アルバイト解雇問題が東京高裁で勝利和解
組合脱退工作を許さず社員化要求で闘い継続
自治労・公共サービス清掃労働組合高嶺支部(葛飾区東立石)のアルバイト組合員、高橋卓也と松本英治の解雇をめぐる裁判闘争が昨年9月30日の地裁勝利判決につづき、高裁でも7月13日、職権による勝利和解で決着しました。和解協定では解雇された2名が1年間の雇用契約だが、「実質的に期間の定めのない雇用契約となっており」「労働契約上の権利を有する地位にあることを相互に確認し、解雇を撤回」「雇用契約の期間満了による雇い止めは、客観的に合理的な理由を要することを相互に確認する」となっており、事実上の解雇撤回、職場復帰が確定しました。
協定ではこの他、高嶺清掃(株)に解決金の支払い義務、バックペイ100%(高橋卓也910万円、松本英治805万円)、勤務開始は9月1日付けで運転職として職場復帰、その間の8月分の賃金は会社が支払う、有給休暇は最大40日という、判決では書けない内容で、組合主張を大幅に取り入れています。この勝利を梃子に、職場でともに働く非正規社員の組織化、労働条件の均等待遇などの闘いをさらに前進させる決意です。
都労委は、「週6日働いていたアルバイトの労働日を、労働組合との協議なしに、5日に削減したのは不当労働行為に当たる」と認定し、07年12月から08年3月までの賃金カット分を支払えとする救済命令を下しました。
思えばこの賃金大幅減額を背景として、タブレット(新産別運転者労働組合〈略称、新運転〉が100%出資の派遣会社)に(会社をやめ)行けば高嶺の同じ仕事を週6日働ける、と誘導したため、多くの組合員が涙しながら組合を脱退し、タブレットに行ったのでした。派遣法ではこの行為は高嶺清掃(株)・タブレット双方とも行ってはならない「特定行為」として法律違反とされているのです。
一方、職場ではアルバイトの賃上げ7万7千円を改めて要求し直し、スト権も確立し、団体交渉を要求しています。
会社は新たな攻撃としてアルバイトも4月から社会保険に加入させるとして、賃上げもない中で保険料を3万5千円から4万円も差し引き、生活が窮乏化しています。その弱みに付け込んで「新運転に行けば同じ仕事で、1日1万5千円出す」と露骨に組合脱退工作を行っています。新運転に支払う賃金との差額7万7千円要求はアルバイト組合員の切実な要求です。一時金は今まで3万円でしたが今期はゼロ回答。支部は20万円を要求。あわせて社員化を要求しストライキを背景に団体交渉で前進回答を迫ります。
……田辺義人(自治労・公共サービス清掃労働組合執行委員長)
日中労働セミナーを10月17日に開催
中国の労働市場と中国人研修生問題を考える
故・市川誠『労働情報』代表は、総評議長時代に日中友好活動に活躍してきた。本協会は総評の中国交流の窓口として総評加盟単産で構成したが、1989年総評解散後は個人加盟方式で中華全国総工会との交流をはかり、相互訪問と中国人研修生問題の取り組みを行ってきた。
その後、20年あまり相互交流を図ってきたが、昨年、幹部交流よりも労働問題に対する意見交換や理論的な問題で交流を図ることで合意した。本協会も具体的な事業を行ってこなかったことを省み、両国労働者の連帯の中身を作ることになった。
中国では、労働契約法が制定され、その評価を巡って議論されていると聞きます。経済発展を優先させるために労働者の権利を制限しなければならないという考えと、悲惨な労働者の実態を変えるためには労働契約法の順守と対等な労使の交渉を行える条件を作り出さなければならないという考えです。労働契約法の制定作業チームは後者であると伝えられています。先にシンポジウムを行った常凱氏も後者の人物です。この議論を発展させられないかと常凱氏と連絡を取りましたがうまくいきません。
ちょうどそのころ、たまたま李捷生氏のことが耳に入り、氏が東アジアの労働経済を研究しておられること、日本の労働研究の中心であった東大社研で研究しておられたことなどがわかりました。中国の労働市場もよく研究されています。日本の出稼ぎ労働を研究してきた東大社研、そして中国の農民の出稼ぎ労働を研究している李氏がつながって我々に道筋や、ヒントを与えてくれるのではと考えています。
中国労働者は日本の労働者にとって仕事を奪い合う相手なのか、労働条件切り下げの根拠なのか。そこから何が見えてくるのか。研究することは重要なことだと考えます。また、日中労働者交流協会にとっても、今後の活動を考える重要な一里塚になると考えています。下記の活動に物心両面のご協力をお願いします。
……前川武志(日中労働者交流協会)
◆ 日中労働セミナー ◆
10月17日 午後1時30分より
日本教育会館(地下鉄神保町駅、03−3230−2833)
◆ 基調講演
◇中国の労働市場と二重構造
李捷生(大阪市立大学院教授)
◆ 問題提起
◇中国人研修生の労働実態
鳥井一平(全統一労働組合)
◆ 参加費 千円(学生800円)
文京七中早川裁判勝利
今後の公務災害認定に大きな風穴を開けた
早川由紀子さんは1973年に文京七中で頸肩腕障害を発症し、校長らによる療養妨害によって症状が悪化。92年、公務災害認定請求をしようとしたところ、校長や都の教育委員会に妨害され、その上、分限免職の憂き目にまであい、公務災害認定請求権が侵害され続けてきた。
06年8月、地方公務員災害補償基金と都教委に対し、早川さんが起こした訴訟の判決が8月25日、東京地裁民事11部より出された。
判決は当時の文京七中校長には公務上外の判断権はないと過失を認め、早川さんへの期待権の侵害にあたり、また、16年間もの間、校長室のロッカーに早川さんの請求書を放置していた事実から時効にはあたらないとして50万円の損害賠償を認めた。
原告及び弁護団は「学校長の不法行為を認め、消滅時効の完成を認めなかったことは高く評価するが、損害額を50万と著しく低く評価したことは18年以上にわたる原告の頸肩腕障害と被告らの職務怠慢という事実を不当に軽んじており、到底納得できない」との声明を発表した。
また、この判決では、所属部局長が違法に証明を拒む場合には民間の労災申請手続き同様、証明印がなくても申請できると判断したことは、これまで証明が得られず請求手続きが出来なかった大勢の公務員の公務災害認定に、大きな影響を与えるものとなる。
……岩崎松男(本誌副編集長)
無慈悲な使い捨てにはストライキで闘う
工場閉鎖も組合つぶしも許さない
本誌796号「たたかいの現場から」で紹介した埼玉県三郷市にあるクリーニング工場、セブンズ・クリーナーの工場閉鎖問題が大詰めを迎えた8月26日、その本社がある都内大田区大森のディベンロイ・リネンサプライにおいて本社と子会社の組合員約100名が朝8時から17時までの終日ストに突入した。
このストライキは、会社が9月20日に三郷工場の閉鎖を実施するため、そこで働いているパート従業員など約80名に対して8月末に出されようとしている解雇通知の撤回と、耐震問題を口実に大森工場の閉鎖をも目論んでいる会社への抗議を含めて行ったものである。
全労協全国一般東京東部労組・ディベンロイ支部が同セブンズ・クリーナー分会と合同でストライキを実施した背景には、親会社に当たるサニクリーングループが三郷工場に続いて大森本社工場も廃止し、現在建設中の茨城県常総市中妻町の洗濯工場に全ての業務を集約すると共に、一挙に労働組合つぶしをも図る計画が見えている。
10時15分からディベンロイ大森工場内で開催された決起集会には多くの支援者もかけつけ、激励のエールを送ると共に「工場閉鎖反対!三郷工場へ洗濯物を返せ」のかけ声高く、炎天下での構内デモでアピールした。11時から行われた団体交渉では「三郷工場の組合員へは解雇通知は出さず、再就職については協議する。大森工場の閉鎖についても今後協議していく」旨の会社側回答が示されたが、組合員の大多数は「そんな内容ではとうてい納得できない」として、ストライキの続行を求めた。
午後からは港区三田・国際ビル11階にあるサニクリーン本社へと移動し、門前払いしようとした会社側を当該組合員と支援者による迫力で黙らせ、整然とした申し入れ行動を行ってきた。
【最新情報】
制服などのクリーニング事業を行うディベンロイ・リネンサプライが、埼玉県三郷市にある子会社・セブンズクリーナー三郷工場を9月20日に一方的に廃止する計画に反対し、東京東部労組・デイベンロイ支部は、7月14日の三郷工場半日指名スト、8月26日の三郷・大森本社工場組合員合同の終日ストを決行した。
東部労組及びデイベンロイ支部と同セブンズクリーナー分会は、こうした会社の暴挙を許さず徹夜の警戒態勢をとって対抗することを決定し、支援者に結集を呼びかけている。
……岩崎松男(本誌副編集長)
コンビニ加盟店ユニオン第2回総会
8月31日東京で、コンビニ加盟店オーナーで構成されるコンビニ加盟店ユニオンの結成から1年となる第2回総会が開催された。
コンビニ加盟店ユニオンは全国組織ながら連合岡山傘下の組合であるため、昨年8月の結成大会(第1回総会)は岡山市で開催されたが、今後は中央での活動基盤を整えるため、今回は都内で開催された。
さらに役員も、コンビニ業界最大チェーンであるセブン−イレブン加盟店オーナーのみだったが、今回はセブン−イレブン加盟店の池原匠美委員長が再任・書記長ポストもセブン−イレブン加盟店オーナーの岡田一博書記長が選出されたものの、副委員長にファミリーマート加盟店オーナーの酒井孝典副委員長、そして執行委員にはローソン等他チェーンの組合員も選出され、コンビニ業界全チェーンにまたがる産別労組であることを印象付けた。また、来賓として民主党の国会議員や他労組も招かれるなど、労働界での認知を確立させつつあることを感じさせた。
コンビニ加盟店オーナーに限らず、フランチャイズ加盟店オーナーを保護するフランチャイズ法が、欧米や中国・韓国などでは存在するにも関わらず先進国でありフランチャイズ産業が社会的に高いシェアを占める日本ではまだ存在しない。コンビニ・フランチャイズオーナーは労働者でもなく経営者でもないというポジションが、法律的にも社会的にも実情である。
コンビニ加盟店ユニオンの当面の目標は政治家とも連携しながら、フランチャイズ法の制定を目指すことを池原委員長は確認し、大会の節々を「ガンバロー」で締めくくった。
……角田裕育(コンビニ加盟店ユニオン)