山陽バスで安全確保のため休日求めスト 会社との交渉開始決定で一歩前進
全日本港湾労働組合関西地方神戸支部(以下、全港湾神戸支部)は、今年5月15日、山陽バス梶i本社・神戸市垂水区)において、ストライキを決行した。
同社では、労働基準法や「自動車運転者の労働時間等の改善の基準」(改善基準告示)に違反する働き方が常態化しており、神戸西労働基準監督署からも改善指導を受けていた。それでも改善を進めなかったため、今年3月には「事務員・助役に4ヵ月にわたって月100時間超の時間外労働を行わせ、運転手に119日間連続で勤務させた」などの労働基準法違反の容疑で、神戸西労働基準監督署に書類送検されていた。
また同社では、運転手の年間休日は73日(事務員は104日、助役は93日)で、そのうえ公休出勤もあるために、実際に休める日数はさらに少ない。長時間拘束(年間3分の1が14〜15時間拘束)と交代制勤務のなか、身体的・精神的負担の大きいバス運転手は、「疲れが取れない」、「いつか大きな事故を起こすのではないかと常に不安がある」という状態になっていた。
このことから、全港湾神戸支部は「輸送の安全確保」の根幹であるバス運転手の労働環境改善のため、「年間休日104日」をはじめとする緊急要求を掲げて同社と交渉を行ってきた。しかし、会社側はこれを受け入れず、4月4日に交渉は決裂した。
ストライキ中は、組合員たちの説得でバスを降りる企業内労組の運転手が何人もおり、そのたびに拍手が起こった。しかし、会社の通報で駆け付けた垂水署の警察官が不当に介入し、説得活動を行っていた支援の仲間を「威力業務妨害」の現行犯として不当逮捕した(警察の勾留延期は認められず、翌日釈放)。
10時30分ごろになって、ようやく会社が「組合と話す場を設ける」ことを受け入れ、11時から交渉が始まった。そして、約1時間後、会社が「組合の年間104日休日に向けた案を交渉のテーブルに乗せて検討する」と述べたことを受けて、12時35分、ストライキを解除した。なお、会社との交渉は、5月29日9時30分から行うこととなっている。
ストライキの結果、会社はバス運転手の労働実態に向き合うほかなくなった。支援に駆けつけていただいた皆さんの熱い連帯に感謝するとともに、このストライキで培った力を糧として、早期に職場環境の改善を勝ち取りたい。
宇野 克巳(全港湾労働組合関西地方神戸支部書記長)
700名を超える参加で5・15「霞ヶ関大行動」が成功!
「解雇を簡単にできれば企業はもっと人を雇える」として安倍政権が「経済成長戦略」に「解雇自由」を位置づけ、規制改革会議・産業競争力会議を通じて実行しようとしている。
派遣の期間制限・対象業種規制緩和、ホワイトカラーエグゼンプションや解雇無効判決後の金銭解決ルール、勤務地職務限定社員制度を検討する規制改革会議。労働契約法に「解雇自由の原則」を明記し、「再就職支援金」支払いによる解雇制度の導入を検討する産業競争力会議。アベノミクスは有期・無期雇用の区別なく「首切り自由」社会を作り出すことを狙っている。
「情勢が全労連・全労協の両議長が並んで挨拶するこの行動となった」(金澤全労協議長)という5月15日、東京地裁前昼休み集会での連帯あいさつに5・15霞ヶ関大行動の意義が込められていた。
けんり総行動実行委員会と東京争議団共闘会議が呼びかけて結成した「首切り自由」は許さない実行委員会は、争議団共闘の枠を超えて、100を超える団体・個人の賛同を集め、「首切り自由」社会を先取りする不当判決を連発する東京地裁・高裁にレッドカード(個人請願書)を突き付けた。また、この行動に合わせて賛同・参加する争議団が、霞ヶ関を中心に安倍政権の解雇自由を押しとどめる一日行動に取り組んだ。
「19年間、76回の契約更新の末に『不更新条項』による雇い止めは認められないが、19万円支払い「派遣会社」を紹介したので、整理解雇として合法」(ハリソン東芝事件)とした一審判決は「身分が違うから、という判決だ」と批判した当該の稲葉さんをはじめ、JAL原告団、郵政「65歳定年」裁判原告、JMIUいすゞ自動車支部など上部団体を超えた争議団の共闘の力が行動を支えた。
「形式的な体裁は整えているが、実質はもはや労働者派遣とは言えない」として13人を正社員と認めたマツダ自動車派遣切り裁判判決のように、「実情を見れば判決は変わる」(全印総連DNPファイン争議当該)社会にするのが実行委員会の次の課題だ。
伴 幸生(「首切り自由は許さない実行委員会」事務局/首都圏なかまユニオン)
均等法を男女雇用平等法に! 院内集会に82名が参加
均等法施行から27年が経過、職場の男女平等は実現していない。日本のジェンダー平等指数は135ヵ国中101位。国連女性差別撤廃委員会やILOから女性の差別的状況の是正が求められている。
働く女性の54%が非正規労働者だ。正規職の男女賃金格差は男性100対女性70、非正規労働者では50にも及ばない。女性の4割が年収200万円以下で、人らしく生きることも困難だ。
均等待遇アクション21では労政審雇用均等分科会の均等法見直し論議を傍聴してきた。経営側は改定の必要なしとする中で、論議は低調、3月以降分科会は開かれていない。「このまま法改正なしでは日本の男女平等は進まない!」と日本女性差別撤廃条約NGOネットワークと共催で、5月8日、緊急院内集会を開催した。
均等21の呼びかけ人の浅倉むつ子さんから、必要最小限度の改正ポイントとして、@1条、2条(目的・理念)に「仕事と生活の両立が男女平等に保障」を明記、A均等法に性差別の定義をおく、B賃金を対象事項に含む、C7条を「間接差別禁止規定」と明確にする、D雇用管理区分毎の差別禁止の枠組み廃止、の必要性を説明。
会場からは東京地裁に係争中のフジスター事件原告が差別の実態と職務評価による是正水準をグラフで紹介。ACW2の伊藤みどりさんは、男女の違いがくっきりと表れた1988年〜2012年の年齢別雇用形態をグラフで示した。銀行で働く女性からは何も変わっていないコース別雇用管理の実態報告を受け意見交換。
集会には、小宮山洋子前厚労大臣や林久美子・石橋通宏・福島みずほ・阿部知子議員、公明、共産の議員秘書が参加。法改正にむけた一歩を踏み出した。
柚木 康子(均等待遇アクション21事務局)
脱原発テント裁判開廷
経産省前脱原発テントの明け渡し訴訟第一回目裁判が、5月23日に始まった。
この裁判は、経済産業省が土地明け渡しを求め、テント代表者2名(渕上太郎、正清太一)を提訴した事件である。土地を占拠していることに対して、これまでの「使用料」(損害賠償)1100万円の支払いと、立ち退きを求めている。
テント側は、「脱原発テントは被告二人だけではなく、みんなで建てた。脱原発運動の拠点となる場所はみんなで守ってほしい」として、多くの市民に代表者2名とならび、「被告」(訴訟関係者)となるよう呼びかけている。
今後も裁判には広く傍聴を呼びかけ、関心が集まっていることをアピールすることが大切だと話す。5月20日時点で、その数は200名に上った。ある賛同者は「経産省前テントは反原発運動の象徴。裁判を逆手にとって闘いを広げたい」と言う。
松元 千枝(ジャーナリスト)
東京東部労組HTS支部 塩田委員長の職場復帰が実現!
不当な「アサイン(仕事の割当)停止」(事実上の解雇)撤回を求めて4年間闘ってきた全国一般東京東部労組HTS(阪急トラベルサポート)支部塩田卓嗣委員長の職場復帰が実現した。
派遣添乗員である塩田さんは08年7月、組合活動の一環として『週刊金曜日』の取材に応じ、派遣添乗員の過酷な労働環境と労働組合結成の経緯が同誌09年2月号に掲載された。これに対し会社は同年3月、取材に応じただけの塩田さんに対して、「記事の内容は虚偽」とし、「アサイン停止」を通告した。明らかな組合つぶしに対し組合は同年5月、都労委に不当労働行為の救済申し立てを行った。
11年2月の都労委命令に続き同年11月、中労委も「アサイン停止は不当労働行為」と会社を断罪。しかし会社は命令の取消を求め行政訴訟を提起。東京地裁は今年3月27日、会社の訴えを棄却した。
また同日、「裁判中でも労働委員会の命令は守りなさい」という「争いの引き延ばし」に対する救済制度である「緊急命令」が東京地裁からあった。
これにより会社は、たとえ控訴しても塩田さんを職場に復帰させなければならず(実際、会社は控訴)、組合はこの緊急命令を背景に塩田さんの職場復帰実現を会社に迫った。そして5月10日、会社は緊急命令に従う旨を表明。アサイン停止が解除され、職場復帰が実現した。多くの仲間からの物心両面にわたる支援のお陰だ。
東部労組HTS支部は今回の塩田さんの職場復帰を大きな契機に、すべての闘いに勝利する決意を固めている。
今後もみなさまのご支援・激励をお願いするとともに、改めて塩田さん職場復帰の闘いへのご支援にお礼を申し上げます。
菅野 存(全国一般東京東部労組委員長)
佐高信さんを迎えて メーデー郡山集会に250人
5月1日、「放射能から命と生活を守ろう! 憲法改悪を阻止しよう!」をスローガンに、働く者の権利を守る第84回メーデー集会が郡山市労働福祉会館大ホール満杯の250人以上の参加で開かれた。
主催者の飯塚・福島県教組郡山支部長、郡山平和フォーラムと郡山地方労連の各議長、社民、共産、虹とみどりの会、郡山の未来をつくる会の各議員があいさつに立ち、郡山市の品川新市長等からのメッセージが紹介された。
講演に立った佐高信さんは「原発をなくすために必要なこと」と題し、東電経営者、ビートたけしや長嶋茂雄、アントニオ猪木などをナデギリし、「原発推進勢力は悪辣に徹している」「安倍内閣は『憲法改正』を唱える人たちも驚く『壊憲』を行おうとしている」「権力の側は必死だ。対抗する側はお人好しではいけない。肝をすえ闘わなければいけない時期」「日教組・自治労は連合にとどまるべきでない」などと語り、山口県の上関原発音頭を紹介して結んだ。
続いて、県教組郡山支部、国労郡山工場支部、ふくしま連帯ユニオン、被ばく労働を考えるネット、全自交吾妻分会、県職連合、安全・安心アクションin郡山、福島原発告訴団が闘いの報告と連帯を呼びかけた。
「憲法96条改悪が急がれています。人権を無視し続ける国に抵抗し、当たり前の人間らしい生活を勝ちとろう!」とのメーデー宣言を採択した。
労働組合と市民運動が結びつき、闘いの輪が広がっていることを実感させたメーデーであった。
中路 良一(福島県教組郡山支部)
現闘本部と横堀くぼち共有地への最高裁一坪共有地裁判不当判決を糾弾
4月25日、最高裁は、成田空港横風用滑走路「完成」を阻む横堀地区の現闘本部(共有者17人)とくぼ地(共有者37人)の一坪共有地の強奪をめざす空港会社の主張を認め上告棄却を出した。
判決は、いずれも空港会社の単独所有を認め、全面的価格賠償方式(地権者との合意もなく一方的に金銭補償することをもって土地強奪ができる悪法)を適用した千葉地裁と東京高裁の不当判決を支持した。柳川秀夫さん(三里塚反対同盟世話人)の横堀・木の根持分裁判でも最高裁は同様の判決を出している(2月28日)。
司法権力は、1991年から反対同盟と国・運輸省―空港公団(当時)の間で始まったシンポ・円卓会議の中で運輸省と公団が、農民の意志を無視し国家権力の暴力を使って推し進めた空港建設のやり方を謝罪し、二度と強権的な手段を用いないと約束した歴史的経緯などを無視して「強制収用」を適用したのである。
だが空港会社は、「廃屋同然」だと罵倒しても、現闘本部の建物を自由に撤去できない。現在、本部の周囲を鉄板で封鎖しているが、建造物を撤去するためには、反対同盟を提訴しなければならないが、新たな「強制収用」は許さない。
空港会社の一連の暴挙は空港「完成」化に向けたあせりとして、司法権力を使って共有地強奪、横堀・団結小屋破壊を立て続けに行ってきた。しかし、横堀現闘本部をはじめ木の根ペンション、横堀大鉄塔と団結小屋、案山子亭、横堀研修センターの闘う拠点によって空港会社に打撃を与え続けている。
農民、住民の生活・環境破壊の発着回数30万回、飛行時間延長に反対し、6・9行動に結集を。
山下 一夫(三里塚空港に反対する連絡会)
日日刻刻 経団連「労働規制見直しを一気に」(4・15〜5・4)