たたかいの現場から
825号

「教育基本条例」「職員基本条例」成立を許すな
  「君が代」強制大阪府条例はいらん!全国集会に762人が参加

 全国集会に先立って、9月20日には、府庁包囲行動が行われた(主催「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪・全国集会実行委員会)。大阪城公園教育塔前広場に200人が結集した。「日の丸・君が代強制処分条例に反対する弁護士の会」の児玉憲夫弁護士(元大阪弁護士会会長)が発言したほか、参加団体からそれぞれ条例案阻止に向けた決意が述べられた。府庁包囲デモに移ると、参加者は大阪教育合同労組が作成した「君が代」条例反対のうちわを手にして、力強くシュプレヒコールを府庁に向けて浴びせかけ、秋の闘いを出発させた。
 9月24日、大東市の総合文化センター・サーティホールで開かれた「君が代」強制大阪府条例はいらん!全国集会は、北海道から北九州・大分までの仲間を迎え、762名の参加で大きく盛り上がった。
 集会では、高橋哲哉さんが「教育基本条例は『教育破壊条例』である」「知事が目標を決定し、知事→教委→校長→教員と上意下達で、教委以下はすべて知事の手駒・ロボットにすぎないものになる」「民主主義とは独裁であるという橋下知事の思想で、大阪の教育を破壊させてはならない」と条例案を批判。
 大阪からは、保護者、大学生の発言に続き、山元一英・全港湾大阪支部書記長が反<ハシズム統一戦線を訴え、学校現場からは酒井さとえ・大阪教育合同労組執行委員らが闘いの決意を述べた。
 大阪維新の会は、9月21日、府議会議長に「教育基本条例」「職員基本条例」案を提出した。この2条例案に対しては、行政の内部からも批判が噴出しており、大阪府の教育委員は「条例が成立したら辞任する」との意向を固めたと報道されている。「2条例案が橋下の墓穴を掘った」と言われるような結果を生みだすことは可能であり、そのための運動の拡がりが何より求められている。

 寺本勉(大阪教育合同労組執行委員・「日の丸・君が代」強制反対ホットライン大阪事務局員)

福島原発事故緊急会議が
     反原発デモに対する弾圧に抗議声明

 9月11日に開催された「新宿・原発やめろデモ!!!!!」で12名が不当逮捕されたことなどに対し、福島原発事故緊急会議の抗議声明を掲載する。その他にも反天皇制運動連絡会、柄谷行人、鵜飼哲、小熊英二の三氏起草による「「デモと広場の自由」のための共同声明」などの声明が出されている。

【資料】
反原発デモに対する弾圧に抗議する
福島原発事故緊急会議

2011年9月26日

 3月11日の福島第一原発事故が引き起こした空前の放射能災害の後、原発の即時停止・原発のない社会をめざす運動が日本の各地で、これまでにない規模で作りだされてきました。6月11日には全国で6万7千人を超える人びとがさまざまな集会・デモに参加しました。9月19日に明治公園で開催された「さようなら原発」集会には、6万人もの人びとが参加しました。「脱原発」をめざす数えきれないほどのデモ・パレードには、高齢者から若者、幼い子の手を引いたり、抱きかかえた親たちなど、被災者・避難者をはじめとした実に多彩な人びとが、それぞれの切実な思いを抱いて、「原発はもういらない」「福島を繰り返すな」の訴えを発しています。デモやパレードに参加するのはこれが初めてという方もたくさんいます。
 しかし、このデモ、集会に対して、警察当局は「交通の妨害」などを理由に、表現の自由という基本的権利を踏みにじる規制・弾圧を繰り返してきました。私たちの知る限り、東京では5月7日に代々木公園から出発したデモで4人が逮捕されました。8月6日に日比谷公園から出発したデモに関しても4人が逮捕されました。いずれの場合でも、この不当逮捕はデモへの嫌がらせとしか思えない警察官による執拗な行進への規制、妨害、暴行、参加者への無差別な写真撮影への抗議に端を発したものです。「混乱」を意識的に作り出したのは警察官でした。
 私たちも参加した「9・11再稼働反対・脱原発!全国アクション」実行委員会は、9月3日付で「要請書 警察は不当なデモ規制をやめろ」を作成し、9月11日に日比谷公園から出発するデモの申請(9月6日)にあたって警視庁にこの要請の内容を伝えるとともに、書面を提出しました。
 その要請の内容は「恣意的なデモ分断をやめろ」「デモ参加者への危険な身体的圧迫をやめろ」「指揮官車による騒音と偏見をあおる宣伝をやめろ」「デモ参加者への写真・ビデオ撮影は肖像権の侵害だ」の4項目からなっています。
 警視庁の警備連絡担当者は、私たちの要請に対して「趣旨は警備担当の連絡会議で伝える」と述べていました。
 しかし同じ9月11日に、新宿中央公園から出発した「原発やめろ!デモ」に対する警察官の規制・弾圧はこれまでを上回るほどのものでした。何よりもこれまで幾度となく行われてきた新宿駅東口アルタ前から出発するデモ申請が直前になって一方的に変更させられました。
 当日やむなく新宿中央公園から出発したデモに対して、警察官は初めから「圧縮」「歩道に上がるな、歩道から入るな」などの不当な挑発と暴行を繰り返し、次々とデモ参加者に襲いかかり、逮捕しました。また新宿3丁目交差点近くの「歩行者天国」では「原発の火を消させない国民会議」を名乗る「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などによる、デモへの卑劣な妨害宣伝を許容しました。そして「奴らを原子炉に生きたまま叩きこめ」などの罵倒に抗議したデモ参加者に対して、「在特会」は「逮捕しろ」「射殺しろ」と連呼し、それに応える形で警察官が抗議したデモ参加者に暴行を加え、逮捕するという連携プレーまで見られたのです。
 この中で実に12人ものデモ参加者が公安条例違反などの理由で逮捕されました。マスメディアは被逮捕者の実名まで挙げて「デモ許可条件に違反して歩道にまで広がった」などと報道し、「違法なデモ」を行ったかのように印象づけています。しかしもともと街頭での表現行為の自由という民主主義的権利の根本を「交通への妨害になる」という名目で一方的に規制・弾圧する法律や条例自体が世界的に見ても異常なのであり、今回の逮捕はその適用の仕方も度を超えた拡大解釈と言わざるを得ません。そればかりではありません。この間、街頭での反原発のチラシ配布や署名集めに対しても、道路交通法違反を名目にした妨害が目立っています。9月23日には、差別・排外主義に反対するデモにおいてまったく突然、デモの中にいた反原発運動をともに担ってきた仲間に、多数の警察官が襲いかかり、引き抜いて逮捕するという事態まで引き起こされました。弾圧はもはや「人さらい」という水準に達しています。
 私たちは、原発事故に抗議し、原発はいらない!と訴えるデモを、「社会秩序を乱す危険な行為」として敵視し、脱原発の主張を社会的に封じ込めようとする狙い撃ち的な弾圧に強く抗議します。一連の弾圧・逮捕のエスカレーションは、「原発をやめろ」の訴えがこれ以上拡大することへの危機意識にかられた政治的対応だと判断せざるをえません。
 私たちはあらためて訴えます。警察はデモへの分断・規制・逮捕をやめろ。基本的人権であるデモの権利・表現の自由を侵害するな!

三里塚・一坪共有地裁判で立て続けに  空港会社の主張を追認する不当判決

 三里塚・一坪共有地裁判で千葉地裁は、空港会社の土地強奪の主張を追認する不当判決を立て続けに出した。
 地裁民事第2部(白石史子裁判長)は、9月16日、現闘本部共有地に対して全面的価格賠償方式(地権者との合意もなく一方的に金銭補償することをもって土地強奪ができる悪法)を適用し、「成田国際空港会社の所有とする」不当判決を言い渡した(被告17人、持分374分の1)。空港会社が被告に対して賠償額5万5千659円を支払い「所有権の移転」を認めた。
 柳川秀夫さん(三里塚反対同盟世話人)持分裁判でも地裁民事第5部(仲戸川隆起裁判長)は、「空港会社の単独所有を認める」不当判決を出した(9月22日)。空港会社が柳川さんに横堀土地持分(約116u、15分の3)に720万6千507円、木の根の土地持分(1.5u、780分の1)に12万9千246円を一方的に支払うことによって「所有権の移転」と称する土地強奪を認めた。
 しかし柳川さんの横堀共有地持分は15分の3の所有であり、空港会社が「大部分の持ち分を所有している」という評価は当てはまらない。地裁は否定するが、明らかに「特段の事情が存する」のである。
 横堀共有地(鉄塔前のくぼ地)裁判(9月28日)でも地裁民事第1部(三代川三千代裁判長)は、空港会社が被告・共有者47人(持ち分1080分の1)に3万727円の賠償額を一方的な支払いで所有権移転を認めた。  裁判後の集約で清井礼司弁護士は、「提訴自体が裁判を通した『強制収用』だ。暴力を使って推し進めた空港建設のやり方をしないという反対同盟との信義則違反だ」と批判。さらに「共有持分権者、信義則違反、全面的価格賠償の不当性を争点にして控訴していく」と発言した。
 柳川さんは、「円卓・シンポの約束を破ることは許さない。不誠実な態度を放置することはできない。闘争の質は変わっていない」と決意表明した。
 加瀬勉さん(大地共有委員会〈U〉代表)は、「一坪共有地裁判は、階級裁判、支配裁判、政治裁判だ。不当判決を跳ね返し、勝利をかちとろう」と訴えた。
 山崎宏さん(横堀地区)は、「空港会社は、勝手に現闘本部を鉄板で囲い、使わせないようにしてきたのに『廃屋同然』などと言っている。空港会社の主張を追認する判決を糾弾する」と発言した。  一坪共有地裁判第2次カンパに協力しよう。
(一口 2千円 振替口座:00290―1―100426 大地共有委員会〈U〉)。

山下一夫(三里塚空港に反対する連絡会)

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