たたかいの現場から
824号

東京総行動で厚生労働省に要請!
    カルテがないC型肝炎訴訟原告団

 9月14日に取り組まれた東京総行動に、今回初めて『カルテがないC型肝炎訴訟原告団』の課題を組み入れてもらった。デビュー戦である。
 8月28日に開催された、けんり総行動実行委員会の合宿にも参加し、原告団の坪谷団長が薬害C型肝炎患者を取り巻く状況を報告し、参加者に理解と協力を求めた。
 東京総行動当日は、12時半ごろ厚生労働省前に原告・患者をはじめ早朝からの行動参加者が続々と集まり、約150人の抗議集会となった。
 原告団は東京在住の患者を中心に約20人が参加。厚生労働省前の集会では、実行委を代表して東京全労協・纐纈議長からの主催者あいさつに続き原告団坪谷団長の決意表明、C型肝炎患者をサポートする会をはじめサポートする会おおさか・郵政ユニオン・埼京ユニオンから連帯のごあいさつをいただいた。
 厚生労働省への要請には、原告団の坪谷団長以下4人、サポートする会から4人、実行委員会からも加わっていただいて要請を行った。
 その後、総行動は左コースのNTT木下職業病闘争・東京都学校ユニオン解雇争議、右コースのなかまユニオン解雇争議・キャノン非正規労働組合解雇争議に分かれ、最後にトヨタ本社に対するフィリピントヨタ労組への不当労働行為への抗議集会で合流したが、原告団も事務局を中心に最後まで行動を共にした。
 原告団の多くは、このような行動とは無関係の生活の中に身を置いてきているが、国の施策によって命の危険に脅かされていることに対して政府の責任を追及する姿勢は、労働者が企業からの不法行為に対して、その責任を追及する姿勢と同じである。
 真夏がぶり返したような暑い一日だったが、初デビューの行動は成功した。震災のこと、原発のこと、非正規労働問題のこと、そしてC型肝炎問題、キーワードは「いのち」ではないかと思う。
 今後も、原告団がこの行動に参加し、様々な争議をともに闘えるよう、サポートする会としても支援に全力をあげたい。

 諏訪哲也(C型肝炎患者をサポートする会)

労働条件分科会「中間的整理」を公表
     有期労働契約の法規制のため広範な運動を!!

 厚労省労働政策審議会労働条件分科会は、昨年10月から今年7月までの9回にわたる議論を経た、「有期労働契約に関する中間的な整理について」を8月3日に公表。東日本大震災による中断期間があったとは言え、長い時間をかけた中間整理の内容がほぼ労使の意見の紹介羅列にとどまっているのは、残念というしかない。総論ともいうべき「有期労働契約の機能や実態」については、労側が雇用の不安定さ、労働条件の格差、キャリア形成の困難さ、安易な労働条件の切り下げ、権利行使の阻害等、現実を踏まえて、有期労働契約の持つ弊害を主張しているのに対し、使側は、企業の存続、国内雇用の維持・創出の点でも有期雇用による雇用の確保は重要。有期を例外としてではなく、どのようにして良質な雇用の場としていくかを考えるべき等として不合理・不適正な利用実態を認めていない。各論の論点ごとに見ても、労側は雇用の原則は期間の定めのない直接雇用で有期はあくまでも例外で合理的な理由がある場合に限るという入り口規制(締結事由の規制)、これとセットでの期間の上限規制、雇止め法理の法制化、均等待遇について差別的取扱い、不利益取扱いの禁止の規定等を主張。使側はことごとく法制化には反対する姿勢を崩さない。締結事由の制限は、民法の契約自由の原則から乖離しており導入に反対、契約期間の上限の引上げも論点とすべき等々。
 9月14日から分科会は議論の2巡目を開始したが、11月までこれを4〜5回行い、11月、12月に3〜4回で取りまとめを行う予定とのこと。現時点で労使で一致するところは全くないものをどう取りまとめていくのだろうと心配する。筆者は審議の多くを傍聴してきたが、議論の進め方に大きな問題があると思う。進行役の座長は、ただひたすら、労使の発言内容ではなく、発言時間、機会のバランスにのみ腐心していたように感じられた。他の公益委員は質問されたことのみ答え、あとは黙して語らず。労使双方の意見が何度も何度も同じ内容で繰り返されただけで経過した。座長の的確な進行、公益側委員の審議の深化へむけた提案がされてもよいのではないか。
 労働者全体の4割近くにまでなった非正規労働者、その多くが有期。7月の厚労省の「有期労働契約実態調査」によると年収200万円以下が74%になったという。使用者が社会的責任を考えず、便利な都合の良い有期労働契約を乱用してきた結果としての「貧困と格差に喘ぐ労働者ばかりの社会」で本当に良いのかと使用者側に問い質してもらいたい。
 一番重要なのは、私たち労働側の取組みだろう。各ナショナルセンター内で運動がされていると思うが、社会全体には見えていない。法規制を求める内容の取りまとめ・建議になるよう、労働側が広範な運動を展開しなければならない。

市川若子(均等待遇アクション21事務局)

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