入管法改悪案を廃案に
【資料】入管法改悪案の廃案を求める5・24 アピール
日本政府は今年3月、住基法の改定案と、入管法および入管特例法の改定案を国会に提出し、いま衆議院の総務委員会と法務委員会で審議中である。
きょう全国から集まった私たち外国人と日本人は、3法の改定案、とりわけ入管法の「改悪案」に対して、強い怒りをもって反対する。なぜなら、中長期在留者に対して在留カードの常時携帯を義務づけることをはじめ、所属機関の変更届け、住居地の変更届けなどを、刑事罰と在留資格取消しをもって強制しているからである。さらに、中長期在留者本人の届出事項のほか、所属機関からも情報提供を義務づけ、市町村からも外国人住民票の記載事項を報告させるなど、中長期在留者のあらゆる個人情報が法務省入管局に集中されることになる。このような厳しい管理体制の下で、在日外国人の居住実態・生活実態を無視した、法務省による恣意的な在留資格取消し、在留更新不許可処分が行なわれていくだろう。その上、この「新たな在留管理制度」に連結させられた住基法改定案においては、難民申請者をはじめ、さまざまな理由から非正規滞在となった外国人の住民票が、住民基本台帳から消除されるばかりか、日本社会からも自治体からも「見えない存在」とされて、社会保障や教育の機会などが奪われてしまうだろう。
また、不正行為の横行と人身売買、奴隷労働だとの国際的批判が起きている外国人研修・技能実習制度については、その場しのぎ的な「改善」でごまかそうとしている。その上、この「改善」は、技能実習制度あるいはその枠組みを外国人労働者の入り口として固定化させるものであり、権利に制限のついた労働者をこの社会に拡大させていくこととなるものである。労働者を労働者として受け入れる道を更に遠ざけ、人身売買、奴隷労働の構造を助長させていくものであると言わざるを得ない。
私たち外国人と日本人は、「共同の意思」として、以下のことを国会に強く求める。
1.国会は、「民主主義の基本原則」に則り、改定案の直接の当事者である外国人から、広く意見を聴取する場を設けること。
2.国会は、入管法改定案における問題点を法案審議の中で徹底的に究明し、廃案とすること。
3.国会は、入管法改定案による「新たな在留管理制度」に連結された入管特例法改定案と住基法改定案を廃案とし、
(1)すべての在日外国人に対して、「住民」としての地位と権利、および国際人権条約が定める「民族的マイノリティ」としての地位と権利を明示した「人権基本法」を立法化すること。
(2)入管特例法を改正して、日本の歴史責任を明示すると共に、すべての在日旧植民地出身者・被侵略地出身者とその子孫に対して、文字通りの「永住権」を保障すること。
(3)外登法を廃止すると共に、住基法を改正して外国籍住民をその対象とすること。
◇その対象は、国籍と在留資格の有無にかかわらず、外国籍住民すべてとすること。
◇自治体はその情報を、納税と住民サービス以外の目的のために利用、提供してはならないこと。
4.外国人研修制度を厳正に管理運営し、技能実習制度を廃止し、労働者を労働者として受け入れる新たな制度を設けること。
日本社会に共に生きる私たちは、今回の入管法改悪案を断固拒否する。
いま日本社会に求められているのは、日本人と外国人との「隔ての壁」ではなく、「共に生き、共に生かし合う」ための法制度である。その実現のために、私たちは共に闘い続けよう。
ストップ! 外国人いじめ法案「新たな在留管理制度」導入に抗議する5・24 集会
参加者一同
学習会「元運航乗務員からみたフェデックス事故」
元航空連副議長村中さんを講師に成田プロジェクトが開催
5月27日、成田プロジェクト(「いま成田空港で何が起こっているか」プロジェクト)が、学習会「元運航乗務員からみたフェデックス事故」を開催した。講師は、村中哲也さん(元航空連副議長・元全日空運航乗務員)。
今年3月23日に成田空港A滑走路で起きた米貨物航空会社フェデックス機MD11型の大事故を契機に、空港会社はB滑走路の供用の前倒しを明らかにした。成田プロジェクトでは、同機の事故を取り巻く状況を中心に、成田空港が抱える問題を伺い、今後の運動に活かしたいと開催。
村中さんは、まず、「当該事故と成田の“欠陥”の関連はないと考える。事故の背景は複雑で機器、政策、経営、教育、労使関係など多様にあり、簡単ではない」と、前置き。
航空機の構造は上空を高速で飛行する巡航状態を基本に設計される。その結果、離着陸時の低速飛行では著しく安定を欠く。従って、上空でウィンドシアーに遭っても飛行機は揺れるだけだが、低速飛行中の低い高度では事故が起きやすい。だからこそ、空港は事故が起きないように、結果として事故が起きてしまっても被害を拡大しないように設計にしなければいけない。
今回の事故はウインドシアーに遭遇したと多くの航空関係者は思うだろうが、ウィンドシアーは成田空港だけで起きる珍しい現象ではない。風の剪断(せんだん)現象といい、ある物質が互いに異なる方向から力が加わると引き千切れることをいい、飛行機の安定をより悪くする問題として警戒を要する。逆説的にいうと、事故が起きないような空港設計にどうしていくのかと問題設定していくべき」と提起した。
次に、MD11型機自体の問題に触れ、「軽量化、機首が下向き傾向の設計で、かつ他の機種より操縦遅れがありオーバーコントロールが発生しやすいといわれている。飛行機は、空気の中を動かすことによる複雑な難しさがあるからこそ、安全対策の重視が必要だ。だが、機体の軽量化のやりすぎ、ハイテク技術導入を口実とした省力化など、安全対策軽視の傾向がある。事業経営では安全基準の緩和、飛行訓練時間減少、労働条件の改悪による乗務員の負担増加などが総合して空の安全が脅かされていく」と強調。
そして、成田空港の存在そのものについては、過密運航と危険性を増す空域問題、国際的な空港建設基準の安全性、利便性、セキュリティーの面などからも分析。「空港は、排気ガス、騒音など環境問題も非常に重要で、環境保全との関係で見直す必要がある。周辺地域の住民との共存も必要で、地域の発展に貢献できるか否かが問われる。
成田空港は地域住民の了解抜きで着工以来、ボタンの掛け違いが今もって改められていない。それらの観点から、住民との摩擦が生じれば、航空労働者にとっても悪影響があり、困る。滑走路が1本しかなく、誘導路も沢山あって危険だ。ボタンのかけ違いを元に戻す必要があるが、巨額な国税を投入し、多くの人々が関与してきたから、軽々しく廃止とは言えない。そういった両面の矛盾を真正面にすえ、地域、利用者、航空関連の労働者が話し合う必要がある。知恵を出し合えば政治を動かしうる代替策はあるはず」と結んだ。
(本誌編集部 浅井真由美)
外国人研修生シェルターカンパのお願い
米や野菜など食料品の提供も同時にお願いします!
外国人研修生権利ネットワークでは、今、研修生・技能実習生たちを受け入れ、シェルター(緊急避難所)で保護しています。多いときには20名近くになることもありますし、長い人は6ヵ月以上滞在しています。
このシェルターで過ごす研修生・技能実習生たちは、社長から力づくで強制帰国させられそうになって難を逃れたり、たった1日の有給休暇を申し出た事を理由に解雇されたりして、保護されています。
研修生・技能実習生たちはそれぞれ現在、警察への刑事告訴、労働基準監督署への最賃法・労基法違反申告、東京都労働委員会への不当労働行為救済申立などを行うと共に、会社や協同組合を相手に粘り強く交渉を続けています。
しかし、もう一つの難題が日々の生活費です。3年間の研修・技能実習プログラムで来日した彼ら、彼女らは就労場所(受け入れ先)や仕事内容(科目)があらかじめ決められているため、たとえ在留期間内であっても、アルバイトでの自活などによって自らの闘いを確立することすらできません。
会社や協同組合はその弱みにつけ込み、気に入らない研修生・技能実習生を簡単に解雇しては、権利主張をあきらめて母国に帰らざるを得ないように仕向けています。文字通りの卑劣な兵糧攻めです。
「外国人研修・技能実習制度」は、「国際貢献」「発展途上国の人材育成支援」などの美名の下に、実際には私たちの社会にとって最も大切なルールの一つである労働基準や人権規範を、根本から破壊してしまっているのです。
不正に対して声を上げた外国人研修生・技能実習生の自活と闘いを支えることは、外国人研修生・技能実習生だけの問題ではなく、この社会の有り様(ありよう)にかかわる極めて大切な問題です。皆様のご協力を心よりお願いします。
なお、日々の自炊生活の負担を少しでも軽減するため、米や野菜など食料品の提供も同時にお願いいたします。ご協力いただける場合には、事前にご連絡ください。
(外国人研修生権利ネットワーク)
【カンパのお願い】
個人1口 千円(団体1口5千円)
名称「外国人研修生権利ネットワーク」
◎郵便振替(シェルターカンパと記入)
00190−7−582688
◎みずほ銀行上野支店
(普) 2403882
5月29日 竹内淳さんを送る会
平和のペダルをこぎ続けて竹内さんとこれからも共に
神奈川県共闘の議長であり、郵政ユニオン神奈川支部長、ピースサイクル全国ネット事務局長の竹内淳さんが3月14日急逝された。1月末に体調の変化に気付き検査入院、膵臓癌が発見されて治療を開始したばかり、回復の願いもむなしく旅立たれた。
郵政民営化に抗するユニオンの闘いを先頭で担いながら、地域共闘と反戦平和の市民運動をつなげ、運動に一生を捧げて逝った彼の志を受け継ぎ、これからも共に!の願いを込め、5月29日横浜で「送る会」が開催された。当日は神奈川だけでなく全国、また当日国会ピース行動を駆け抜けたピースサイクルの仲間たち、生活する地域でキャンプ座間への米陸軍第一軍団指令部移転に反対する「バスストップから基地ストップの会」の仲間など、90人をこえる方が参加してくださった。
「会」は争議支援の抗議行動でアピールする竹内さんの映像から始まり、青年労働者として三里塚闘争へ参加、郵政ユニオンの結成、神奈川労働相談センターの立ち上げ…。彼の生きざまを回顧し、走り続けた竹内さんを追悼し、遺志を受け継ぐ仲間たちの決意の言葉であふれた。50歳という若さで逝った彼の無念を思うと今も胸がいっぱいになる。
おつれあいの語った「助け合い、補いあう」という竹内さんの言葉を私たちの運動の中でも忘れずに、彼のめざした社会を変える運動を継続していこうと思う。
(神奈川県労働組合共闘会議・本誌編集委員 京極紀子)