除染労働者と共に今後の運動を考える
除染事業と除染労働の実態を問う7.6集会
7月6日、除染事業と除染労働の実態を問う7.6集会(被ばく労働を考えるネットワーク主催)が東京・文京区民センターで開かれた。昨年4月の公開討論集会、11月の設立集会に続き、被ばく労働者の闘いの成果と課題をとらえ直そうとの企画です。
集会は除染労働争議報告として、特殊勤務手当1万円が不当にピンハネされていることを告発した下請け除染労働者が、初めて労働組合を結成し勝利した楢葉町先行除染の事例、20数名の労働者が今年前半期をかけ、省庁交渉や東電・ゼネコン・元請け企業などに強く申し入れ、勝利和解を勝ち取った田村市本格除染の事例を、当該組合員が毅然としてまず紹介。
引き続き、当該と共に争議を闘った全国一般いわき自由労組の桂書記長、山谷労働者福祉会館のなすびさんが、除染労働争議の現状と未解決の課題を説明しました。
「未だに労働現場の4次5次以上に及ぶ多重下請け構造は温存され、危険有害作業にもかかわらずほぼ最低賃金で、労働者の搾取がまかり通っている現実」、「省庁や東電、ゼネコンの責任逃れを許している不公正」、「未組織のまま放置されているため、最悪の労働条件、暴力支配の横行という無権利状態」、「健康診断、放射線管理手帳、マスクの不備、健康面上必要な被ばく管理の放置」等々、運動の側がさらにパワーアップする必要性を強調しました。
さらに、関西労働安全センターの西野さんが、被ばく労働にともなう安全管理の一元化が、法律の不備で未解決であると指摘。労働弁護団の木下さんは、ゼネコンなど多重下請け業者がいい加減な契約を意図的に結んだり、統一した低い労働単価を新たに結ばせる「契約のカベ」との闘いを報告し、公契約条例への試みを問題提起しました。
また、現地の住民の声として発言した郡山市の佐藤昌子さんの、「効果が疑問な除染作業の陰で、子どもの健康被害、女性の不妊が徐々に明らかになっている、政府はなぜ真剣に動かないのか」という怒りに満ちた発言が印象的でした。
その後の議論やアピールで、政府・東電・ゼネコン・下請け企業が3.11事故を食い物して矛盾を先送りにしている姿勢を改めて批判し、新たなステージの闘いを現地とともに考えて行動しようという呼びかけが、全体で確認されました。
古澤 俊雄(全国一般東京東部労組執行委員)
ケアワークを魅力ある仕事にするために! 厚労省に要望
ケアワーカーの緩やかなネットワーク「かりん燈関東・有志」「叫ぶ手足の会」「働く女性の全国センター内介護労働者の会」の3団体17人が、7月18日、厚労省と意見交換会を行った。障害・高齢の利用者と共生する地域社会実現のため、ディーセント・ワークを目指し、厚労省に対し自らの体験を訴えた。
いま、多くのケアワーカーが、低賃金の非正規・不安定雇用にあり、フルタイムでも社会保険未加入など、労基法が遵守されていない。夜勤から日勤への連続25時間勤務や、30時間以上の連続勤務など、介護事故の危険を伴う過酷な労働実態も横行。交通費の未払いや妊娠中の夜勤シフトによる流産、慢性的な過労からの鬱など、病欠・離職者も後を絶たない。
ケアワーカーの労働条件改善と生活保障は利用者のためにも必要不可欠であると以下を要望した。
事務費、設備投資費を介護報酬から充てざるを得ず、人件費に十分回せない実態の改善/予算措置の地域間格差是正/利用者のキャンセル、入院時の賃金保障/有休・産休取得/腰痛対策など労働環境改善。
厚労省の回答は「労使間で解決を」「労働法制については、介護保険制度の中で決めていない」「給与の決め方まで国の関与は困難」というもの。
高齢者ケアワーカー側からは「休業補償は6割支給と労基法26条で謳われており、介護保険ではできないのはおかしい。制度設計する時、現場の声を入れて欲しい」と鋭く反論した。
障害者ケアワーカーからの要望に対しては「介護職の腰痛の特別扱いは困難。1976年の通知に介護労働が入っている。労基署に相談を」等、ほとんどの要望に対し「労基署に相談を」との厚労省の返答に、「労基署に相談したが全く相手にされなかった」という実態が訴えられた。
意見交換会をセッティングした尾辻かな子参議院議員は「介護保険法改訂で労基法を遵守しない事業所は指定取り消しになるはずだが、データはあるか?」と質問したが「データはない」と厚労省は返答。
初めて厚労省官僚に対面したAさんは感想で「今回、厚労省の方々と顔を合わせて対話できたのは福祉全体にとってプラスだった。身近な存在に思えた彼らと、心と心で話し合えるようになりたい」と語った。
東京に灯った小さな火…消さないでいきたいと切望している。
白崎 朝子(ケアワーカー/ライター)
日日刻刻 技能実習生に労基法違反多発 (6・27〜7・8)