たたかいの現場から
773・4号

パナソニック全国総行動
大阪と郡山では争議解決を迫る集会を開催

 7月26日から31日の6日間、パナソニック各社から違法な解雇を受け、目下裁判闘争で闘っている3名の原告(パナソニック・プラズマディスプレイ社茨木工場偽装請負裁判の吉岡力さん、パナソニック電工郡山ショウルーム職種偽装派遣裁判の佐藤昌子さん、パナソニックエレクトロニックディバイス若狭工場偽装請負裁判の河本猛さん)が呼びかけて、「パナソニックを包囲し、争議解決を迫る全国総行動」が展開された。  パナソニックは「構造改革」と称し、27事業所の廃止と、正規・非正規を問わず1万5千名の首切りを強行し、グループ各社も全国で一斉に大量首切りに乗り出した。これに対し、解雇された労働者たちが地域労組に加入し、次々にパナソニック各社への団体交渉申し入れや労働局への申告を行なってきた。  総行動では、全国数十ヵ所のパナソニック事業所への要請行動、宣伝カーでの情宣、労働者市民に向けて数万枚のチラシ配布が行なわれた。また、大阪と郡山で集会がもたれ、70名が参加した郡山駅前集会のフリートークには、昨年末にパナソニックで解雇された非正規労働者が飛び入り参加し、怒りをぶつけた。  行動最終日の7月31日、全国から東京に結集した仲間たち200名が正午から霞ヶ関で3原告を先頭にデモ行進。「パナソニックは違法行為をやめろ! 全ての争議を解決しろ!」のシュプレヒコールが官庁街に響き渡った。デモ終了後の集約集会では、鉄建公団訴訟団やキヤノンの仲間たちが連帯のあいさつ。その後、参加者は厚生労働省に対する要請行動に移った。  愛知の仲間が、「厚生労働省にパナソニックの3年を越えた違法派遣の是正=直接雇用の申告を行なった結果、厚生労働省はパナソニックに対し違法の解消を求めた。しかしパナソニックは直接雇用して違法を解消したのではなく、違法解消の指導に従ったと言って、3年を越えた労働者を解雇した。厚生労働省は直接雇用を指導すべきで、逆に解雇を生むような指導であってはならない」と、厚生労働省の大企業一辺倒の姿勢をマイクで厳しく批判した。  次に、参加者は厚生労働省前から新橋のパナソニック電工東京本社へ。佐藤さんが「18年間松下のために一生懸命働いたのに、派遣であるだけで簡単に解雇されました。失業して国民健康保険料も年金料も払えなくなりました。ショウルームに戻る日まで闘い続けます」と、東京ショウルームの来場者に心境を訴えた。  総行動最後は、パナソニック・プラズマディスプレイが行なった昨年4月の大阪高裁の吉岡さん全面勝訴に対する上告の棄却を求める最高裁への署名提出及び要請である。最高裁が上告を棄却し、高裁の勝訴判決を確定することにより、全国の偽装請負裁判・職種偽装派遣裁判にとってこの上ない追い風になることは間違いない。吉岡さんを先頭にくりひろげた署名数が今回の提出で10万筆に迫った。今後も署名活動を拡大強化し、上告棄却を闘いとり、大阪高裁判決を確定させよう。パナソニック全国総行動を出発点に、大企業の非正規使い捨てと闘う全国戦線をつくり上げよう。

(『労働情報』宮城支局)

「カワケン」を偲ぶ会に230名が参集

我らのカワケンこと、「故川村賢市」(連帯ユニオン近畿地方本部副委員長)が、本年4月29日、スポーツジムで倒れ(脳幹出血)、救急車で病院に担ぎか込まれて以降、一度も意識を取り戻すことなく、翌30日未明に61歳で帰らぬ人となりました。
 去る7月25日、故川村賢市を偲ぶ会が協同会館アソシエ(大阪市東淀川区)で開催され、故人の幅広い交友関係、労働運動、反戦運動の軌跡が読み取れるかのように、会場には予定人員を超える230名の諸氏が参集し、カワケンの思い出を語り合いました。
 ここにカワケンの軌跡のいくつかを紹介して「偲ぶ会」の報告にさせていただきます。
 カワケンは、1947年に鹿児島県種子島で生まれ、14歳の時に家族と共に兵庫県伊丹市へ引っ越し、高校卒業後に自衛隊に入隊し、除隊後の1968年には、土建業を数年営み、地元では自前の反骨魂でカワケンの名を馳せていました。
 その後の1975年、関西では最大の生コン工場E社に入社。入社わずかの間に8人の仲間を誘い労働組合結成に成功した。結成当初の解雇撤回闘争を勝利させ、当初の8人を上回る50名を組織することに成功しました。(武建一挨拶より引用)
 また、E社専属輸送車の暴力団社長の退陣闘争では、「名誉毀損」でカワケンはじめ職場組合員数十名が逮捕されたが誰一人欠けることなく多数派を維持し、刑事裁判では負けたものの現場闘争で暴力団社長を退陣させ、完全勝利。82年からの日本共産党と権力・資本が一体となった熾烈な闘いでもその先頭に立ち、「日共」との闘いにも勝利しました。
 近年では、糖尿と脳梗塞を患いながらもイラク派兵反対の「関西ゼニカネ訴訟」を立ち上げ、現職自衛官へ「派兵拒否」の呼びかけを熱心に取り組んできました。
 そして、晩婚ではありましたが洋子さんと結婚され、たびたび2人して活動に参加され、うらやましい限りでした。これからがカワケンの出番であり、もっともっと語ってもらいたかったが叶わないところに逝ってしまいました。
 おわりに、カワケンの意志は我々(連帯)が引き継ぐことを誓います。関係諸氏からの心温まるお言葉をいただいたことにお礼を申し上げます。

(全日本建設運輸連帯労働組合関西生コン支部副委員長・本誌運営委員 武洋一)

エネルギー政策の転換求め10・3明治公園へ

 いま、日本の政治が大きく変わろうとしています。戦後長きにわたって政治の頂点に君臨している自民党政権が大きく崩れようとしています。同時に今度誕生しようとする新政権に対して、私たち運動側がそれぞれの課題をどのように提起するのかが問われています。
 脱原発を進める私たちにとっても、政権交代をチャンスととらえ原子力政策・エネルギー政策の転換に向けて一歩歩みだしたいと考えています。政権交代で、脱原発へとスムーズに転換していくとは考えられませんが、今までの推進一辺倒だった動きを少しでも変化させることが重要と考えます。例えば、原子力の推進と規制の完全な分離(現在経済産業省の下に安産規制がある)や原子力大綱の見直しと国会の関与や市民の参加の強化、プルトニウム利用政策の転換など、見直すべきものは多々あります。そういった原子力政策・エネルギー政策の転換が求められています。
 世界的にも原子力をめぐる状況にも変化が現れています。その象徴として原子力大国のアメリカでは、オバマ政権の登場により、再処理政策や高レベル放射性廃棄物処分計画の見直しが行われ、原子力よりもグリーンニューデール政策の推進による自然エネルギーの活用と雇用の創出を図ろうとしています。一時期、「原子力ルネサンス」と世界的な原子力推進が言われましたが、アメリカ発の経済危機によってその勢いも大きく後退しているのも現状です。
 しかし現在、地震大国日本には、53基の原発が林立し、青森県六ヶ所村には、原発から出た使用済み核燃料を処理して、ウランとプルトニウムを取り出す再処理工場が動き出そうとしています。さらに、高速増殖炉もんじゅやプルサーマルも強引に動き出そうとしています。いまだ再処理や高速増殖炉、プルサーマル計画などのプルトニウム利用政策に固執しているのが現状です。そのプルトニウム利用政策は、各地でトラブルや地元の強い反対で、計画通りには進まず、さらに、これまでの無責任な政策と技術的問題などで、今後もうまくいかないことはすでに明らかです。プルトニウム利用政策は、既に破綻しているといっても過言ではありません。だからこそ政策の見直しと転換が急務となっています。
 10月3日、大電力消費地であり、政策決定の中心地である東京で、全国各地の原発や原子力施設のある現地から、そして電力消費地から、「エネルギー施策の転換」、「原発いらない」を求める声を一つにしてエネルギー政策の転換を大きく訴えます。そして、この集会以降に動き出す玄海原発(佐賀)などのプルサーマル計画や六ヶ所再処理工場の本格稼働、もんじゅの再稼働などの動きに対して、もう一度私たちの運動に弾みをつけ、それらの動きに抗していきたいと考えています。全国の声をひとつに、運動に元気を与え、エネルギー政策・原子力政策の転換に向けた転機にする集会をこの秋開催します。ぜひ、労働情報の読者の皆様にも、10・3明治公園への結集を呼びかけます。

(原水爆禁止日本国民会議事務局次長 井上年弘)

沖縄・嘉手納基地爆音訴訟、最高裁への要請署名を

 7月24日夜、東京の全水道会館で私たち沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックは新嘉手納基地爆音差止等請求訴訟原告団(以下、原告団)と共催して、「沖縄・嘉手納基地爆音訴訟〜最高裁への飛行差止等求める7・24東京集会」を会場いっぱいの205名の参加で開催しました。
 発言では原告団の又吉副団長が、全国にはない爆音被害の凄まじさを伝え、「最高裁を通じて全国の方々に安保の問題、沖縄の置かれている基地の問題の提起にしようと闘っている」と表明しました。弁護団からも健康影響調査の概要(聴力損失、虚血性心疾患,子どもへの影響)と被害を訴える原告らの声を紹介し、爆音被害の実態を具体的に説明しました。
 沖縄の闘いの訴えとしては、沖縄平和運動センターの山城博治事務局長が、今の沖縄の基地の特徴を「ひとつは既存の基地の機能強化、ひとつは新基地建設、そして今問題となっている民間の港湾・空港の利用。この3点セットが激しく進行している」として闘いの状況報告をし、「米軍や自衛隊の戦場のような、あるいは島ごと演習場と化してしまうような状況に今さしかかろうとしている」と警告しました。
 また、全国連絡会議は、嘉手納以外の参加団体(岩国爆音訴訟の会、第5次小松基地爆音訴訟原告団、第4次厚木爆音訴訟原告団、横田基地飛行差し止め訴訟原告団、「横田基地等の公害対策」を進める準備会、普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団)が挨拶した後、同日に開かれた第1回役員会議で、「最高裁闘争を何としてもかちとる。そのために、20万人署名をはじめ諸行動に一致団結してがんばっていこうと決議をした」と報告し、そのために、飛行差し止めを最高裁で審議させる態勢をつくること、統一した政策要求項目で日米協議させるよう、新政府に要求する行動を起こすことを沖縄の多くの反基地運動と連携を強めながら取り組むと表明しました。
 集会は、嘉手納の最高裁闘争を全国の結集で取り組んでいくことを確認する場になったと思います。
 最高裁への要請署名は第一次集約の7月31日は過ぎましたが、20万筆目指して引き続き集めています。署名提出時などに計画している諸行動とともに、今後とも協力をお願いします。

(沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック 石塚)

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