限定正社員(ジョブ型正社員)に反対する!
「名ばかり正社員」で人件費の大幅削減をねらう
日本郵政は、昨年4月「郵政民営化見直し」をめぐる動きの中で中断していた「新人事・給与制度」を再提案してきた。内容は、一口に言ってすべてを点数化する成果主義賃金体系への改悪であり、「新一般職」という限定正社員の導入である。
6月14日、マスコミ各紙が「日本郵政が限定正社員」「非正規から登用」などの見出しで報道しているが、単純に非正規社員が正社員になるわけではない。
新制度の正社員では、全国転勤もある本社等の幹部候補の「総合職」、支社管内転勤があり局長など管理職への登用がある「地域基幹職」、転居を伴う転勤や管理職登用がない「新一般職」となる。現在の半年または1年で契約更新を繰り返す非正規社員が「新一般職」になるだけなら今より待遇改善となるが、会社提案では、正社員比率(郵便事業)は現在の54%から61%(将来のあるべき姿)にしかならない。
郵便事業の時給制社員は、2013年4月約7万6500人で、あるべき姿の年では約6万1700人であり、合理化削減要素を考えればほとんど変わりない人数が雇用される。
一方、管理者を除く正社員は、13年4月約8万7200人、あるべき姿の年では約4万9400人、プラス「新一般職」3万9500人となる。これは、非正規社員の人数はほとんど変わりなく、正社員の半数近くが最高年収が470万円の「新一般職」となることを意味する。
私たちは、この提案が規制緩和の財界戦略に基づく労働者管理を背景にした総人件費削減であり、労働者間の競争を煽り給与・年収格差を拡大させる団結破壊攻撃であるとして取り組んできた。
しかし、郵政最大のJP労組は、「生産性向上、企業価値を高める、そのために『頑張った社員が報われる』人事・給与制度の導入」を要求し、労使一体で進めてきた。この間のマスコミ報道にあわてたJP労組は、会社側に問い合わせし「限定正社員に係る報道について」という指導文書をわざわざ出して「『新一般職』と『限定正社員』は違うものだ」「期間雇用社員の処遇改善や多様な働き方につながる制度」だと強弁している。それだけJP労組組合員の不安・不満も大きいといえる。
今後はJP労組が妥結する中での闘いだが、規制緩和・労働法制改悪に反対する闘いと連携して闘っていく。
須藤 和広(郵政産業労働者ユニオン書記長)
自民党が教科書会社に「圧力」 出版労連は学問の自由蹂りんに抗議
安倍政権は、橋下徹大阪市長(「維新」共同代表)発言などをきっかけにした日本批判に対し、「日本が右傾化しているというのはまったくの誤解」(小野寺五典防衛相)などと火消しに躍起だ。だがその一方で、自民党は、橋下市長同様の特異な歴史認識から教科書介入を強めている。
自民党・教育再生実行本部の教科書検定の在り方特別部会(主査=萩生田光一衆議院議員)は、5月28日、自民党本部に教科書会社3社の社長らを呼びつけ、「聴取」を行った。
呼び出された教科書会社は、東京書籍、実教出版、教育出版の社長、役員ら。
午前8時から始まった「聴取」には、若手を中心に国会議員約45人が待ち構えていた。
教科書の編集方針を各社が説明させられた後、南京大虐殺、慰安婦問題、原発稼働、年越し派遣村などに関する教科書の記述内容について、議員らが「南京事件の犠牲者数は、事件自体がなかったという説も含めさまざまある。なぜ、『十数万人』や『30万人』という説しか紹介しないのか」「慰安婦について、旧日本軍の強制性をうかがわせる表現が強い」(この発言は朝日新聞5月30日付から)などと追及≠オた。
教科書会社側は、記述は適切だと説明した模様だが、「(自民党と)『内容は非公開』と合意している」(関係者)と口が重い。他方、自民党は部会幹部が取材に応じたほか、山谷えり子参議院議員は「チャンネル桜」で、自慢げに報告している。
問題の部会の冒頭、萩生田主査は「教育基本法や学習指導要領が変わり、教科書の記述が変わると期待したが、そうなっていない」と不満を述べている。
教科書会社の組合が多数加盟する出版労連は、6月3日、自民党(安倍総裁)にこの問題で強く抗議し、再発防止と会の出席者・議事録の公表を求めた=抗議文
(http://www.syuppan.net/uploads/smartsection/68_130603jimin.pdf)。
だが、自民党の動きはエスカレートするばかり。教科書検定の在り方特別部会は6月12日、「高校の歴史教科書については、いまだ自虐的な歴史観に強くとらわれるなど……疑問を感じるものがある」(中間まとめの素案)と特異な認識を示しつつ、教科書検定の在り方などを定める「教科書法」の制定検討を決めた。
昨年には、都教委と横浜市教委が、特定の教科書(高校日本史)を採用しないよう校長に圧力をかけたり、現場から上がった報告書を改ざんする採択妨害事件が起き、今年の採択でも妨害の動きは止まっていない。
北 健一(ジャーナリスト)
レイバー映画祭2013 日本と世界の真実
1%が99%を支配する今の世界はどうなっているのか?この問いにズバリ答えたドキュメンタリー映画が『ショック・ドクトリン』である。この衝撃作が、レイバー映画祭2013で本邦初公開される。そして、今年亡くなった三國連太郎さん主演の『襤褸(らんる)の旗』は現在の「フクシマ」につながる民衆映画の名作だ。その他、ブラック企業や非正規の労働現場から届いたホットな映像をはじめ、日本と世界の真実がスクリーンいっぱいに焼き付けられる。
◎レイバー映画祭2013
7月27日(土) 10:00〜17:00(開場 9:30)
田町交通ビル6階ホール(JR田町駅芝浦口徒歩3分・東京都港区芝浦3-2-22)
1500円(前売・予約1300円。障がい者・学生・失業者は各200円引)
主催:レイバーネット日本
tel:03-3530-8588 fax:03-3530-8578
事務局 labor-staff@labornetjp.org
日日刻刻 連合評価委員会報告の実践を(5・29〜6・10)