぎを求めた労組の反対を押し切って、同年7月末に契約・パート社員36人の大量雇い止めを強行した。
 解雇者のうち10人が東京地裁に仮処分を申請した一方、労組は外注先に予定されていた企業と協会を相手取って都労委に不当労働行為救済を申し立てた。


 昨年6月にようやく出された仮処分決定は、10人のうち契約社員の3人について雇い止め無効を認めたが、他の仕事に就いているとして地位保全は認めなかった。

 その後の団交で協会は、勝訴と強弁して不誠実団交を改めず、都労委の場での和解協議も不調に終わったため、昨年12月、本訴訟に踏み切った。
 本訴訟では、雇い止めされた5人のほかに、異動・降格されて手当カットなどが強行された組合役員2人の計7人が原告となった。

 3月13日の口頭弁論で意見陳述した原告の鈴木真さんは、「協会は雇用引き継ぎ要求にまったく誠実に対応してくれなかった」と協会を批判した。


 大量解雇の理由とされたのは「公益法人化」。公益法人には「公益目的以外の支出が50%を超えてはならない」という基準がある。しかし、バーやレストランは取材の場でもあり、会員にとっては不可欠な事業だ。飲食部門を直営のまま公益法人化した事例もある。

 主務官庁である内閣府の担当者は労組関係者らの照会に対し「飲食部門を外注化せよとの指導をすることはない」と述べている。


 公益法人化の申請手続きを終えたのは昨年11月。20年以上勤務していた人を含む36人もの労働者を路頭に迷わせてから1年以上が過ぎていた。この間、従業員は80人から24人に、現場の労組員も12人までに減少した。そして、労組役員を異動させて一方的な不利益変更を重ねている。

 団交には応じるものの、労組との合意を図る意思はまったくない。組合役員らに対する勤務中の監視も強まっており、一連の解雇や不利益変更の狙いが労組弱体化である疑いも否定できない。


 理事会での公益法人化方針の決定や大量解雇、労組攻撃に対して同協会の元会長らによる訴訟も起きており、伝統あるジャーナリスト団体は混迷を深めている。
 地裁、都労委の両方で多くの証人尋問が行われる。その中でなぜこのような事態が起きたのかが明らかになり、公益を果たす組織として健全に再生することを望みたい。


米倉 外昭(新聞労連副委員長)

 

 

日日刻刻  全産業で人件費減 (2.26〜3.7)


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