たたかいの現場から
771号

「派遣村」から見えてきたもの
今こそ、派遣法の抜本改正とセーフティネットの構築を

 6月28日、すみだリバーサイドホールで「派遣村から見えてきたもの 今こそ、労働者派遣法の抜本改正とセーフティネットの構築を 『派遣村』全国シンポジウム」が派遣村全国シンポ実行委主催で開かれ、札幌から鹿児島まで12の団体・派遣村の仲間たち500人が参加した。
 東京派遣村・村長の湯浅誠さんが年越し派遣村の到達点と今後の課題について発言した。年末にかけて大量の派遣切りが行われる状況にあって、「@その人たちを救済することA可視化させ、政治や社会へ問題提起をしようと、年越し派遣村を行った。本当は1月5日で終わり、役所につなぐつもりであった」。しかし、「あまりにもたくさんの人たちがやってきた。生活保護、医療、住宅など様々な問題を引き続き解決しなければならなくなった」ので、活動を継続してきた。そして、「3月末には派遣切りがさらに大規模に予想された。そのため春の派遣村の相談会を行った」。
 政府は補正予算で要求を取り上げた。「とりあえず一段落したので、6月末に東京の派遣村は閉じることにした。これからも相談窓口は設ける」。
 何を明らかにしたのか。「労働市場の劣化、貧困のスパイラル、セーフティネットの機能不全であった。貧困に向けたすべり台社会に階段をつくる役割を派遣村は行った」。今後、「派遣法の抜本改正、最賃制、教育費、住宅費、医療など多用で様々な施策が必要だ」。
 今回の運動の重要なところは労働系と生活系が交わったこと。「今後、2つの協働領域が必要になる。情報交換とネットワークづくりだ。社会はどんどん悪くなっていて、何も変わっていない。捨てられて、何のために生きているか分からない、そんな社会を変えていこう」と湯浅さんは提起した。
 福島みずほ社民党党首、菅直人代表代行(民主党)、小池晃さん(共産党政策委員長)が参加し、「派遣切りされた当事者たちが政治を動かした」と派遣村運動の政治に与えた重要さを指摘し、派遣法抜本改正に向けて頑張ると連帯と決意を表明した。
 次に、北海道、仙台、東京、埼玉、浜松、名古屋、岐阜、滋賀、大阪、広島、福岡、鹿児島から取り組みの報告が行われた。
 「東京の運動の波及で、生活保護が取りやすくなった。しかし、それで終わりではなく、住む所がない人のためにシェルターを用意すること、メンタル面やさまざまな病気を持った人、健康保険証がない人が多数いること、外国人労働者の問題など」あまりにも取り組む課題が多いことが明らかになった。そして、労働組合と弁護士や行政書士などと共同してやっていることが特徴的であった。
 次に、派遣ユニオン(東京)、NPO法人ほっとポット(埼玉)、弁護士(愛知)の三者によるシンポジウムと女性と貧困ネット、DPI日本会議(障がい者団体)、医療労働者の各団体から問題提起が行われた。「人間らしく生きられる社会をめざそう」と、今後も連携を保ちながら活動を続けていくことを明らかにした。

(読者 松下知)

32年分を収録したDVDが完成
協同センター・労働情報第14回総会、賑やかに開催

 総会は関口事務局次長の司会で開会。前田代表挨拶ののち、議長団に塩原・湯村両氏を選出、33名が参加した。  来賓挨拶では、「派遣村」実行委員として井上全労連事務局次長より「労働組合が社会の中で信頼される存在にならなければ」と、また酒井原告団中央協議会代表からは「年内に政治解決を」と、労働運動の方向性、決意が語られた。  総会議長から、出資者474名(団体)中、出席・委任が262名で成立している旨報告された。事務局長小泉より第14期は、臨時総会後の運営体制の補強(役員・事務局員、お助け隊)、販売拡大の取り組みなどにより、「単年度収支の安定化は可能と判断する」と提案。永井会計監査委員から講評を受け、引続き第15期の運営・予算案について、@事務所運営の簡素・システム化による安定化、A発行継続に不可欠な業務継承作業に着手、B『労働情報』の存在アピールの取り組み、C早期に正規専従の補強可能な読者拡大と財政基盤の安定化など提案。野崎副編集長から、バックナンバー(DVD4枚組・価格未定)の紹介を受け、「お助け隊員」を紹介したのち討論に入った。
 役員には新設した副編集長に野崎哲さんと、若干名補足した運営委員22名を信任。協同センターとして発足して以来15年目を迎え、時代の転換点で改めて「協同」の意味に込められた参加型組織への思いを共有し、具体化を実現する年としたい。

(詳細次号。事務局長 小泉尚之)

(長めの写真説明)  7月5日午後、東京・こんぴら会館で開催された「協同センター・労働情報第14回総会」には総勢33名が参加。皆さん、実によく発言され、最後には「一人30秒で」という議長発言まで。
 今回の総会の特徴は、お助け隊含め主体的に参加された方が多数だったこと、「協同センターになって初参加」が10名弱もいらっしゃったことです。それが、二次会に19名もが参加して下さることに繋がったのではないでしょうか。
 唯一のハプニングで決定できなかったことは、バックナンバーのDVDの価格。野崎副編提案を前田代表が「あかん、安すぎる!」と一括(^^ゞ) 後日決定し、改めてお知らせします。

(7.5 総会会場で。右奥でマイクを持つのは遠藤一郎さん。 撮影 浅井真由美)

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