985号
台湾ホンハイ 〉 シャープ雇い止めに抗議 5言語で連帯アクション
「GO!GO! President Gou! 董加油! 我椚挺祢!」。
これはホンハイ本社(新北市土城)に大きく掲げられたスローガンだ。ホンハイの創業者であり元会長のテリー・ゴウ氏は台湾総統選挙に出るということで、政界進出を報じられている。
「ユニオンみえ」と、台湾で開催されている「レイバーノーツ・アジア大会」の参加者らは、8月16日、ホンハイ本社前にてソリダリティ・アクションを行った。三重県にあるシャープ亀山工場(亀山市)での4千人雇い止めと、三重工場(多気郡)の減産を理由とした実質的な雇い止め問題に対する国際的な抗議行動である。
テリー・ゴウ氏がホンハイやシャープ内外に大きな影響力を持っていることは周知の事実であり、彼自身の責任も果たすべきだという訴えは不自然な主張ではない。
2016年のホンハイによるシャープ買収は労働者にとって良い影響をもたらしていない。
例えば三重工場に300名いた日系フィリピン人労働者は買収以降150名になっている。今年4月には大幅なシフトカットが強行され労働者の賃金は半減。生活に困窮した多くの労働者が退職を余儀なくされている。
ホンハイ前でのアクションでは台湾の3M労働組合、台湾労工陣戦、香港アジアハウスキーピングユニオン、ミャンマーやフィリピンのスミフルと闘う労働者らが連帯あいさつした。
台湾3Mの代表者は、シャープの労働者の雇い止めの手口は3Mのそれと同じであると述べ、共に連帯して闘うことを力強くアピールした。
中国語、スペイン語、英語、タガログ語、日本語によるシュプレヒコールの後、ホンハイに申し入れ書の手交を求めたが、セキュリティによってブロックされ一切の対応を拒否された。
神部 紅(ユニオンみえ)
日本郵便 〉 自死事件で近畿支社に追悼と追及の行動
さる3月5日に大阪西郵便局で自ら命を絶った青年労働者を追悼し、不誠実な会社の姿勢を追及(糾弾)するため、7月31日、13時からは大阪西郵便局前で、16時からは近畿支社前で、郵政ユニオン大阪西支部が行動を起こした。
支社前では、黒のネクタイ、黒色の服、黒い傘、喪章をつけ30人が結集した。支社前の花壇をビニールシートで囲い、街頭宣伝車で追悼歌を流した。音楽を背に、かんぽ生命の不正営業など、職場のひどい状況を告発するビラを配った。
通行する人のビラの受け取りは良く、中には話しかけてきて同調してくれる人も3人いた。
そのうち一人は、郵便局員だと名乗った。
会社に申し入れ等はしていないが、支社の建物から労働関係の担当者が9人出てきた。いつものようにメモを片手に待機したが、シュプレヒコールがなく、音楽と時折のアピールだけで拍子抜けしたかもしれない。
3月5日、軽微な追突事故を起こしただけなのに、事情聴取の後、泣きじゃくっていた彼は、屋上で首を吊り帰らぬ人となってしまった。
5ヵ月が経過するというのに、調査した支社は事実関係を未だに明らかにしていない。
郵政ユニオン大阪西支部は、何が原因で彼が自死したのか、この解明を通じて、同じ犠牲者を二度と生み出さない職場をめざす。
そのために、月命日の5日に支社前で行動し、会社に誠意ある対応を求めていく。
(郵政ユニオン大阪西支部)
労災 〉 仲間3名が大けが 大久保製壜ストに立つ
7月7日、墨田区にある大久保製壜所で重大な労災事故が発生した。
1トン前後のガラス壜の重量製品のパレットが4段から6段とうずたかく積まれている倉庫内で、東部労組大久保製壜支部組合員1名と職場の労働者2名が崩れた製品の倒壊の下敷きになり、レスキュー隊に救い出された。
3名の仲間は腰椎骨折等と文字通り「殺されかけ」た。
支部は長年に渡り「多段積みは必ず死亡事故が発生する」と会社に安全対策を繰り返し要求してきたが、会社は支部の要求を無視し、多段積み状態を放置し続けた。
支部は今年2月、向島労基署に多段積みについて申告、これを受け向島労基署は5月20日、会社に「荷の崩壊や荷の落下による労働者の危険の低減対策を行うこと」との指導票を発したが、会社はこの指導票を社内発表もせず、安全委員会ですらまともな報告・討議もしなかった。
その結果が7月7日の大惨事だ。これほど明確な人災事故はない。
東部労組大久保製壜支部は、以下の要求を掲げ、8・23ストライキに決起する。
1、会社は3名の仲間とその家族と全労働者に対して、心から謝罪し、怖ろしい体験と身体に一生残る大きな障害を与えた3名に対し充分な損害賠償と慰謝料を支払う事。
2、労基署の指導を真面目に受け止め、多段積みを直ちにやめ、また灼熱地獄等の職場環境を抜本的に改善すること。
3、8時間労働制違反の検査課における12時間シフト労働(グリーンパッケージ)を直ちにやめること。
4、会社は、安全委員会・団体交渉での東部労組支部の意見を無視する態度を自己批判し、今後は謙虚に東部労組支部の意見に耳を傾ける事。
5、大労組高橋執行委員長は、東部労組への誹誘・名誉棄損・デマをについて東部労組本部執行委員会に出席して謝罪すること。今回の事故に対して我々東部労組と共にストライキで闘うべきです。
ご支援をお願いいたします!
(東部労組大久保製壕支部)
20条裁判 〉 井関農機の闘い最高裁と労委へ
井関農機労働契約法20条裁判の高裁は、原告5名が無期転換したことを受け、被告(会社)側は「すでに労契法20条は当てはまらない」と主張したが、高松高裁は今回、被告側の主張に「合理性がない」とし、各種手当支払いを命じた。
会社が作成していた無期転換社員の就業規則の「各種手当の支払いなし」は、高裁判決で棚上げとなった。
地位確認等は引き続き最高裁で決着をめざす。差別の中鬱憤を抱えている労働者に希望を持たせる確かな笑顔をうかがうことができた。
会社との団体交渉では、石嵜弁護士が代理人となってから、すべて会社外での交渉となった。
組合はしばらく、交渉成立に重きを置き、石嵜氏らがいう場所と時間(2時間)で団交を実施してきたが、私たちの労働組合を会社は認めていない。
理由の一つに、新卒を含む社員に、(正規)採用と同時に連合JAM加盟労組に加入をさせる制度がある。
社内で団交を開かないのは差別そのものだ。
そこで途中から、「連合JAM労組同様に社内で団体交渉を行え」と組合が求めたのに対し、「連合JAM労組とは会社に対する貢献度が違う」と会社が言い、また「社内にこだわる限り(開催は)困難」と主張した。
喫煙(受動を含む)を「健康に(著しい)害はないのか」と言う質問にも、会社は「……」(無回答)を続けている。
JAM労組との差別扱いに対し、組合は愛媛県労働委員会に「不当労働行為の審査」を申し立てた。会社が3年強い、JAM労組同様の団体交渉に応じていないことを裏付ける書面など証拠を提出し、8月6日から本格的に調査が始まった。
藤田 正美(えひめユニオン井関分会)
君が代 〉 教育の国家支配ごめん 全国交流集会を開催
7月21日(日)、東京の日比谷文化館で教育闘争の全国集会が開催された。
集会は午前中に世取山洋介・新潟大学准教授の「『日の丸・君が代』と子どもの良心形成」の講演が行われ、午後から首都圏や全国からの闘いの報告が行われた。
集会後17時からは参加者で銀座デモが行われた。そして翌22日(月)は衆議院議員会館の会議室で文科省交渉が行われた。
この日程は、全国の学校が夏休みに入った最初の日曜日開催ということで定例化されてきたが、今年は参議院選と日程が重なり、また天皇代替わりに伴う10連休があり、全国では夏休みがズレ込んだ地域もあり、悪条件での開催となったが、130人の参加であった。
第9回を迎える全国集会であるが、2011年の東京で第1回が始まった。その後、集会の名称に「『日の丸・君が代』問題等」の「等」が入ったのは、教育への攻撃が「日の君」攻撃を突破口に全体化してきているからである。そして次には社会的な攻撃に敷術化していくことになる。
この8月に名古屋で開催された「表現の不自由展」に対する不当な介入はその現れなのである。
東京の「10・23通達」に関わる被処分者の累計483人になり、2019年は遂にゼロとなってしまった。
大阪は今年も一人処分が出され60人になった。
今年の集会では広島から2人の被処分者が報告を行った。1人は16回の処分を受けており。他の1人も6回の処分を受けた現役教員であった。
このように毎年必ず出てきた不起立と処分は、教職員組合の指示によるものではなく、教員個人の闘いとして継承され、そして組織されてきたものである。
教育現場には今、新たな攻撃が始まっている。天皇代替わりに伴い、天皇を「深く敬愛」する趣旨を児童生徒に理解させる内容の「4・22通知」が文科省から発出され、天皇への敬愛教育が始まっている。教育勅語の現代版ともいえる教育攻撃だ。
翌22日の文科省交渉では、「祝意を教える」ことの必要性を述べ、大阪や東京などでの強権的な教育行政については、「自治体が適正に対応している」と裁量の範囲であると述べた。
こうした厳しい教育現場の状況に対して全国各地で教員不足が深刻化しているが、文科省は十分に数字を把握していないことも明らかになった。
本集会は教育現場の闘いの重要性を改めて確認した集会であった。
戦争はいつの時代でも教室から始まっていくのである。
(永井栄俊)
元朝日新聞社短期年棒制社員H.T
私は、朝日新聞社で短期年棒制社員のWebデザイナーとして5年間働いたが、契約満了を理由に2018年9月に雇止めに合った。
2013年に施行された「改正労働契約法」を悪用した「無期転換逃れ」の脱法的行為である。
この雇止めを、正社員以外も加入可能な「朝日新聞第二組合朝日新聞再生機構」が問題視。
私は、組合に加入して会社と団交を開始した。その後、朝日新聞第一組合と共闘できる「新聞通信合同ユニオン」に加入。現在も現職復帰を目指して団交を続けている。
職場で私が担当していた業務は現在も継続しており、雇止め後は専門職がおらず品質が落ちたと聞いている。
だが、社は復帰を拒否している。
社には、私以外にも多くの短期年棒制社員や契約社員がいる。「仕事を続けたい」と願いながら契約満了で雇止めに合う仲間たちは多い。
そんな彼らに「雇止めは当たり前じゃない!!声をあげて一緒に未来を変えよう!」と伝えたい。非正規雇用の仲間たちも安心して長く働ける労働環境を求めて、これからも声をあげて行きたい。