たたかいの現場から
830+831号

12・10 、12・11 脱原発社会めざし東京で連日のデモ

*「1千万人署名」の達成を
 原発震災から9ヵ月たった12月10日と11日、2つの脱原発集会・デモ(パレード)が東京で行われた。
 12月10日は日比谷野外音楽堂で「さようなら原発1千万人アクション」主催の「太陽と風、大地、自然の恵みをエネルギーに! がんばろう! さようなら原発1千万署名」集会。会場の日比谷野音に入りきれない5千500人の労働者・市民が参加した。
 いわき市出身の講談師・神田香織さんの歯切れのよい司会で進められた集会では「1千万人アクション」呼びかけ人の鎌田慧さんと大江健三郎さんがスピーチ。鎌田さんは「こんな美しい空の下にもストロンチウムなどの核物質が流れていると恐怖を感じながら生きねばならない。原発はすぐに止めなければならない。いま署名は200万人を超えたところだ。なんとしても1千万人を達成し、政府に叩きつけよう。原発推進する政治家を選挙で落とそう」と力強くアピール。
 大江さんは、「9・19の集会は私の人生の中で、2007年9月に沖縄・宜野湾海浜公園で行われた教科書検定意見撤回を求める11万人の県民大会に次ぐ2番目に大きな集会だった」と語り、澤地久枝さんが沖縄の11万人集会に匹敵する大きな行動にするためには1千万人が必要だと主張して「1千万人アクション」のイメージが作られたことを紹介した。そして国会で原発輸出のための「4ヵ国との原子力協定」が承認されたことを批判した。
 実行委員会に参加する団体からは中尾こずえさん(駅前アクション)、平野都代子さん(生活協同組合パルシステム千葉)、谷大二さん(カトリック正義と平和協議会)が署名活動について報告した。福島からは大賀あや子さん(ハイロアクション福島原発)と竹中柳一さん(福島県平和フォーラム)が発言。大賀さんは「季節風によって山の放射能汚染が拡大している」と報告し、「真実が隠され人々が分断されている。原発が動くことは不安が続くことを意味する。一日も早い脱原発を」と語った。集会後、銀座を通るパレード。
 「1千万人アクション」は2月11日に各地で集会を設定、東京では代々木公園で大規模な集会を予定している。3月11日の震災・原発事故1周年には福島県郡山市の開成山球場で「オール福島」の県民集会が準備されている。これらの行動の中で1千万人署名の達成を。

*再稼働阻止!各電力会社と経産省に抗議の声
 12月11日には「11・11〜12・11再稼働反対!全国アクション」が呼びかけ「全国から電力会社・経産省を包囲しよう再稼働反対デモ」。この行動は9・11、11・11の二度にわたって経産省包囲を成功させた実行委員会の流れで呼びかけられた。
 来年春には運転原発がゼロになることを恐れた経産省や各電力会社は、インチキなストレステストを口実に「安全性が確認された」と主張して停止原発の再稼働に躍起になっている。脱原発を実現するためにはまず何よりも運転原発をゼロにすることが前提条件だ。こうした問題意識から新橋・大手町周辺に集中している東電をはじめとする各電力会社に抗議の意思表示を行い、さらに最後に経産省をグルリと一周して本館正門前で解散するという7.5キロの長いデモが計画された。
 日比谷公園の中幸門で午後1時から始まった出発集会では子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの佐々木慶子さん、浜岡原発を考える静岡ネットの鈴木卓馬さん、青森・大間原発と闘うあさこハウス管理人の小笠原厚子さんをはじめ、避難の権利、被曝労働などさまざまな分野からの発言が行われ、デモに出発。東電をはじめ各電力会社の入ったビルの前で抗議の声。約3時間を要するデモは途中の出入りを含めて1千人が参加した。

国富建治(本誌編集企画委員)

「脱原発世界会議2012 YOKOHAMA」

 2012年1月14〜15日(土、日)、パシフィコ横浜で「脱原発世界会議 2012YOKOHAMA」を開催します。主催は、グリーンアクション、国際環境NGO FoEJapan、ISEP(環境エネルギー政策研究所)、原子力資料情報室、国際環境NGOグリーンピース・JAPAN、ピースボートの6団体。世界全地域からのゲスト約100名を含む総勢1万人の参加をめざしています。日本からも、佐藤栄作久さん(前福島県知事)、野中ともよさん(NPO法人ガイア・イニシアティブ)、肥田舜太郎さん(医師)、雨宮処凛さん(作家・活動家)など様々な方の発言を予定しています。
 「脱原発世界会議」は二つの目的があります。ひとつは、フクシマの現実に学び、また全世界の核被害者、すなわちグローバル・ヒバクシャの声を集め、核の連鎖が人間と環境にもたらしている脅威を明らかにすることで、原子力からの脱却の必要性を世界に発信します。原発輸出対象国のヨルダン、インドネシアからも活動家や国会議員を招き、脱原発をグローバルな潮流にするための具体的な手立てを模索します。第二に既に脱原発を進めている国々の叡智を結集させ、日本でも原子力に頼らない社会をつくることが現実的に可能なことを明らかにします。既存の原子力から安全に撤退する道筋を描き、省エネルギー・エネルギーの効率的利用、自然エネルギーを基幹としたエネルギー政策をつくることをめざします。
 シンポジウムは「放射能から子どもを守る」「エネルギーシフトの道筋」「原発も核兵器もない世界へ」など10のテーマで行い、「脱原発・首長会議」も開催します。持ち込み企画には、原発立地および隣接市町村をはじめ、日本全国から多数の応募があり、イベント、展示、ブース出展など100を超える企画が当日行われます。本年9月の6万人集会から来年の3月11日までの中間にあたる1月中旬に大きな国際会議を成功させることで、脱原発の世論をより確かなものにし、日本の政治も動かしていく契機にしたいと思っています。

野平晋作(ピースボート)

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