労働情報No.858


たたかいの現場から
858号

職場から脱原発の運動を 福島とつながる労働者集会

 「福島とつながる2・15労働者集会―原発No! 憲法Yes!」が2月15日、東京の日本教育会館で開かれ、480名が参加した。
 「脱原発社会をめざす労働者実行委員会」を代表して主催者挨拶した全国一般全国協議会の平賀雄次郎委員長は「安倍政権の原発再稼働、新増設、原発輸出に反対するとともに、憲法改悪、国防軍創設をめざす安倍政権と対決しよう」と訴えた。
 ルポライターの鎌田慧さんが講演し「一人ひとりが脱原発の思想を固め、職場から脱原発の運動をつくることが重要」と述べ「原発は労働者の被ばくなくしては稼働できない。事故によって被ばくは拡大した。労働者差別によって成り立つ重層下請け構造を解体しなければならない。政府や電力会社の電力不足、原発は安全でコストが安いという宣伝は破綻している。原発推進の根底には核武装の野望がある。原発の使用済核燃料を処理する展望はない。すぐに廃炉に」と訴えた。
 福島県平和フォーラム代表の五十嵐史郎さんは「甲状腺がんが発生したが、県は原発事故が原因とは言わない。避難だけでは生活ができないので、故郷に戻る人も出てきている。校庭の表土をはがしたが、その土は校庭の片隅にシートをかけて置かれたままである。中間処理場がない。再稼働して復興をとの声もでている。また、放射能被ばく差別が広がっている」と福島の現状を紹介し「他人に犠牲を押し付けるのではなく、被ばくの現実に自分が責任を持った運動を」と呼びかけた。
 警戒区域で除染作業を行った労働者から「8畳に4人、粗末な食事、ガーゼマスクは自腹、国から支給されるはずの危険手当が支払われない。ふくしま連帯労組に加入して危険手当支給をはじめ人間らしい生活を求めてたたかっている」と報告があった。
 集会最後に、実行委員が「各職場から脱原発宣言を発表しよう。3月9日の明治公園の集会、3月23日福島集会に参加しよう」と行動提起をおこない、東京清掃労組の吉田壽委員長が団結ガンバロウをおこなって閉会した。

伊藤彰信(全港湾委員長)

宮古毎日新聞労組 中労委で和解 契約更新手続きなど前進

 10年以上勤めている契約社員組合員3人の正社員化などを求めて2011年12月に中央労働委員会(中労委)に再審査を申し立てていた宮古毎日新聞労働組合(恩川順治委員長、8人)は、2月6日の第7回調査で、中労委の和解勧告を受け入れ、宮古毎日新聞社(平良覚社長)と和解した。正社員化に結び付く内容ではないものの、契約更新手続き、団交ルールで前進があり、労組としては一定の前進と評価し、中労委での和解を新たな出発点にしていく考えだ。
 和解勧告書は@正社員募集についてA契約社員の契約更新についてB団体交渉の実施について―の3項目。中労委の岩村正彦公益委員が昨年7月に提示した「和解たたき台」を一部修正し、労組側の懸念、不満のある点について岩村委員が「補足説明」を行い、それを和解調書に記載することを含めた和解として、最終的に双方が受け入れた。
 正社員募集は、手続きの透明化を進める内容だが、労組は「本来正社員になるべき人が正社員になっていないのは組合差別だ」と内部登用での正社員化を団交で求め続けている。そのため、労組はこの項目の削除を求めた。「補足説明」で「この和解によって、正社員化について組合が団体交渉を申し入れることを排除するものではない」とされたため、労組は受け入れる判断をした。
 契約更新については、更新の1ヵ月前までに当該社員、組合に通知することに加え、「会社は、組合が上記通知に関する協議を求めた場合は、誠意をもってこれに応じる」と明記され、前進した内容になった。団体交渉については、出席者の人数、所要時間、事務折衝の内容と出席者、資料の提示など細かく規定された。
 労組は2月9日付の組合ニュースで「この和解が、長年にわたる争議状態に終止符を打ち、関係改善に向けた『光』となることを期待しています」と述べている。会社の姿勢が変わるのかどうか注視していきたい。

米倉外昭(新聞労連副委員長)

竪川河川敷公園の野宿者排除弾圧で威力業務妨害罪に懲役一年求刑

 2月9日夜、「竪川弾圧まる1年、行政への抗議を犯罪化するな!無罪を勝ち取ろう2・9大集会」を中野商工会館で開催しました。2月6日に検察から懲役1年の求刑が出されたことへの抗議です。遠くは京都からなど90人以上の方が参加。
 発言は、原告の私・園、弁護団、竪川の仲間たちと支援者、関西大弾圧救援会・東京の会、経産省前テントひろば、がくろう神奈川、情報公開請求運動、一橋大学の鵜飼哲さん。いずれも弾圧への危機感と繋がる意思のあふれる中身の濃い発言でした。私は以下の通り、皆さんに訴えました。
 懲役1年求刑は許せません。江東区役所はスカイツリー再開発=金儲けのための街づくりを優先し、竪川の野宿生活の住民への敵視と強制排除を続けました。しかも住民と支援者を殴る、蹴る、引きずり倒す、小屋を叩き潰すといった問答無用の暴力を警察と深く連携しながら。検察も逮捕時の罪状では私を起訴できなくなり、「威力業務妨害」をでっち上げて切り替え起訴しました。これが許されれば、行政への政治的抗議を民間企業への営業妨害とすり替え、何でも逮捕→長期勾留できてしまう恐るべき状況です。
 しかも検察は求刑で私の人格を罵倒した上で、「訴因を構成するのは検察官の責務であり機能であるため、全く問題は認められない」ときました! 私はこんな滅茶苦茶な論法で4ヵ月以上も監禁されたのか、と怒りが止まりません。
 これでは行政・警察が「こいつを逮捕しよう」と決めつけて、検察が裁判官に「こいつは危険人物だから外に出さない方がよい」と演出すれば、誰にでもどの運動にも自由に逮捕と長期勾留ができます。戦前の治安維持法の「予防拘禁」が復活しているのが問題の核心です。さらに竪川現地では、区が今や2メートルもの鉄板を公園全体に張り巡らせて封鎖し、水道を止める凄まじい手法で、野宿の仲間全体を「拘禁」してしまっています。
 これら全てをやめさせるために、2月28日(木)13時半〜東京地裁429号法廷の最終弁論にぜひご参加下さい!

園 良太(「2・9竪川弾圧」 ツイッター@ryota1981)

改正労契法に対する労働組合の課題

 「有期雇用労働者の雇用と権利〜改正労働契約法でどう変わるか」をテーマとする社会運動ユニオニズム研究会が、2月16日、東京・連合会館で行われた。講師が西谷敏・大阪市大名誉教授であったこともあり百数十名が参加、改正労契法の問題点等がほぼ明確になる中で、危機感が漂っていた。
 会場から指摘されたのは、法改正によって有期雇用労働者が逆に厳しい状況に追い込まれ、無期転換どころか、5年以上働けないという逆作用が起きているとの報告だった。経営者団体への調査でも、「5年以下で雇止めをする」「アウトソーシングに切り替える」との慎重姿勢が目立ち、「不更新条項の活用」も弁護士などから指導されている。全労働からは、監督官への「労契法改正によって、今後、有期契約労働者の雇用情勢がどのように変化するか」とのアンケートに、「@5年以内に雇止めとなる労働者が増加する=61%A現状と変化は見られない=21・4%との回答があった」と初めて報告された。
 西谷さんからは、「労働組合の課題」として、以下の5点が提起された。
(1)独自ルールの形成
「労契法」は最低基準であり、これを上回ることに労組の存在意義がある。無期への転換など、労使交渉によってルール形成をはかるべき。
(2)雇止めの阻止 職場で雇止めが起きたら、同じ仲間として支え、交渉し、団体行動で阻止しよう。
(3)不更新条項の排除
(4)有期雇用労働者と正社員との均等待遇
(5)労契法の再改正 困難かもしれないが、めざさなければならない。逆に経営者の側からは、「派遣の自由化」や「解雇制限の緩和」「ホワイトカラー・エクゼンプション」など規制緩和が強く要請されている。
 西谷さんは「今回の法改正を労組はどう総括するのか。労働組合にとって大事な問題にもかかわらず、何もしなかったことは驚きだった」とまで言われた。とにかく、視点を非正規の仲間にもきちんと据え、この春闘できちんと要求しなければならない。

水谷研次(編集部)

日日刻刻 国の借金1000兆円に(1・29〜2・8)

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