★ニュ−ジーランド
TPP調印式に先住民族含め数千人が抗議
2月4日、オークランドのスカイシティーでTPPの調印式が開催された。
TPPに反対する「イッツ・アワ・フユーチャー」などの団体の活動家たちは、オークランドとクライストチャーチを中心に各地でさまざまな行動を行って、TPPとの闘いはこれからだと訴えた。
この日、オークランドでは朝からアオテア広場に数百人の活動家が集まった。いくつかの小さなグループの活動家たちが各所の高速道路入り口付近で座り込みを行って、市内の交通をマヒさせた。市内の中心部でも数時間にわたって座り込みを行った。
昼過ぎにはアオテァ広場からのメインのデモに2千人が参加した。
組織者の一人であるホーン・ハラウィラさんは「TPPが調印されても、私たちはこれを受け入れない。協定が調印されるまで誰もそれを見たことがなかったという事実を許せない。TPPは今日調印されたとしても、すべての加盟国で批准されるまでは批准されないし、もし批准されなかったらそれでおしまいだ。だから闘いは続く。今日も、これからも、いつまでも」と語った。
労働組合や市民グループのほか、労働党や緑の党の代表もデモに参加した。
先住民族のマオリたちは新自由主義による自治の破壊や新たな形の収奪につながるTPPに強く反対してきた。毎年1月末に行われるラタナ教会に向けた行進(ヨーロッパの植民者に抵抗したラタナを記念する伝統的な行事)が、今年はTPPに反対するためにオークランドにも立ち寄ることになり、この日、市内を席巻するハカ(マオリの戦士たちの踊り)にメディアの注目が集まった。
ニュージーランドでは、特にTPPが医療分野に及ぼす影響への不安が大きく、医薬品価格の大幅な値上がりが懸念されている。
政府はTPPの調印に先立って、TPPが2030年まで毎年27億ドル(1NZドルは約80円)の経済効果があると発表したが、TPP反対運動のリーダーの一人であるジェーン・ケルシーさんによると、この数字は、効果を最大限に誇張し、悪影響を無視していると指摘している。
労働党のリーダーのアンドリュー・リトルさんは「純粋な貿易自由化なら支持するが、これは単なる貿易という範囲を大きく超えている」と述べている。
(「ラジオニュージーランドニュース」2月4日付等より)
★チリ
「密室でできたTPPを光にさらせ」とデモ
2月2日、サンチャゴでTPP反対のデモが行われ、数千人が参加した。
デモを呼びかけた社会運動団体のーつであるエコロジカル・コレクティブのバトリシア・ヌニェスさんは、1月21日に行われた記者会見の中で、「TPPがもし承認されるなら、チリの主権が侵害され、モンサントのような私企業が発見・開発あるいは改良した種子を特許登録して、同じような種子を使っているチリの小規模農民に特許料を払わせることができるようになる」と指摘し、「抗議運動は、政治家と企業が民主的な参加を排除して密室の中で進めてきた貿易協定を光の中に引き出し、圧力をかけるために不可欠だ」と述べた。
活動家たちは、TPPによって食料主権と生物多様性が失われることを危惧する市民たちの強い反対のために、バチェレット大統領が一時的に棚上げしている農業関連法の内容が導入されると批判している。
(「ロイター」2月5日付、「テレスール」1月21日付等より)
★マレーシア
医療費心配 反TPPデモに5千人
1月23日、クアラルンプールでTPP反対の集会・デモが行われ約5千人が参加した。警察がメルデカ広場に阻止線を張ってデモの侵入を阻止したため、デモは近くのパダン・メルボック競技場へ向かった。
集会では野党・人民公正党(PKR)の副党首で国会議員のティアン・チュアさんや、ベルセ(「公正」)2.0の委員長のマリア・チン・アブドラーさんも発言した。
参加者の多くは汎マレーシア・イスラム党(PAS)の活動家だった。
ティアン・チュアさんは、「TPPがマレーシアに経済的な利益をもたらすという根拠は何もない。隣国のインドネシアやフィリピンはTPPに参加していない」と指摘し、ジェネリック薬の利用が制限されることによる医療費の高騰など、多くのリスクがあると批判した。
「第三世界ネットワーク」の法律顧問のサニャ・レイド・スミスさんは、TPPの30の章のうち24の章が貿易ではなく、国の法律や規制に関するもので、環境や労働、知的財産に関する章は医療費や教科書の価格、国や地方政府が規制を行う権限に影響を及ぼすと指摘している。
国会ではPKR、民主行動党(DAP)、アマナーがTPP反対で共闘してきたが、1月27日、TPPへの参加が賛成127、反対84で承認された。
政府は批判が多かった国営企業改革の問題で5年間の猶予期間が認められたこと、ISD条項の主権に関する問題で例外が認められたことを成果として宣伝している。
(「チェンジング・タイムズ」紙1月23日付より)
★オーストラリア
セブンが留学生を最賃以下で雇用
シドニーでセブンイレブンに対して賃金不払い分の支払いを求めている60人の労働者の弁護にあたっているモーリス・ブラックバーン弁護士事務所は、パキスタン人学生が時間給47セントしか支払われていないと明らかにした(1オーストラリア・ドルは約80円)。
コンビニエンス・ストアの労働者は最低賃金の半分で就労しており、その多くは外国人労働者であるという。
セブンイレブンは独立的な調査委員会を設けて、2万人の従業員・元従業員について調査した。
同弁護士事務所によると、パキスタン人学生のソハイルさんは685時間の勤務に対して総額325ドルを受け取った。
同事務所のジリ・シバラマン弁護士によると、「彼ら・彼女らはいくら支払われるべきかを知らないし、安全に関する権利についても知らない。休憩を取る権利や、苦情を申し立てる権利も知らない」。
同事務所は、関係する労働者や労働組合と共に、連邦政府に対して留学生や労働ビザで入国している人たちに対する雇用問題に関する教育の義務化を求めている。
★ポルトガル
緊縮政策から早期転換求め公務員がスト
ポルトガルの公共セクターの連合「コモン・フロント」は1月29日に傘下の60万人の労働者が24時間ストに入ると発表した。
このストライキは政府に対して緊縮政策からの転換を計画よりも迅速に実施するよう迫ることを目的としており、学校、病院、裁判所などの業務が停止する。
ポルトガルでは、昨年の総選挙のあと、社会党が少数与党として政権に就き、共産党と左翼ブロックによって支持されている。
新政権は2011年のEUによる救済(780億ユーロ)と引き換えに犠牲にされてきた職場における諸権利を回復することを公約してきた。
政府はすでに公共サービス労働者が厳しい闘いによって勝ち取ってきた週35時間労働制を復活すると約束している(現行は週40時間)。しかし、これは7月から実施されることになっており、コモン・フロントはもっと早く実施することを求めている。
政府はまた、公共セクターの賃金を削減前に戻し、4回の公休日を復活し、低所得世帯の税減額を計画している。
(「モーニングスター」紙1月28日付)
★バングラデシュ
衣料工場労組 国際連帯で承認かちとる
本紙前号で報告したドングリアン・ファッション社の組合攻撃との闘いが2月10日に行われた労使交渉で全面勝利で解決した。
当該組合が加盟する衣料労働組合連合(SGSF)のナズマ・アクテル委員長からの第一報によると、同日、ドングリアン・グループ本社(中国)の会長およびバングラデシュの同社の代表と、ナズマさんらが会談し、以下の内容の合意書を交わした。
1.会社側は、組合結成を不当とする提訴をただちに取り下げる
2.両者は相互に妥協して工場における良好な労働環境を確立する
3.解雇者(12人、全員)の復職と、解雇期間中の賃金の支払い
4.SGSFは(同社内における)組合の設立のために活動し、会社側と協力して組合活動の円滑な運営を支援する
支援団体・組合に宛てた第一報でナズマさんは次のように述べている。
「経営側は労働組合を承認しました。この勝利のために私たちに多くの支援を寄せてくれた日本の兄弟姉妹たちに感謝します」。
日本では、ナズマさんからの支援要請が届いた1月18日以降、さまざまな労働団体、フェアトレード運動団体が関心を寄せ、ドングリアン社や取引先の日本企業への働きかけを行った。その結果、グループ本社が2月初めから解決に乗り出し、主要取引相手の日本企業も独自に事情聴取を始めた。
国際労働組合総連合(ITUC)のシャロン・バロー書記長はSGSFおよび支援団体に宛てたメッセージの中で、この勝利は「組合の組織化と国境を超えた連帯の良い例となる」と述べている。